写真の褪色補正を考えるうえで、海外の褪色補正に関するネット上の記述も随分調べてみました。その中から、褪色補正に有用なソフトウェアの口コミ情報や評判について紹介してみたいと思います。なお、前にも書いた通り、欧米では湿度が低いせいか、あるいはポリエチレンネガシートの普及率が低いせいか、ネガの不均等変退色補正に関する記事は、探した範囲では見当たりませんでした。いずれも均等な褪色に対する補正に関する評価や口コミ記述です。また、日本に比べると、全体的にフィルムスキャンよりも褪色した印画写真をスキャンしてどう補正するかという書き込みの比重の方が高いように思われます。
1. Kodak Digital ROC Pro plugin for photoshop
多分、褪色補正に関して評判が高いのがKodak Digital ROCです。Vuescanの解説本である、Steinhoff, Sascha, 2011, "The VueScan Bible: Everything You Need to Know for Perfect Scanning"にも、本格的な褪色補正を行いたいなら、Vuescanの褪色補正オプションよりもDigital ROCを使えと書いてあります。もともとはApplied Science Fictionという会社が開発したものですが、その会社がKodakに買収され、Kodak Digital ROC になりました。かつてNikon等のフィルムスキャナにも搭載されていた技術です。しかし、10年以上前から開発が止まり、64bit版の開発もなく、ついに昨年には販売停止になってしまいました。海外のネットでは32bit版しかない Kodak Digital ROC が使いたいので Photoshop を64bit版にバージョンアップできないとの嘆きの声も出ています。
例えば2016年の議論ですが...
あるいは、2012~3年の議論ですが...
www.dpreview.com 皆さん、Kodak Digital ROCの64bit版 Photoshop対応が止まっているので困っている様子です。
また、このため、32bitのプラグインを64bit Photoshopで走らせるプラグイン (有料) を使っている人もいるようです。
2. Vuescan
上の、"Alternative to Kodak Digital ROC Color restoration"にも言及されていましたが、Kodak Digital ROCの代替としてVuescanの名前が挙がっています。
以下の書き込みは Vuescan を推薦するものです。
また、以下は、Vuescanがスキャン結果をRawファイルで保存できる意義に関する書き込みです。
3. Photoshop / Photoshop Elements
一方、Photoshop Elementsの自動カラー補正の有効性を主張する記事もあります。以下の記事はPhotoshop Elements, Affinity Pro, EPSON Canonの純正スキャナドライバ,Vuescan の写真スキャン結果を比較し、Photoshop Elementsが最も効果的だと論じています。
www.scanbasics.com 但し、これは取り込みのソースは、ネガフィルムではなくアルバムにあった印画紙写真のようです。さらに Vuescan はなぜか褪色補正をOffにして取り込んでいます(単なる書き込み上のミス?)。
個人的には、少なくとも、Vuescanのフィルムスキャンデータの褪色補正機能に関していうと、 Photoshop の自動カラー補正より上だと思いますが、褪色印画紙のスキャンデータでは変わるかもしれません。
4. Color Perfect (Photoshop Plugin)
国内には、極めてユーザーが少ないと思われる、ドイツの C F Systemsが開発している、Photoshop および ドイツで開発されている Photoshop 類似ソフト PhotoLine (Paint Shop Proのドイツ/EU版的位置づけ) 用プラグインソフトです。
上で言及した"Alternative to Kodak Digital ROC Color restoration"の最後に Color PerfectがKodak Digital ROCより良い結果が出ると論じている書き込みがあります。
因みにこちらにColor Perfectのユーザフォーラムがあります。
Flickr: ColorPerfect (ColorNeg) User Group discussion topics
ちなみに ColorPerfect は、Light Roomについて、写真整理機能を使うにしても、Raw現像や調整はLight Room (またはCamera Raw) で行わず、ColorPerfect で行って Photoshopに渡すことを推奨しています。このため VuescanでRawファイルを生成するときは、DNGファイルではなく (Photoshopで直接読めないため) TIFF形式で保存するように指示しています。
このあたりの技術的な議論は公式サイトのこちらをご覧ください。
あと、C F Systemsの公式ページはこちら
かつてJASCが開発していた時代、シェアウェアとして国内でも Photoshop 代替ソフトとして人気を誇っていた Paint Shop Pro ですが、2004年にCorelに買収されました。現在は、一般市販ソフトとして販売されており、国内では、現在、ソースネクストが代理店となり市場に供給しています。しかし国内では、市販ソフト転換後、シェアを落としていると思います。もっとも海外では、ここ数年、Corel の代名詞的な存在のソフトウェアに育ってきているようです。
Windowsreport.comの以下のサイトでは6本のフォトレタッチソフトウェアを比較し、古い写真を復元するためのベストのソフトは Photoshopとしていますが (褪色補正のみならず、スクラッチや汚れ、破れの補修を含む)、褪色補正に限っては、Paint Shop Proを特に推薦すると論じています。
6. Silverfast (Negafix)
機能や使い勝手紹介の口コミはありますが、褪色補正に関する適当な口コミが見つかりませんでした。以下は使用方法を紹介したサイトです。
www.filmshooterscollective.com
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他に、Photoshop や Lightroomで色レベルやトーンカーブを使って調整する方法を指南する記述もあります。いくつか事例を...
下の記述はネガフィルムのベースカラーをベースカラー測定機能のないPhotoshopやLightroom上でマニュアルで測定して、反転後のネガ写真のカラーを適正に調整する方法について論じています。
いくつかの方法を紹介していますが、この中で、最も良い方法としているのは、レベル補正を使って、R, G, Bそれぞれの山が始まる最も暗い部分と明るい部分にスライダーを合わせて調整するという方法です。