フリーのRaw現像ソフトの中の一つ、darktable の大きな特徴の一つとして、大半の編集モジュールを多重に掛けたり、マスクを掛けることができるということがあります。ARTも、darktableほどではありませんが、ローカル編集タブにある編集モジュールに関しては多重に掛けたり、それぞれにマスクを掛けたりすることができます。なお、ARTのローカル編集タブは、RawTherapee開発版に付け加えられたローカル調整タブとは機能が異なり(なお、本家安定版はそもそもローカル調整タブがない)、独自の機能となっています。基本的には、本家のカラートーン調整にあった機能を汎用化させて発展させたものです。
以下スムージング・モジュールを例にとって、編集モジュールを多重に掛ける方法について解説します。
以下の図ではすでに一つ目のスムージングモジュールのインスタンス (ここでは具体的な編集指示指定) が有効になっています。
これにもう一つのモジュール・インスタンスを追加するには、この右側にある + マークをクリックします。
この1と2は別々にパラメータを設定することができます。上の図で、いまカーソルがあるのは2の方なので、2のパラメータを指定したり、マスクを追加したりできます。
上の図は、2番目のインスタンスに対し、暗部に効果を及ぼすマスクを設定しているところです。なお、マスクの掛け方自体に関しては、以下のページをご参照ください。
上の図は、マスクを表示させたところです。黄色い部分が効果が及ぶ部分で、透明な部分はマスキングされる部分です。
今度は1番目のインスタンスに戻って、マスクを掛けます。
上の図は、1番目のインスタンスに対し明るいところだけ効果がかかるマスクを設置しているところです。
そして、1番目のスムージングインスタンスと2番目のインスタンスに対し、それぞれに別々のスムージングのパラメータを与えれば、明るい部分と暗い部分でスムージングの挙動を変えて掛けることができます。高ISO画像では、暗い部分ほど粒子のざらつきが激しくなり、ノイジーになりますので、暗い部分でよりスムージングを強く掛ける一方、明るい部分では弱く掛けることで、全面的に強いスムージングをかけるよりは、より望ましい結果が得られる可能性があります。
この基本的な仕組みはローカル編集タブにある、他のモジュールでも同様です。なおモジュールの各インスタンスを削除する場合は、削除したいインスタンスを指定し、 - のボタンをクリックすれば削除されます。↑ ↓ はインスタンスの重なりの順番を変えるボタンです。