省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

マゼンタがかったネガカラーフィルムの補正に関する考察

 ここのところ何回か、GチャンネルにRチャンネルデータをミキシングする方法による、マゼンタがかったネガカラーフィルムの補正の試みについて記事を書いてみました。ただこの方法だと、赤みの強い部分は色が濁る傾向にあります。そのため補正の際赤みの強い部分はマスクでカバーして影響を与えないようにしてきました。

 他の方はどうしているのでしょうか。

以前触れた以下の記事では...

note.com 

 この方は、Pythonで補正プログラムを作られたということですが、ソースコードを見ると結局、Librawで現像したあと、ImageMagickを使って、normalize, equalization, CLAHE などをやらせているようです。

 別の方がこれらの ImageMagickのコマンドや処理について説明されています。

qiita.com

qiita.com

qiita.com

 この中で、色味を変えずにヒストグラム平坦化を行う方法について解説されていますが、マゼンタの補正にはむしろ色味を変える、つまりR, G, Bばらばらに平坦化した方が良いように思います。

 結局、ヒストグラム平坦化がネガフィルムのマゼンタがかり改善に有効だとすれば、以下の記事で触れたAlexi Maschas氏の仮説が正しいということではないでしょうか。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 つまり、以下のようになってしまうものを

f:id:yasuo_ssi:20220223182117p:plain

Graph of log light exposure vs density of color dye layers in a color negative scanned with broad-spectrum white light. When the color offsets are applied by white balancing on middle grey, all of the other tones experience color shifts.

  ヒストグラム平坦化を行うことで以下のような過程と同等の処理を行っていると考えられます。

f:id:yasuo_ssi:20220405170046p:plain

 ↓

f:id:yasuo_ssi:20220223182251p:plain

  

 ただし、Alexi Maschas氏の指摘によれば、この過程はリニアな色空間で行うべきということになります。

 なお、GIMPの平滑化(equalization)は、ここで言うヒストグラム平坦化と同じ処理です(Photoshopの平滑化はこれとは異なります)。