お知らせ
[2023.2.15 追記]
この記事には、Bチャンネル再建法ツール Ver. 5 に対応した、新しいバージョンの記事があります。Ver. 5 をお使いになる方は以下の記事をご覧ください。
[2023.1.8補訂]
Ver. 4.8バージョンアップに伴い一部記述を補訂しました。
[2022.12.25補訂]
チュートリアルビデオをハイブリット補正対応版に更新しました。
[2022.10.1補訂]
本ツールを Ver. 4.7 へバージョンアップしたことに伴い、エキスパートメニュー説明記事へのリンクを更新しました。また周辺補正ノウハウ記事へのリンクを追加しました。
[2022.9.13補訂]
本ツールを Ver. 4.6 へバージョンアップしたことに伴い、一部画面キャプチャや説明を改訂しました。
[2022.8.6補訂]
本ツールを Ver. 4.53にバージョンアップしたことに伴い、関連項目 (画面キャプチャ、説明) を補訂しています。
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当記事は、2022年7月28日にアップデートした、ImageJ用プラグイン(ハイブリッドアルゴリズム実装版)対応版です。過去のバージョン記事を読みたい方は以下のリンクをクリックして下さい。
目次
1. 本連載記事の概要
3. 写真補正の原理
4. Bチャンネル再建法による不均等黄変・褪色ネガ写真補正の方法
5-1. 具体的な補正実施手順 - 準備
5-2. 具体的な補正実施手順 - ImageJによる作業 (本記事)
5-3. Bチャンネル再建法による具体的な補正実施手順 - GIMPによる作業
6-1. 追加マニュアル補正の実施 - 補正不完全の原因分析と追加補正方針の決定
補足. GIMPの代わりにPhotoshopで不均等黄変画像の編集を行う
補足. 標準的なBチャンネル再建法(+汎用色チャンネルマスク作成ツール)による黄変写真補正過程
チュートリアルビデオ. 決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術・チュートリアルビデオ(ハイブリッド補正対応版)
練習問題. 黄変ネガカラー写真補正の練習問題
5. Bチャンネル補正法による具体的な補正実施手順
5.2 ImageJによる作業
まず、ImageJでは、編集作業の素材となる各種画像ファイルを補正元のオリジナル画像ファイルから作成します。補正元となるオリジナルファイルの画像形式はImageJが読み込むことができる形式の画像であればなんでもかまいません。ここから作られた編集素材ファイルはすべてTIFF形式になります。
なお、色かぶりが激しい時や色温度がおかしい場合は、原稿ファイルを予めフォトレタッチソフトで修正したほうが良いかもしれません。但し、これらの予備補正を行うとかえって変異が悪化する場合もあるので、ケースバイケースで決めてください。なお、これらについては、不均等黄変を補正した後の色調再調整で補正しても構いません。
まず、ImageJを立ち上げます。そこで登録しておいた私が作成したPlug-in (Photo Color adjustment) をメニュー→[Plugins]から起動してください。
あるいは前回触れたようにメニュー→[File]→[Open]から走らせても大丈夫です(なお下の図とはバージョン番号のみ異なっています)。
起動すると、ファイルを指定するダイアログが開きますので、オリジナル画像(補正元)ファイルを指定します。
この後、パラメータ入力ダイアログが出ます。今回、パラメータ設定項目が増えてしまったので、パラメータ入力ダイアログにノービスモードとエキスパートモードを用意しました。ノービスモードでは、従来補正アルゴリズム(Gチャンネルミキシングアルゴリズム)とハイブリッド補正アルゴリズム(Gチャンネルミキシングと拡張擬似フラットフィールド補正のハイブリッド)の選択、および必要最低限のパラメータの設定に限っています。デフォルトは、ハイブリッド補正アルゴリズムとなっており、多くの黄変画像に対応可能と思われます。基本はまずデフォルトで走らせてみてください。
これ以上にいろいろ設定されたい方は、ノービスモードのダイアログをキャンセルするとエキスパートモード入力ダイアログに移りますので、そこで設定して下さい。本ページではノービスモードでの入力のみを解説します。エキスパートモードを使いたい場合は、こちらをご参照ください。なお、ノービスモードでは常にお勧めのデフォルト設定が表示されます。エキスパートモードの場合のみ、前回の設定ファイルが存在する場合はその設定を引き継いだ形で表示されます。
