当記事のポイント
・GIMPの平滑化(equalize = ヒストグラム平坦化)は、より厳しい条件の赤変褪色ポジ画像において、Vuescanよりもより良好な補正結果が得られる可能性がある
・但し、トーンジャンプが発生するという弱点がある。これについてはフリーのRaw現像ソフトを使うことにより補完・補正が可能
・Photoshopの平均化とGIMPの平滑化は、英語名称は同じequalizeだが、機能的には全く別物で、Photoshopの平均化は赤変褪色ポジフィルムの補正に効果はない
先日、GIMPの平滑化が赤変褪色ポジフィルムに非常に有効であるということを指摘した記事をアップしました。その際、少なくとも日本語ではこの事実は言及されていないのではないか、と書きましたが、この事実が気付かれていないのはどうやら日本だけではないようです。
英語で、GIMP equalize faded reversal film correction (または restoration, adjustment) といったキーワードを検索エンジンに投げて検索してみても、赤変ポジの補正にGIMPの平滑化を使った記事がヒットしません。どうも[平滑化 equalize] という名前が良くないのではないかと思います。
例えば、アメリカで写真のデジタル補正を扱った以下のサイトがあります。
この筆者の方は、アメリカの大手出版社 Routledge から"DIGITAL RESTORATION
From Start to Finish"という、古くなって褪色したり汚損、破損した写真のデジタル復元技法をまとめた本を出版されているようですが、このサイトの以下のURLに、赤変褪色ポジからの復元例が掲載されています(詳しい手法は上記本に掲載されているそうです)。
https://photo-repair.com/bigsample_e1slide.htm
上のページの中で、このサンプルをここまで復元するのに8時間かかったとあります。しかし、GIMPにオリジナルの部分を切り取って、平滑化に掛けてみると、黒い部分が緑色に変色するという問題はありますが、それ以外は、かなりうまく復元できます(補正結果は掲載できないので各自試してみてください)。ここからもうちょっと手を加えると、30分~1時間程度で十分いけそうな感じがあります。
https://photo-repair.com/bigsample_sarahfamily.htm
またこちらも復元に3時間かかったと書かれていますが、これもGIMPの平滑化を掛けると、瞬間でかなり近いところまで行きます。あとは、もう少しコントラストを下げれば、サンプルにかなり近いところまで行きそうです。おそらくこの著者はPhotoshopを使っているせいか、GIMPの平滑化の有効性を知らないと思われます。しかしGIMPを知らなくても Vuescanを使うとか、あるいはPhotoshopの有料プラグインを使うとか手立てはありそうなのですが...
続きを読む