今まで、黄変ネガ写真補正の参考として、補正事例を紹介してきましたが、これからは、個別のケースに応じた補正テクニックの紹介を行ってみたいと思います。
今回のテーマは、もともと黄色い部分をどう扱うか、です。Bチャンネル再建法では黄変した部分の黄色味を消したり弱める補正を行います。しかし当然ながら科学的に黄変したのか元々黄色いのかを区別することはできません。従って黄色い部分は一律黄色味を消す処理を行うことになります。
例えば、下記の事例ですが...
空が黄変しています。それと同時に駅の手すりや遮断機は元々黄色いです。これに対し、Bチャンネル再建法ツールを使って素材ファイルを作成したときに、近景補正レイヤー用マスクは以下のようになります。
それを編集せずにRGB合成を掛けると下記のようになります(遠景補正レイヤー不使用)。
空の黄色味は消えていますが、同時に駅の手すりや遮断機の黄色も、黄色味が減ってオレンジに寄ってしまいました。黄色味を減らす補正を行っているのですから当然なのですが...
そこで近景補正レイヤーのマスクを下記のように編集します。
もともと黄色い部分を黒で塗りつぶし、その部分だけ補正を無効にし、黄色味を回復させる編集を行っています。それとともに、周辺の青変褪色部の補正無効化を取り消すために(つまり補正を有効化させる)、こちらは逆に白で塗りつぶしています。
この時、マスク画像を直接見ながら黄色い部分を塗りつぶすより、下記のように、マスク画像を隠しながらマスク編集モードにして、手摺部分などを自由範囲指定を使って指定し、塗潰しを実行すると、編集がしやすいかもしれません。
このような編集を加えたうえで、RGB合成を行うと、下記のように手摺や遮断機の黄色に補正が適用されず、元の黄色のままになります。
なお、以上のような編集を行う場合、黄色い部分の形が複雑だとちょっと編集が面倒です。その場合は、一旦相対RGB色マスク作成ツールを使って、以下のように、黄色を除外するマスク画像別途作ってみます。
この画像をGIMP上にレイヤーとして読み込み、必要な黄色が除外されている部分だけを切り取り、マスクに貼り付けると、比較的簡単に複雑な形状の黄色部分をマスク上黒く塗りつぶすことができると思います。