なお、メニューで日本語を扱うと文字化けするので、英語で表記しています。以下、メニューの説明で、最も使う頻度の多い項目を赤で、次に使う頻度の多いものは青で示します。黒で示しているものは通常いじる必要はありません。
[Image TRC Type]
これは画像のトーン再現カーブ(TRC)を選択しますが、通常の画像は Perceptual です(知覚的ガンマ補正がかかっている)。但し、リニアな画像 (Gamma 1.0) を読み込む場合のみ、Linear を選択してください。
なお、非リニアな画像とリニア画像では、当然ながら、結構補正結果が異なります。画像によって非リニアだとうまくいくがリニアだと今一つだったり、その逆がありうると思います。もし補正結果が今一つだと思ったら、画像をリニアに変換してみて補正しなおすというのもありかと思います。
なお、Ver. 4.53 から、ここで Linear を選択すると以下のダイアログボックスの推奨値をリニア画像に適したものに変更するように改良しました。
但し、経験的には、補正編集作業自体はリニアベースで行うにしても、マスクを作る際はリニア画像よりも知覚的TRCが掛かっているほうが良い結果が得られるようです。というのは知覚的TRCが掛かっていると、より人間の目が敏感なシャドー域の諧調が増えますので、その範囲でより微妙な差異に敏感なマスクを作ることができるためです。オリジナル画像がリニアであっても一旦知覚的TRCを掛けた画像を作って、それを基にマスクを作ったほうが良いように思います。
[Backgroud Mask Threshold]
これは、遠景 (背景) 補正レイヤーの閾値 (端的に言うと遠景補正レイヤー用のマスク画像の閾値) を0-255の範囲で指定します。つまり、遠景と中近景をおおむね区分できる輝度値を指定するわけです。デフォルトは128(標準的な中間グレー値)ですが、これは今までのプラグインと同じです。この閾値もRチャンネルの輝度値で設定しています。Bチャンネルの値は黄変している異常値の可能性がありますので、Bチャンネルの輝度値を基準にしていません。
この項目は全体に非常に明るい、もしくは暗い画像のみ調整すれば良く、通常は調整する必要はありません。空の色が濃かったり、画像全体が白っぽい場合(霧がかかっているなど)は、調整する必要があると思います。このような場合明るさの平均値 (中間グレー値) も128から大きく外れているはずです。なお、Ver. 4.8 から画像が明るい場合、デフォルトの状態でここに推薦値を計算して表示するようにしました。
調整する場合は画像の明るさの平均(中間グレー値)をやや上回る値を入れると良いでしょう。平均的な明るさを調べるには、例えば、Irfanviewを使ってヒストグラムを見ると明るさの平均値が出ますので、それを参考に指定します。
なお、もし画像がsRGBガンマ補正のかかっていないリニア画像の場合は、ここを標準で60にしてください。
[Backgroud mixing G ch. Gamma]
背景レイヤーに混入するGチャンネルの明るさを調整します。Ver. 4.53より、ハイブリッド補正オンの場合デフォルトのガンマ補正値を1.15に、オフの場合は1.45に変えるように変更しました(それ以前は一律1.45)。なお、スライダーで小数値が使えないので、ガンマ値 x 100 の値で指定するようにしています。もし背景のブルーの値が高すぎる (青すぎる) と感じるならばこの値を下げる方向で調整して下さい。
[Shadow Area Threshold]
これは、Bチャンネルで暗部の情報飽和が起こっている場合、暗部を補正するレイヤーの閾値を決める値で、従来は25と50の2枚の画像を用意してユーザに選んでもらっていましたが、それを数値で指定する形にしました。この値は、(R+G)/2の輝度値を基準にしています。デフォルト値は25です。暗部補正の範囲が広すぎると感じられる場合は下げ、狭すぎると感じられる場合は上げてください。値を増やすと、範囲が増え、減らすと、範囲も減ります。ここも画像がリニアなら3かそれ以下で良いと思います。
[Periphery Adjst Threshold]
この項目は、Ver. 4.8からノービスメニューより削除しました。通常変更する必要がないためです。詳細は、エキスパートメニュー解説をご覧下さい。
[Apply hybrid correction?]
