今回の記事は「白色ライトでネガフィルムをデジタルカメラでスキャンすると色が悪くなる」の続きで、Alexi Maschas氏の記事紹介の後半部分です。
さて、ではどのようにデジタルカメラでRGB別ネガカラーフィルムのキャプチャを行うのでしょうか。Alexi Maschas氏は次に様に述べています。
1. 光源
・LED光源以外を使うとあまりいい結果が出ない
おそらくレーザー光ではないからだと思います。
・次の波長のLED光源を使う。青 460nm (440でも好結果が得られるらしい)、緑 535nm、赤 660nm
・はんだ付けが得意ならこの波長のLED部品を探してきて光源を自分で組み立てることを推奨
・手始めにスマホのスクリーンを使って青、緑、赤の光源に使うこともできなくはないが、波長が望ましい値とは限らないので、ベストの結果は得られない。
※調べてみたところ、iPhoneでは Flashlight. というアプリで、R,G,Bスクリーン表示可能なようです。但し同名のアプリが複数ありますのでご注意ください。Outer Space LLCという会社が提供している無料アプリです。Androidに関してはまだ探しあたっていません。
2. ファイル形式
・当然ながらRawファイルが生成できないデジタルカメラは使用不可。
・Jpeg等、知覚的TRC(トーン再生カーブ)がかかった画像だと適切な調整ができないので、RawファイルはかならずリニアのTIFFファイルに現像する。RawTherapeeのニュートラルプロファイルを使って現像 (因みにARTでも可能) するか、Dcrawを使ってリニアTIFFに現像。
なお、リニアな画像出力用のiccプロファイルの入手に関しては、以下の拙稿をご覧ください。
3. ファイルの合成・編集方法
Photoshopを使って以下の手順で3原色のTIFFファイルを合成する
1) バックグラウンドを黒にして新しいファイルを作成
2) 作成したファイルに R, G, B各チャンネルごとに撮影した TIFFファイルの画像を別々のレイヤーとして貼り付ける。
3) 各チャンネルのレイヤーのブレンドモードを"Lighten 比較(明)"にする
4) 「反転」調整レイヤーを加える
5) カーブ調整レイヤーを加え、自動カラー補正から"中間色をスナップ" を適用
6) チャンネルミキサーレイヤーを加え、GとBの値を下げていく。その際にグレーカードを参照しながら適切な量を調整しても良い
ということです。
この最後の編集を仮にGIMPでやるとすると、GIMPには調整レイヤーという考え方がないので、同じことをやろうとすると工夫が必要です。ただRGBの平衡状態が確保されているなら単純にホワイトバランスの自動適用じゃダメなのかなぁ、と思ってしまいますが、やってみないと分かりません。
あと特定の波長のLED光源を準備するというの点がちょっとハードルが高いかもしれません。
以下の議論を見ると、
discuss.pixls.us 本当は、 460, 540, and 660nmのLEDが望ましいそうですが*1、660nmのLEDを使ったパネルの入手が難しく、625nmのものが多いそうです。Nate Weathely氏は富士フィルムのSP3000も460, 540, および 625nmのLEDを使っていると指摘しています(但しこの点はAlexi Maschas氏の指摘と齟齬があります)。彼は、Luxli Viola2というLEDライトを買ったそうです。
www.luxlilight.com日本の国内で同等品があるのかどうか...
因みに、Alexi Maschas氏はSekonic spectrophotometerを使って波長を測定しているようですが、値段は20万円近くしますね。
*1:これについては、以下の拙稿で引用している図をご覧ください。