省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

自分にとって活用頻度の高い自作画像補正ツールは?

 このブログでは、フィルムを取り込んだものを中心とする写真補正のための自作ツールを公開していますが、個人的に使用頻度の高いものを紹介したいと思います。

 

1位. 相対RGB色マスク画像作成ツール (ImageJ対応)

yasuo-ssi.hatenablog.com 圧倒的に使用頻度が高いのはこのツールです。フィルムを取り込んだデジタル画像の調色に使うだけでなく、それらのカビ、ほこり取りや、スキャンした書類の汚れ取りにも活用できます。デジタルカメラで撮影した画像でも活用可能です。もちろんデジタルカメラの画像だと、変褪色が起こりやすかったり、取り込み上の問題が起こりやすかったりするフィルムとは異なり、カメラ側のホワイトバランス設定を間違えていない限り、大きくカラーが狂うことはまずないので、活用するとすれば、主として意図的なカラーグレーディング目的になるとは思います。

 

2位. 画像ファイルをレイヤーマスクとして読み込むGIMPプラグイン

yasuo-ssi.hatenablog.com1. の使用頻度が高ければ、当然これで作成したマスク用画像ファイルをGIMPにおけるマスクとして貼り付けますので、このツールも大活躍ということになります。

 

3位. GIMP可視レイヤー直接エクスポートプラグイン

yasuo-ssi.hatenablog.com これも結構使っています。というのは標準のエクスポート機能を使ってエクスポートするときに画像の統合をしないと、エクスポートされた画像が、思っていた画像にならないのですが、編集過程を残したくて画像統合をしたくない場合があります。その場合は一旦エクスポート前に保存を掛け、その後画像統合してエクスポートし、終わったら保存しなければ良いだけなのですが、うっかり最後に保存を掛けて編集過程が消えてしまうということがあります。このエクスポートプラグインを使うとその心配がなくなります。

 

4位. 不均等黄変ネガ補正用Bチャンネル再建法補正ツール (ImageJ & GIMP対応)

yasuo-ssi.hatenablog.com これらに次ぐのが、Bチャンネル再建法補正ツールです。やはり黄変したネガフィルム画像が一定数ありますので、結構出番があります。なおこれ以外に、Bチャンネル再建法の簡易補正ツールも公開していますが、簡易版の方はファイルのピクセルサイズが大きくなると結構実行時間がかかること、それに、昨年2月に、Bチャンネル再建法補正ツールの本家版の中に、GIMPでの読み込みやRGB合成編集の自動化プラグインを追加して、かなり編集の手間が減ったことから、最近は簡易補正ツールはほとんど使っていません。但しフルHD以下の画像なら、簡易補正ツールでも実用的な速度で走ると思います。今、主に扱っているフィルムスキャン画像は長辺が7000~7500ピクセルありますので...

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 逆に最近出番が減っているツールは、以下のGIMP用ツールです。

yasuo-ssi.hatenablog.com

yasuo-ssi.hatenablog.com 下の方のツールは私の自作ではなく、他の方の作成したツールの日本語化方法の紹介ですが...

 この両者の出番が減っている理由は、自分がGIMPの操作体系に慣れてきたことが大きいです。また、自作プラグインコンテキストメニューに表示できない点 (自分が方法を知らないだけかもしれませんが) も痛いです。

 例えば、マスク編集モードの切替ですが、コンテキストメニューを使うと、以下のようにマウスを動かす量が少なくて済みます。

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 また、選択範囲をコピーして別レイヤーとして貼り付ける場合は、フローティングレイヤーとして暫定的に貼り付いた後、以下の様にすれば別レイヤーとして貼り付けられます。当初はPhotoshopに慣れていましたので、選択範囲を貼り付けようとすると、一旦フローティングレイヤーとして暫定的に貼り付く、というワンクッションが煩わしいとも思っていましたが、それもメリットがあると分かってきましたので、最近は使い分けて、GIMPネイティブの方法を使うことも多いです。

 要は、一旦貼り付けたものを移動させる必要があるなら、プラグインを使わないほうが、逆に移動させる必要がなければプラグインを使ったほうが便利ということです。

youtu.be

選択範囲を別レイヤーとして貼り付けるオプションボタンの位置



 

 

主に中間車として使用され、お顔の拝顔が困難だった 身延線 クモハ51850 (蔵出し画像)

 こちらはクモハ51852と同様、クモハ43から改造されたクモハ51です。横須賀線時代に混雑緩和の目的で43008を改造し51202になり、さらに低屋根改造され51850になりました。なお、以前書いたように身延線車両の中では唯一側面サボ受けがヘッダーの上についていました。これは一時、中央西線篠ノ井線の上松-松本-麻績間のローカル運用として北松本運転支所に貸し出され、北松本標準に合わせたためです。また返却後は次の全検までスカイブルーでしばらく活躍していたようです。また、北松本貸し出しのころまでパンタグラフはPS-11を維持していたようですが、返却後の大船工場全検で残念ながらPS-13に交換されてしまいました。

 身延線では、4両編成運用でサハ45の次位につながれ、ほぼ中間車専用として使われました。従って先頭部分を見られる機会はまれでした。

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クモハ51850 (静ヌマ) 1977.5 富士駅

 しかし、幸いなことに筆者は、先頭部の写真を撮ることができました。

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クモハ51850 (静ヌマ) 1981.8 富士電車区

 本車の正面ですが、幌枠は原型のままです。これは51852も同じです。

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クモハ51850 (静ヌマ) 1981.8 富士電車区

 本車はもともと関西で偶数向きに製造されていましたので、1-3位側が当初から電気側でした。しかしこの写真を見ると大阪の標準配置と異なります。おそらく豊川分工場での更新修繕の際、関東標準に配置を直されたものと思われます。