ハイブリッド補正を行うかどうかです。デフォルトはOnですが、Offにすると基本的に従来と同じ動作(Gチャンネルミキシングアルゴリズムの適応)になります(従来モードでも若干アルゴリズムを改良してはいますが)。Offモードは基本的に従来モードとの互換性維持のためのモードです。最も汎用的に使えるおすすめモードはハイブリット補正 On です。あえて従来アルゴリズムを使いたいという以外はいじらないでください。
[Preserve plants green]
これはハイブリッド補正をオンにしたときのみに有効な項目です。前景(近景)補正レイヤーにおいて、植物の緑が青緑になるべく近づかないようにするために、その部分の補正を弱めます。デフォルトはOffです。都市部、建物内や駅構内など植物がほとんど写っていないような人工的環境での写真ではOffのままが良いです。必要に応じて使って下さい。
[Image condition]
画像が荒れているかどうかを指定します。通常は[Normal]、荒れていれば[Coarse]を選択してください。荒れている場合は、荒れている画像用にパラメータを変更して実行します。
[Show working windows?]
作業用のウィンドウを表示するかどうかです。表示させないと実行速度が速まりますが、作業がどの程度進んだかが分かりにくくなります。
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このダイアログでOKを押すと作業を続行します。
続行する場合は、この後、ファイル保存フォルダ、ファイル名を確認するダイアログが出た後、Windowsが開き自動的にファイル加工作業が進行します。
作業が終了するとすべてのウィンドウが閉じられます。そしてオリジナルファイルと同じフォルダに、次のような10個のTIFF形式ファイルが作成されます。なおこの時点でオリジナルファイルはまだ削除しないでください。
現在のバージョンのプラグインは以下のファイルを出力します。ファイル名は従来との互換性を取るために、Ver. 3.x から変更していません。
[ファイル名]_R.tif
Rチャンネルファイル
[ファイル名]_G.tif
Gチャンネルファイル
[ファイル名]_B.tif
Bチャンネルファイル
[ファイル名]_Dark.tif
暗部補正用画像ファイル
[ファイル名]_G+R.tif
暗部補正用画像ファイル: (G+R)/2 画像をレファレンスとして拡張擬似フラットフィールド補正によりBチャンネルの明るい部分を暗く補正したBチャンネル画像
[ファイル名]_B_Background.tif
遠景補正用Bチャンネル(拡張擬似フラットフィールド補正適用済)30%+Gチャンネル+30 70%混合画像ファイル
[ファイル名]_B_foreground.tif
近景補正用Bチャンネル(拡張擬似フラットフィールド補正適用済)30%+Gチャンネル70%混合画像ファイル
[ファイル名]_R+128.tif
近景補正レイヤーマスク用 マスク画像ファイル: B値がG値より高い部分を透過
[ファイル名]_Binary_Mask.tif
遠景補正レイヤーマスク用 二値化画像ファイル
[ファイル名]_Periphery_Adjst_Mask.tif
Bチャンネル周辺部分情報抜け補正用マスク原稿画像ファイル
なお、オリジナルファイルが16bitの場合は、最後の二値化画像ファイル(8bit)を除いてすべて16bitファイルになります。ImageJでの作業は以上で終了です。
※なお、ImageJの仕様のため (GIMPで認識できないタグ情報をTIFFファイルに書き込む)、ここで加工した16bitファイルは、GIMPで読み込む時にエラーメッセージが出ますが、実際に作業をする上では支障になりません。また、やはりそのせいか、それらのファイルをIrfanVIewで読み込ませると加工前の状態の画像が表示されますが(他の画像ビュワーソフトでもそうなる可能性あり)、実際にはちゃんと加工されています。Windows標準のフォトビュワーで見れば正しく表示されます。
8bit画像では、問題がないようです。
なお、本連載記事で紹介した写真補正技法やソフトウェア (Plug-in) は、個人的および非営利用途であれば、自由に使っていただいて構いませんが、本技法を使って何らかの成果 (編集した写真等) を公表する場合は、本記事で紹介した技法を使った旨クレジットをつけて公表していただくことをお願いします。
また、本ソフトウェアは現状のまま提供されるものし、作者はこれを使ったことによるいかなる損害補償等にも応じられないことを了解の上使っていただくものとします。
但し、もしソフトウェアのバグがありましたら、ご連絡いただければなるべく改善するよう努めたいと思います。
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[2023.1]
以下の記事もご参照ください。
[2022.8]
以下の記事もご参照ください。