ほぼ補正方法が固まってしばらくバージョンアップしていなかった、不均等黄変ネガ写真ファイルを補正するBチャンネル補正法 ImageJ用プラグインを、久しぶりにバージョンアップします。
バージョンアップ内容は下記の通りです。
1. バックグラウンド補正レイヤー用ファイルを作成する際に、今までは Bの値 x 0.3 + (Gの値+30) x 0.7 + 明るさ調整値 という式で作成していたが、今回、Bの値 x 0.3 + (Gの値)**0.69 x 0.7 + 明るさ調整値 という式で作成することにしました。
つまり、Bチャンネルに混合するGチャンネルの値を以前は単純に30 (8bit相当で)を加えて明るくして混合していたのを、ガンマ(0.69)を使って明るくして混合するように変えました。この変更の理由は、単純に Gチャンネルに30を加えると、ハイライト域でG値がクリッピングしてしまいますが、ガンマを使って明るくするとハイライト域がクリッピングすることがなくなるからです。
ガンマ0.69という値は、ほぼ明度128付近で0.69を掛けると30ほど明るくなる、という理由で設定しました。
但し、敢えて意図的に混合するGチャンネルのハイライト域をクリッピングさせたいときは明るさ調整値[Background Gain]でさらに値を引き上げてください。この値はデフォルトで0になっています。
実質的には、出力されたファイルに、以前と比べてさほど大きな差はないと思いますが、空の雲の表現などが多少変わってくるかと思います。
2. リニア画像の場合のパラメータを変更
上と併せて、リニア画像を処理する場合のパラメータを変更しました。これでリニア画像を使ったときの補正結果が改善していると思います。またリニア画像を使う場合の推奨パラメータを表示するようにしました。推奨パラメータも変えています。なおこのツールのパラメータのデフォルト値は非リニアな画像 (通常の画像は非リニアです) の推奨(標準)値となっています。今回の変更でリニア画像の処理結果が改良されていると思います。
なお、非リニアな画像とリニア画像では、当然ながら、結構補正結果が異なります。画像によって非リニアだとうまくいくがリニアだと今一つだったり、その逆がありうると思います。もし補正結果が今一つだと思ったら、画像をリニアに変換してみて補正しなおすというのもありかと思います。ただおおむね黄変の程度がひどいほど黄変が十分に除去できない印象です。Gチャンネルの混合比を見直すなり、他の抜本的な対策を考えるべきかもしれません。
3. パラメータ設定ダイアログの英語表記を若干変更するとともに、パラメータの設定の仕方も一部簡略化しました(下図)。こちらの方がより分かりやすい英語になっていると思います。
手法的には微調整変更ですが、プログラムの表記を変えたという点が大きいかと思います。なお、この変更に伴い、決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術 (5-1) , (5-2)を新たに書き換えたバージョンに変更する予定です。
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