省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

蔵出し画像 福塩線 クモハ51043 (1977年3月)

 引き続き福塩線の旧型国電を紹介します。こちらは福塩線を走っていたクモハ51043です。

f:id:yasuo_ssi:20210211211149j:plain

クモハ51043 (岡フチ) 福山駅

 福塩線の旧型国電は、全国で唯一、新幹線ブルー(青色20号)一色に塗られており、非常に異彩を放っていましたが、この車両はその中の一両でした。Hゴム化は最小限にとどめられていて、好ましい印象です。福塩線は、1970年代前半はクモハ51とクモハ41が混在して使われていたようですが、1976年に岡山地区の旧型国電が、東北本線115系冷房車が投入されて押し出された非冷房の115系に置き換えられると、一部捻出されたクモハ51が福塩線に転用され、このころはクモハ51, クハ68に統一されていました。また岡山から押し出されたクモハ51の中には塗り替えられずにそのままマルーンのまま活躍している車両もいました。

 

 さらにこの写真撮影後、1977年夏に阪和線の新性能化で押し出されたスカ色の70系に置き換えられ、その70系もその後、1981年に本線用に新規に開発された1M方式の、新製されたイエローと青20号に塗り分けられた105系に置き換えられました。現在もそのまま40年近く105系が活躍しているようです。クモハ51+クハ68時代の福塩線は、Mc+Tc を基本に、時に基本編成 x 2だけでなく、Mc単独の運用を加えて、Mc+Mc+Tcという編成で運用されてもいましたので、70系時代は輸送力過剰気味だったのではないでしょうか。また、クモハ51時代は、常時中間扉が締め切り扱いで運用されていました。

 話は若干それますが、105系はその後オレンジバーミリオンに塗られた新製車が宇部小野田線にも投入され、さらに103系から改造された105系が和歌山、桜井線にも投入されました。この改造105系は最後まで原型103系に近い姿をとどめていましたが、残念ながら近年廃車になってしまったようです。また、運用減で福塩線から和歌山地区に転用されていた、オリジナル3扉の105系もこの3月引退となったようです。

 ちなみにこの写真かなりの逆光かつ露光不足で失敗していたので、今まで公開できなかったのですが、RawTherapeeの「CIE色の見えモデル2002」で補正を掛けてみました。まさにこのような写真に使うべき補正ツールのはずですが、効果のほどはいかがでしょうか? なお、幸い不均等黄変には陥っていませんでした。参考までにオリジナルを掲げます。

f:id:yasuo_ssi:20210212112834j:plain

補正前オリジナル

 最後は例によって本車の車歴です。

1937.2.19川崎車両製造→1937.5.28使用開始(大ヨト)→1937.9. 大ミハ→ 1937.12.10 大アカ → 1944.7.19 座席撤去 → 1948.12.15 座席整備 → 1954.5.20 更新修繕I 吹田工 → 1964.9.17 岡オカ → 1972.4.1岡フチ → 1977.11.14廃車(岡フチ)

 製造当初、城東・片町線に投入されたのが意外です。クモハ51では3両のみが大ヨトに配置された経歴を持っています。その後は東海道山陽線に移りましたが、比較的早い時期、1964年に岡山に移り8年活躍後、福塩線に移動となり、5年で廃車という経歴になっています。