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運転台後部の窓が潰されていたのが特徴的な 身延線のクモハ51810 (蔵出し画像)

 こちらは、モハ51の第1次車、関東向けのモハ51008を低屋根化した車両です。1935年度に製造された第1次車 モハ51001~010の特徴は、半室運転台だったことですが、これは大阪に移った後更新修繕で全室運転台に改修されました。しかしこの車はその改修の際、1-3位側の運転台後部の窓が潰されて、ちょっと特異な姿になりました。

 同じように運転台後部の窓が潰された車両として、私は写真が撮れませんでしたが、岡山区にいたクモハ51001がいたようです。

 運行灯もHゴム化されていましたが、戸袋窓はオリジナルのままでした。また関西型通風器が維持されていたのも特徴です。

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クモハ51810 (静ヌマ) 1977.9 富士電車区

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クモハ51810 (静ヌマ) 1981.4 富士電車区

 2-4位側の乗務員室扉後部の窓も元々半室運転台の窓だったため、乗務員室扉側に寄っています。これは1次型クモハ51を種車にしたクモハ51804~810に共通する特徴です。

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ARTでフジフィルム Velviaをエミュレートした編集を行う

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 ARTのフォーラムに、フジのVelviaをエミュレートした S. Sowerby氏作成のLUT(ルックアップテーブル)ファイルを使った画像と、LUTを使わずにARTの編集機能のみでVelviaをエミュレートしてみた結果の比較を載せた記事があります。

discuss.pixls.us

 また、このページから、オリジナルのRawファイルとARTの編集設定ファイル(arp形式)もダウンロードできます。このarpファイルを読み込むとどのような編集をやっているのか、パラメータが分かりますので、編集作業の参考になると思います。またarpファイルを他の画像ファイルに適用すれば、直ちにVelvia風になります。

 以下の画像キャプチャもここで配布されているRawファイルを使わせていただいていますが、以下の条件によって使わせていただいております。

creativecommons.org

 arpファイルは、ダウンロードしたらARTの[処理プロファイル]の「ファイルからプロファイルを読み込みます」から読み込んで適用してください。

処理プロファイルの読み込み

処理プロファイルのパラメータ

 

飯田線を経由してやってきた 身延線 サハ45012 (蔵出し画像)

 本車は、身延線にいたもう1両のサハ45です。1975年3月までは5両のサハ45が揃っていましたが、アコモ改造車の配備で、3両は大糸線に転出しました。本車は横須賀線退役後、他のサハ45とは離れ一人飯田線に行きました。しかし1969年他の仲間と合流しました。

サハ45012 (静ヌマ) 1977.5 富士駅

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サハ45012 (静ヌマ) 1981.6 富士駅
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Bチャンネル再建法の近景補正レイヤーに関する実験

 Bチャンネル再建法による不均等黄変フィルムの補正では、近景補正レイヤーに対し、Rチャンネルを明るくしたイメージをマスクとして貼り付けています。これはこの補正法を考えた時に、Bチャンネルに対しGチャンネルの情報をミキシングしていきますので、色の多様性が減ります。その多様性をなるべく回復するためにこのような対策を行ったわけです。ただし、何らかのデータに基づいて決めたわけではありません。ですので、これが本当に適切なのか迷いがありました。例えばRチャンネルを反転した画像を明るくしたイメージを貼り付けたほうが良いのかもしれません。そこで何枚か試してみました。

 まず、オリジナルです。

オリジナル (作成元ファイル)

 例えば、劣化したBチャンネルの代わりにGチャンネルのイメージを使って、再度3原色合成を行ってみると...

Bチャンネルの代わりにGチャンネル画像を入れて3色合成した画像

 全体的に緑っぽくなります。BとGの差がなくなり、青の特徴が出なくなるのですから当然ですね。そして、以下は現行のBチャンネル再建法を適用した結果です。BチャンネルにGチャンネルの情報を70%ミキシングし、さらに近景補正レイヤーに対しR画像を明るくしたマスクを掛けています。

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幌枠が残っていた身延線のクハ47110 (蔵出し画像)

 本車は元クハ58のグループの内、身延線では唯一幌枠が残っていた車両です。クハ58は1950年に上京して横須賀線に配備されましたが、1951年からの70系の投入でモハ32(後のクモハ14)を静鉄に転出させるにあたり、足りないクハの補充として全車モハ32のお供で静鉄に転出しました。その後、1958年に飯田快速編成を非貫通のMcTc+McTcではなく、貫通4両編成に変更することとなり、それに充てるために貫通路のついていた富士電車区のクハ47100代の過半数飯田線豊橋区に転じました。

 身延線に残ったクハ47100代は、幌枠を撤去し、運転室を全室化し、貫通路を使用しないこととなりましたが、本車は更新修繕IIの際にオリジナルの幌枠が撤去されずそのまま残りました。あるいは飯田線転属の可能性も考えて敢えて残したのかもしれません。但しこの幌枠は、飯田線に転属した47100代に更新修繕IIの際に設置された幌枠とは異なります。しかし、本車が飯田線に転出することはなく、1981年の新性能化まで身延線で活躍しました。

 なお、正面貫通路には、かつて貫通路乗客未供用時代の関東国電にあった、3-4位の貫通路に設置されていたような大型の手すりが設置されました。幌は復活することはありませんでしたが、業務目的で乗務員が正面貫通路を使う可能性を考慮していたのでしょうか。この手すりは本車と47106に設置されていました。

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クハ47110 (静ヌマ) 1981 富士電車区

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クハ47061(右)とともに 1977.5 富士電車区

 なお、正面右側の運転台窓がやや小さめになっている点が、他のクハ47100代と異なります。

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