省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

上田交通の丸窓電車 モハ5251 現役時代

 こちらは有名な上田交通の丸窓電車、モハ5251です。大正時代に流行った丸窓電車ですが、撮影当時まで残っていたケースは非常に少なく、丸窓電車は上田交通アイデンティティシンボルになっていました。現在上田交通を走る電車(元東急1000形)も丸窓の意匠を模した窓の装飾が行われているようです。撮影はやはり上田交通が昇圧される直前の1986年9月です。

 

モハ5251 別所温泉

 この車両はもともとポールが設置されていましたが、1945年にパンタグラフ化されたようです。このパンタグラフは、1945年に交換後、そのままかどうかは分かりませんが、見ると、PS-2のようです。あるいは東洋電機のC型パンタグラフだったかもしれませんが... ひょっとすると国鉄電車の戦災廃車になった車両の発生品だった可能性もあるのではないかと思います。現役のPS-2を見たのはこの時が最初で最後でした。国鉄では、1950年代ぐらいまでは現役で使われていたようですが、その後ことごとくPS-13に換装されましたので、国鉄で現役のPS-2を見ることはありませんでした。

モハ5251 別所温泉

モハ5251  別所温泉

モハ5251  別所温泉

 丸窓のある側面です。手摺を兼用した雨樋が特異です。

モハ5251  客室内

 こちらはモハ5251の客室内です。シートの高さがちょっと高めです。

 

 本車の車歴ですが、Wikipediaの情報によると、1928年5月日本車輛にて上田温泉電軌デナ201として製造されたようです。当初、ポール集電だったようですが、1945年にパンタグラフに載せ替えが行われたようです。ちなみに1943年に上田丸子電鉄となり(形式番号は同じ)、1950年にはモハ5250形、5251と改番され、さらに、1969年には上田交通と改称されました。そして、1986年10月1日の1500V昇圧を機に、その前日引退、10.1廃車となりました。58年間使われた計算になります。なお、本車は僚車モハ5252とともに、別所温泉駅の電留線に入った後そのまま昇圧後も留置され、静態保存されましたが、その後老朽化のため、5252のみ保存し、本車は解体するという方針が打ち出される一方、希望者がいれば無償譲渡すると発表されたところ、最終的に、2011年に地元上田市のさくら国際高校に譲渡され、現在も現存しているとのことです。

 現在5250形は3両とも現在も上田市周辺で保存され現存しています。