〇簡単な現像処理ステップ
右パネルにある現像処理ツールを使った、簡単な現像事例をお見せします。
右上にメインツールグループの8つのボタンがあります。最初は、最初のボタンがブルーの下線がついて選択された状態です。これは露出グループです。
各ツールグループのタブは、各ツールのサブグループに分かれています。例えば露出では、
- 露出 (Exposure)
- トーンイコライザー (Tone Equalizer)
- トーンカーブ (Tone Curves)
- ダイナミックレンジ圧縮 (Dynamic Range Compression)
- 対数トーンマッピング (Log Tone Mapping)
とりあえず、トーンイコライザーを見てみましょう。
ツールのサブグループ名の左隣には、ツールをOn/Off するスイッチボタンがあります。
右の矢印ボタンは、ツールをデフォルト値にリセットするボタンです。
各ツールは畳まれていて、何もないように見えるかもしれません。ツール名をクリックすることで、ツールパネルを畳んだり展開したりできます。
トーンイコライザーをオンにするとこうなります。
先にサンプルとして読み込んだ画像は、建物の手前壁面がやや逆光気味で暗くなっており、また手前の道路も影になっています。そこで影を少し明るくします。
クリック&ドラッグでシャドー領域スライダーを左右に動かして効果を見てください。Rawデータから現像処理するため、プレビューに反映されるまで少し遅れが生じます。画面の左下にプログレスバーが表示されます:
この画像のシャドー部分を引き上げるのに、+59に設定しました。
さらに、空が白っぽくなっていますが、空の青を強調したいので、ハイライト領域と、白領域のスライダーを左に寄せました。これで画面は以下のようになりました。
[参考]
トーンイコライザーの代わりにトーンカーブを使うこともできます。こちらの方はより複雑なトーン編集が可能ですが、場合によってはカーブを編集することで色ずれや彩度変化が起こることがあります。トーンイコライザーは色ずれや彩度の変化が起こりません。
次の現像処理ツールグループは、ディテールです。
このツールのサブグループは:
- スポット除去(Spot Removal)
- シャープニング(Sharpening)
- ノイズ低減 (Noise Reduction)
- 最終スムージング (Final Soothing)
- インパルスノイズ低減 (Impulse Noise Reduction)
- フリンジ低減 (Defringe)
この画像をシャープにするため、シャープニングツールを使います。シャープニングサブグループの横にあるOn/Offスイッチをクリックして、ツールを有効にして下さい。
画面をすっきりさせるために、使わない他のグループのツール名をクリックして、ダイアログを閉じ、シャープニングのみ展開された状態にします(ツール名を右クリックすると、当該ツール以外の他のツールはすべて閉じた状態になります)。
シャープニング ツールのパネルは下記のようになります:
画像をシャープにするには3つの方法があります。RLデコンボリューションとアンシャープマスク、およびカスタムRLデコンボリューションです。なお、カスタムRLデコンボリューションはエキスパート向けの機能ですので、通常は前2者のいずれかを使います。ここでは一旦アンシャープマスクを使います。方式のドロップダウンリストをクリックしてアンシャープマスクを選択します。するとこうなります。
そうしたら、シャープニングツールの効果が分かるようにズームインします。画面右下の1対1ボタンをクリックして、1対1ピクセルを表示させるか、100%ズームを選択します。
どの程度の範囲が見えるかはディスプレイの解像度によります。画面の解像度が低ければ、建物の真ん中のごく一部しか見えないはずです。
シャープニングツールを有効にしたとき、デフォルト値がセットされています。従って今見えている画像にはすでにシャープニングが適用されています。この効果をもっと強めて、木の木目をもっとはっきりさせたいので、半径を0.70適用量を260まで引き上げます。
画像の中心部にズームした状態です:
変形ツール (Transform tools)
画像の大きさをスクリーンに合わせるように、ズームを戻してください(ショートカット [f] キー)。
建物のゆがみを軽減し、画像の周辺部を切り取ってみます。
6番目の現像処理ツールは変形です。
変形ボタンを開いてツールグループを開きましょう。ここのサブグループは:
- 切抜き (Crop)
- リサイズ (Resize)
- リサイズ後のシャープニング (Post-Resize Sharpening)
- レンズ/ジオメトリ (Lens / Geometry)
- パースペクティブ
- レンズ補正 プロファイル
- 歪曲収差補正
- 周辺光量補正
垂直の補正 (Adjust the verticals)
まず、垂直を補正するにはレンズ/ジオメトリツールを使います。このツールは常時オンなので、オン/オフボタンはありません。ただドロップダウンの矢印をクリックして展開するか、畳むかのみです。
次に2番目のパネル、遠近歪み(パースペクティブ)補正に移ります。
このツールをオンにした時、デフォルトの値が入っていますが、これらの値は何の補正も行わない値です。画面の上の方を広げたいので、垂直スライダーを使います。スライダーを右に+1動かしてみましょう:
わずかに上側が広がります。お好みにより値を上下させてみてください。
レンズ/ジオメトリツールのトップにオートフィルチェックボックスがあり、デフォルトでチェックがついています。これは、ジオメトリーを変えた時に端を自動的に切り取ります。このチェックボックスをオン/オフしてみて効果を確認してみましょう。
画像の切り抜き
変形ツールグループのトップにある、切り抜きツールを右クリックして開き、他のツールは閉じてください。但しまだオンにしないでください。
切り抜きツールは以下の通りです。
この入力パネルには、切り抜き範囲の左 / 上のスタート地点 [デフォルトの座標値は0, 0 ] と切り取り範囲の幅と高さ [デフォルト値は、画像自体の幅と高さと同じ値] が表示されています。従ってデフォルト値のままでは、まだ画像の何も切り取られていません。
この値を変更して画像を切り抜き始めるには2つの方法があります。このツールをオンにして、値を+ / - を使って変更するか、イメージを直接クリックしてドラッグして範囲を指定するかです。値を指定する方法は、正確ですが、時間がかかります。
画面の左上にはツールボタンの並びがあります:
このうち2つを見てみましょう。最初は矢印ボタンです。このボタンは、ズーム倍率に関係なく、画面の中でイメージをドラッグすることができます。
次は切り抜きボタンを見てみましょう。右から2番目にあります:
切り抜きボタンをクリックすると切り抜きツールがオンになり、画像上でクリックしてゆっくりドラッグすることにより、切り取り範囲を指定できます。例えば以下のように:
この切り抜き範囲はオリジナルの画像の縦横比のままになっているのに気付くと思います。しかしこの比は変えられます。
切り抜きツールの中に、 縦横比固定 というチェックボックスがあります。このチェックを外し、指定範囲の境界や角をクリックしてドラッグすることで、切り抜き範囲の形を変えられます。例えば下記のように:
ここまで簡単な画像編集を行ってきました。これで、オリジナルRawファイルから、以上の変更を加えたファイルを出力する準備ができました。
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[参考]
この入門ガイドではカラー編集を含んでいません。なお、カラー編集のツールとしてはカラータブにある各種ツール、およびローカル編集タブにある [カラー/トーン補正] が使えます。撮影した画像のカラーが本来あるべき色彩とはずれていてそれを修正したい場合は、主としてホワイトバランスを使い、それ以外の意図的な色の調整 (カラーグレーディング) は他のツールを使うことが一般的です。特に ART ではカラーグレーディングの中核的なツールとして [カラー/トーン補正] が使えると思います。
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