省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

昭和初期的古典的風貌が特徴だった身延線のクハ47061 (蔵出し画像)

 こちらはご覧のように正面の雨樋が直線だったのが特徴的だったクハ47です。原型の雰囲気を色濃く残している... と言いたいところですが、オリジナルのクハ47ではなくサハ48 (48009)からの改造車です。本車も室内はロングシートでしたが、これは067と同じく連合軍専用車として使用され(1947年指定)、1951年12月指定解除後も代用2等車として使用されていましたが、1953年10月までにその指定も解除となり、モハ32身延線転出に伴うクハ不足を補うためにクハ化され身延線に転出した車両です。

 本車の前面雨樋が直線で丸樋が残っていて運行灯がないという特徴は、1954年度に豊川分工場で更新修繕を受けたクモハ14と共通しています。これは、1955年という比較的早い時期(おそらく1954年度中)に更新修繕を受けたためと思われます。ちなみにロングシートの48の中で本車が最も早く改造されています。051, 053, 055はこれより早い1951年度中に改造を受けていますが、1956~7年に掛けて豊川分工場で更新修繕IIを受けていて、その際に改修されたと思われるため、結果的に本車が最も古い特徴を残すことになったようです。また本車より若番の、057, 059の改造は本車より後になりました。

 本車は改造車のため、前面運転台には裾を除いてリベットがありません。

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クハ47061 (静ヌマ) 1976.4 富士電車区

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クハ47061 (静ヌマ) 1981.5 富士駅

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クハ47061 (静ヌマ) 1981.6 富士電車区

 

 以前、身延線クハ47を見分けるフローチャートで、本車と063を見分けるのが難しいと指摘しました。厳密に言えば063は運転台の真ん中の窓に空気取り入れ口の蓋らしきものがありますが、本車はそれが塞がれていました。しかし上の写真を見ると、その跡が、ペイントを塗り替えてからしばらくたつと錆や汚れが溜まって、遠くから見るとあたかも空気取り入れ口が残っているかのように見えます。下の写真のように全検から間もないと全く見えませんが... そのため区別困難と記しました。

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クハ47110(左)と並ぶクハ47061 1977.5 富士電車区

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身延駅に進入するクハ47061以下 1981

本車の車歴です。
 日本車輛製造 1931.1.24 (48009) 使用開始 東チタ  → 1953.11.21 改造 豊川分工 (47061)  静フシ → 1955 更新修繕II 豊川分工 → 1969.4.11 静ヌマ → 1981.7.1 廃車 (静ヌマ)

 横須賀線で22年、身延線で28年と比較的シンプルな経歴でした。



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