省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Nikon D5500で青空を見た目に近くなるように撮る

 D5500で空を撮ると白っぽくなることが多いと思っていましたが、ARTで編集してみてその主原因はハイライトクリッピングであることが明らかになりました。そこで露出補正で修正することを考えてみます。以下画像はいずれもRawに含まれるJpeg画像データです。つまり撮って出し画像です。まずマルチパターン測光で露出補正なしで撮ってみます。プログラムモードで撮っています。

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マルチパターン測光 露出補正なし

 やはり空の色が白っぽくなってしまいます。そこで露出補正で-1EV補正を掛けます。

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マルチパターン測光 露出補正 -1EV

 空の色が濃くなりました、空の色も適正だと思います。次にスポット測光です。

 

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スポット測光 露出補正なし

 空に中心を合わせて撮ると、露出補正は行わなくても、さらに空の色は濃くなります。但し、近くの木はもっと黒くなってしまいます。アクティブDライティングは使っていません。

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スポット測光 -1EV

 さらに露光補正を掛けるとさらに空の色が濃くなります。

 次にもう少し全体的に明るい画像で試してみます。まずデフォルトです。

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マルチパターン測光 露出補正なし

 白っぽいですが、逆光画像ほどではありません。ただ見た目より明らかに白っぽいです。これはその場に居合わせて、かつその記憶が鮮明な内でないと、白っぽいかどうかわからないと思います。仮に居合わせたとしても、その記憶が薄れてしまえば、適正な濃度に見えてしまうと思います。次に露出補正を掛けます。

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マルチパターン測光 露出補正 -1EV

 少し空の色が濃くなりました。ただ逆光画像ほどではありません。次に測光方式をスポットに変えます。

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スポット測光 露出補正なし

 露出補正なしだと、上とほぼ同じような結果です。このままで画像の中心を青空に持ってきます。

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スポット測光 露出補正なし 但し中心を青空に

 見た目に近い濃さになりました。Expeed4ですが、色も適正だと思います。葉の部分をもうちょっと輝く感じに仕上げたい場合は、彩度を上げればよいと思います。次にスポット補正で露出補正を掛けます。中心は以前の画像と同じにします。

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スポット測光 露出補正 -1EV

 中心は、木の部分になっていますが、空の色の濃さは適正になっています。

 結論としては、マルチパターン測光の方が、空の色が白っぽくなりやすいようです。そしておおむねスポット測光の方が狙った意図に近い色が出やすいように思います。また当然ながら、見た目通り空の色を濃く撮りたければ、マイナスの露出補正を併用したほうが良い結果が得られやすいと思います。日中明るい場所で撮るときは常時-0.7EV程度で撮るぐらいでも良いのではないでしょうか。

 いずれにせよ、ハイライトがクリッピングしたものを、Raw現像ソフト上で露出補正をマイナスに補正すると、クリッピングした部分を人工的に合成して補正しますので、本来の空の色と違ってしまいがちです。しかし、最初から露出を絞って若干暗めに撮ればクリッピングしにくいので、空の色が不自然になりにくいと思います。これらの作例も空の色はかなり適正だと思います。

 今回の作例では、いずれもプログラムモードで撮り、アクティブDライティングを併用していませんが、空の色を濃く撮ろうとすると、逆光の場合は、暗部は黒く沈んでしまいますので、Nikonのカメラの場合、積極的にアクティブDライティングを使うべきかと思います。それでも明暗差を表現しきれない可能性があるので、その先はRaw現像で調節が原則かと。

 因みにAutoモードだとおそらく基本マルチパターン測光で、アクティブDライティングは自動で効くとは思いますが、露出補正が自動的に効いたとしても-0.3EV程度で、空が白っぽくなるのはあまり変わりません。空の色や濃度を見た目に近づけるには、原則、スポット測光+マイナス露出補正を使い、Autoモードは使わないというのが基本かと思います。

 あるいは、スポット測光は非Autoモードで、マルチパターン測光はAutoモードでという切り替えを行うのが良いかもしれません。