ここのところ、Gチャンネルがおかしくなっている(Gチャンネルの暗部飽和を起こすとともに、全体的にマゼンタがかる画像)ファイルを立て続けに補正してきて、大体定番となる補正手続きが固まってきました。
因みにこのようなGチャンネルの異常は、どうも露光不足気味のネガを、スキャナドライバに組み込まれているKodakのDigital ROCを掛けて補正したときに頻繁に発生するようです。
すでに何度か書いているようにこのような画像は拙作の汎用色チャンネル再構成ツールと相対RGB色マスク画像作成ツールを使って補正します。
例えばオリジナルが下記の通りだとします。
まず汎用色チャンネル再構成ツールですが、起動したら、次のパラメータで走らせてください。
GチャンネルをRチャンネルの情報をミックスして補正しますが、Rチャンネル混入率を0.8に設定します。またミキシングモードは、Darken (比較暗) を設定してください。それ以外はデフォルトで大丈夫です。
次に、相対RGB色マスク画像作成ツールを使って暗部透過マスクを作ります。パラメータ設定は以下の通りです。
[Mask Invert for Negative Mask] にチェックを入れます。また、[Mask Transparency Factor] (マスク透過係数) は2.0に設定します。Upper ThresholdとLower Thresholdは、プレビュー画像を見ながら決定しますが、おおむねLowerは0 Upperは40台ぐらい値が適当です。
これで合成された画像が以下の通りです。
これで以下のようなマスクができます。
そして、GIMP上でプラグインを使って汎用色チャンネル再構成ツールで作成したファイルを読み込みます。次にG 2割、R 8割で合成した画像で合成したレイヤーに対し、上で作成した暗部透過マスクを掛け、その下にオリジナルのGチャンネルレイヤーを持ってきて重ねます。
合成レイヤーとオリジナルGチャンネルレイヤーのみ可視レイヤーとして指定し、可視画像をレイヤーに転換し、転換した新規レイヤーを新Gチャンネルとして既存のR, Bチャンネルと合わせて、RGB合成を行います。
チャンネル合成して出来た画像が下記です。
一見するとあまり変わっていないようですが、Gチャンネルの暗部飽和が解消されています。暗部を明るく増幅しても緑浮きしないはずです。
これである程度暗部も改善されているはずですが、それでもなお、暗部が暗すぎてより明るくしたい場合は、ここで、シャドウ-ハイライト機能を使って暗部を明るくするか、あるいは、レイヤーをコピーして、コピーしたレイヤーに対し上の暗部透過マスクを掛け、スクリーンモードで重ねて、暗部を補正します。
この画像ををTIFFとして出力します。
このTIFFファイルをRawTherapeeで読み込み、露出、コントラストを補正し、さらにRGBカーブを使って次のように補正を掛けます。
Gチャンネルをミドル~暗部を中心に若干引き上げます。
さらに、Rチャンネルをミドルトーン領域を中心にごくわずかに引き下げます。ここで原則として最終出力して終わりとします。なお、RawTherapeeのRGBカーブはおそらくリニアベースで作用しているので、ごくわずか動かしただけで結構見た目の補正量が大きくなりますので注意してください。ヒストグラムをにらみながら補正することをお勧めします。
なお、オリジナルを再掲しますので、見比べてください。
なお、前の作例では、相対RGB色マスク画像作成ツールを使ってマゼンタ透過マスクを作成していました。しかし、RawTherapeeのRGBカーブを使ってもマゼンタが取り切れない場合のみ、マゼンタマスクを使って補正すれば良さそうです。多くのケースはマゼンタ透過マスクまで作らなくても補正できます。
RawTherapeeのRGBカーブを使ってもマゼンタが取り切れない場合とは、RGBカーブでGチャンネルを引き上げ、マゼンタを取ろうとすると同時に画像全体が青に傾きすぎてしまうようなケースです。マゼンタ透過マスクの効果は絶大ですが、最後にRawTherapeeでグローバルにGチャンネルを引き上げる補正を行っても不十分な場合のみに限って構わないと思います。