省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

GIMP 写真補正テクニック / 影-ハイライトモジュール

 今回は、GIMPの影-ハイライトモジュールを取り上げます。シャドウ部を明るくしたり、ハイライト部を暗くしたり、ということが可能です。例えば、ハイライト部とシャドウ部のコントラストがありすぎるばあい、シャドウ部を引き上げるというような補正に使えます。

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影-ハイライトモジュールのダイアログ

 なお、GIMP Ver. 2.10.24ではダイアログは部分的にしか翻訳されていません。また公式マニュアルも英文のままです。

 Shadows, Highlightsの区分の下の、Shadows, Highlightsはそれぞれ補正量で、+に引き上げると明るく、-に引き下げると暗くなります。その下のcolor adjustmentは彩度を引き上げるかどうかで、50よりも上げると彩度を上げ、下げると彩度を下げるようです。

 その下の Common ですが、White point adjustmentを引き上げると全体的に明るく、引き下げると全体的に暗くなります、例えば、上でShadowsを引き上げ、highlightsを引き下げた状態で、White point adjustmentを引き上げると、コントラストが下がった状態で全般的に明るくなります。

 Radiusは半径という意味ですが、明るさを判定するピクセルの範囲を示しています。Radiusを引き上げると、明るさの変化の範囲がより広くなるのでよりふわっとした変化になりますし、引き下げると、より狭い範囲のピクセル値に基づいて変化させますので、よりカチッとしたシャープな変化になります。やりすぎると人工的になってしまいます。

 Compressはミッドトーンに対して集中的に変化させるか、それともシャドウからハイライトの広い範囲に変化を及ぼすかの違いで、値を引き上げるとミッドトーン中心に値が変化し、シャドウやハイライト域の変化は少なくなります。

 次に事例ですが、以前お見せした福塩線の電車写真を、ハイライトを引き下げ、シャドウを引き上げる補正を掛けた事例です。まずオリジナルです。

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補正前オリジナル
クモハ51043 (岡フチ) 福山駅

 以下、影-ハイライトモジュールを使って補正します。

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シャドウ引上げ、ハイライト引下げの事例

 

 このケースの場合は車体の方が道床より暗いので、単純なシャドウ引上げだと車体が沈み込んでしまいます。そこで、前にお見せした事例ではマスクをかけてスクリーンモードで補正したところです。 ただそのような問題がなければ、それなりにうまくいくと思います。

 次に、シャドウ部を引き上げる例を出したいと思います。まずオリジナルです。

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オリジナル

 これをshadowsの値を引き上げてシャドウ部を明るくしてみます。

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シャドウを引き上げているところ

 ただ、やりすぎると、シャドウとハイライト部の境界線が目立ってしまいます。

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やりすぎると境界が浮き上がってしまう

 なお、知覚的ガンマ補正を掛けた通常の画像(上の事例)だと、すぐ境界が目立ってしまいますが、リニア画像だと比較的目立ちにくいです。

 因みにPhotoshopのシャドウ・ハイライトモジュールのダイアログも参考までに示します(詳細オプション表示)。

 

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Photoshopのシャドウ・ハイライトモジュールのダイアログ

 シャドウ、ハイライトの量がGIMPのshadows, highlightsに相当します。半径はRadiusですが、Photoshopピクセル単位で指定するようになっていますが、GIMPでは相対値です。またPhotoshopでは半径はシャドウ、ハイライト別々に指定できるようになっています。

 調整の下のカラー補正が、color adjustmentに相当すると思いますが、PhotoshopではGIMPとは逆にこちらはシャドウ、ハイライト別々に指定できません。中間調のコントラストは、Compressに相当するようです。

 シャドウ、ハイライトのクリップ値も指定できますが、これらはGIMPでは指定できません。諧調の幅もGIMPでは調整できません。

 なお、同じファイルを使ってPhotoshopでも調整を試してみました。

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Photoshopでの調整

 結構明るくしても境界はあまり目立ちません。GIMPとはアルゴリズムが異なるようです。

 因みにこの機能と比較するために、以前お示ししたようなシャドウ部を透過させるマスクをかけて、スクリーンモードで重ねると以下のようになりました。

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掛ける暗部透過輝度マスク (ポジ)

 この暗部透過マスクは、拙作の相対RGB色マスク作成ツールを使って、輝度(Luminosity) 0-72の範囲で、透過係数に2.0を掛けて作成したグレースケールポジマスク画像です。

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スクリーンモード調整結果

 上のマスクを掛けたレイヤーをスクリーンモードで重ねたのが上の結果ですが、不透明度100%だと効きすぎるので、65%に下げています。暗部の引上げ量が多い場合は、影-ハイライトモジュールを使うよりナチュラルです。

 また、同じマスクをかけて、スクリーンモードではなくガンマを補正した結果も掲載します。

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ガンマ1.5で補正

 こちらは同じマスクをかけ、暗部をレベル補正モジュールを使ってガンマ1.5で補正しました。ほぼ同等ですが、こちらの方が影の青みが少なく、微妙にコントラストが高いかもしれません。

 さらに同じマスクを掛けてトーンカーブ補正もやってみました。

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トーンカーブで補正

 カーブを凸状に引き上げるとハイライト部とシャドウ部の境界線が強調されてしまいます。仕方なく凹状に引き上げましたが若干効果が薄いかもしれません。またシャドウの青みも多いです。

 なお、マスクをかけてシャドウ部の改善を図るには、結構どのようなマスクを作るかが重要で、今回何度か試行錯誤しました。

 以上から、GIMPにおける、マスクを掛けた暗部引き上げに比べた、影-ハイライトモジュールの特徴として、1) 暗部を引き上げた時、他の方法に比べて暗部のコントラストがはっきり出る 2) 暗部の引上げ量が大きいと、シャドウ-ハイライトの境界線が不自然に強調される という点が指摘できそうです。あまり暗部の引上げ量を上げないという点が注意点でしょう。とはいえ、マスクを作る手間が省けるという点では有効です。

 

 なお、シャドウ-ハイライトの境界が強調されにくいという点ではPhotoshopのシャドウ-ハイライトモジュールの方がGIMPより優れています。

 

 以下のサイトにGIMPの影-ハイライトモジュールの具体例を例示した詳しい説明があります。

daviesmediadesign.com