さて、先日 darktable3.6.1のノイズ低減が劇的に改善したという報告をしました。では今回カメラを変え、Olympus E-5の高ISOノイジー画像の現像を比較してみます。ISOはE-5の最大値であるISO6400です。
以下100%拡大画像で検討していきます。まずニュートラルかつ一切カメラプロファイルなしで現像したものです。いわばセンサーの感度の歪みも全く補正せずデモザイクを掛けた画像です。ART / RawTherapeeを使って現像しています。
ノイジーなのは当然ですが、かなり赤っぽくなってしまっています。これはベーステーブルも適用されていないため、センサーの感度の歪みをそのまま反映しているものと思われます。
そこで、まずはOlympus純正ソフトによる現像結果です。
ノイズ低減はかけていますが、まだ結構粒子が残っています。
そこで次に、先日成績の良かったdarktable3.6.1を使います。まずデフォルトで読み込んだもの。
まずデフォルトですが、ノイズ低減は一切かかっていないので当然ノイジーです。ベーステーブルがかかってセンサーの感度の歪みは補正されていますが、ベースカーブやLUTの適用はない状態かと思います。
denoise(profiled)やhot pixelsモジュールはかけましたが、ノイズの取れ具合は今一つです。E-5はノイズ低減のためのカメラプロファイルがないので、やはりdenoiseの効果が限定的です。
そこでastrophoto denoiseを掛けてみます。だいぶノイズは軽減されましたが、輪郭には独特のノイジーなボケがあって崩れる感じがあります。
次は市販ソフト代表Luminar3です。
やはりノイズは取り切れませんが、darktableのdenoise, hotpixelsのみ適用したものよりはベターな結果です。ただ astorophoto denoise適用のものほどではないかと。しかしノイズ低減と細部の維持のバランスはとれている感じはあります。おそらくOlympus純正ソフトと互角か、やや劣るかぐらいでしょうか。
今度はARTでノイズ低減を行います。するとノイズ低減とスムージングの併用で、かなり表面が滑らかになります。のっぺりしすぎとの評価もあるかもしれません。ただノイズ低減の適応量は加減が可能です。
ノイズ低減の効果をやや弱めにし、テクスチャが多少ノイジーになる程度に加減してみました。
以上の結果を総括してみますと、LuminarはD5500のRawファイルではそこそこ良好な結果を収めていましたが、今回のファイルは今一つという感じです。画素数的にE-5はD5500の半分しかないという点が効いているような気がします。さらに、darktableでは、E-5にカメラ固有ノイズプロファイルがないことが不利に働いて、ノイズ低減の効果がD5500に比べ劣ります。astorophoto denoiseまで動員すると結構ノイズは減らせますが、画像のエッジが弱くなってしまうという点が難点です。もっとも調整範囲が広いのがART / RawTherapeeで、明るめの部分ではのっぺりしすぎるぐらい平滑になります。この辺りは調整の範囲の中で、色々変えられるかと... Olympus Workspaceは格別目を見張るところもないですが、バランスは悪くないというあたりです。
E-5の高ISO Rawファイルのノイズ低減に関しては、ART / RawTherapeeに軍配が上がりそうです。
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追記
以下のページにdarktableによる補正の再検証の結果をアップしました。denoiseでもう少しパラメータをいろいろいじってみました。