引き続き福塩線の旧型国電を紹介します。こちらは福塩線を走っていたクモハ51043です。
福塩線の旧型国電は、全国で唯一、新幹線ブルー(青色20号)一色に塗られており、非常に異彩を放っていましたが、この車両はその中の一両でした。Hゴム化は最小限にとどめられていて、好ましい印象です。福塩線は、1970年代前半はクモハ51とクモハ41が混在して使われていたようですが、1976年に岡山地区の旧型国電が、東北本線に115系冷房車が投入されて押し出された非冷房の115系に置き換えられると、一部捻出されたクモハ51が福塩線に転用され、このころはクモハ51, クハ68に統一されていました。また岡山から押し出されたクモハ51の中には塗り替えられずにそのままマルーンのまま活躍している車両もいました。
さらにこの写真撮影後、1977年夏に阪和線の新性能化で押し出されたスカ色の70系に置き換えられ、その70系もその後、1981年に本線用に新規に開発された1M方式の、新製されたイエローと青20号に塗り分けられた105系に置き換えられました。現在もそのまま40年近く105系が活躍しているようです。クモハ51+クハ68時代の福塩線は、Mc+Tc を基本に、時に基本編成 x 2だけでなく、Mc単独の運用を加えて、Mc+Mc+Tcという編成で運用されてもいましたので、70系時代は輸送力過剰気味だったのではないでしょうか。また、クモハ51時代は、常時中間扉が締め切り扱いで運用されていました。
話は若干それますが、105系はその後オレンジバーミリオンに塗られた新製車が宇部・小野田線にも投入され、さらに103系から改造された105系が和歌山、桜井線にも投入されました。この改造105系は最後まで原型103系に近い姿をとどめていましたが、残念ながら近年廃車になってしまったようです。また、運用減で福塩線から和歌山地区に転用されていた、オリジナル3扉の105系もこの3月引退となったようです。
ちなみにこの写真かなりの逆光かつ露光不足で失敗していたので、今まで公開できなかったのですが、RawTherapeeの「CIE色の見えモデル2002」で補正を掛けてみました。まさにこのような写真に使うべき補正ツールのはずですが、効果のほどはいかがでしょうか? なお、幸い不均等黄変には陥っていませんでした。参考までにオリジナルを掲げます。
最後は例によって本車の車歴です。
1937.2.19川崎車両製造→1937.5.28使用開始(大ヨト)→1937.9. 大ミハ→ 1937.12.10 大アカ → 1944.7.19 座席撤去 → 1948.12.15 座席整備 → 1954.5.20 更新修繕I 吹田工 → 1964.9.17 岡オカ → 1972.4.1岡フチ → 1977.11.14廃車(岡フチ)
製造当初、城東・片町線に投入されたのが意外です。クモハ51では3両のみが大ヨトに配置された経歴を持っています。その後は東海道・山陽線に移りましたが、比較的早い時期、1964年に岡山に移り8年活躍後、福塩線に移動となり、5年で廃車という経歴になっています。