省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

WPS Office for Mac をインストールする

 Linux でかなりの Microsoft Word ファイルの再現性を見せた、WPS Office ですが (但し、Free バージョンでは VBA は非対応)、これだけWord ファイルとの互換性があるなら Mac OS にもインストールしてみるかと、インストールしてみました。

 ダウンロードサイトもあるのですが、Homebrew からインストールできるようです。

brew install --cask wpsoffice

でいけます。

 インストールすると、Linux版とは異なり、すぐ日本語表示されます。

画面

 なお、最初に起動すると、オンラインでサインインすると30日間体験版として使えます、というメッセージが出ます。ただ、もしここで体験版として使ってしまうと、後で、Free 版として使えなくなる可能性があると思いキャンセルしました。WPSの有償版ですが、Amazon のユーザレビューを見ると、起動する度にオンラインアクティベーションを求められ、オフラインで使えない、Microsoft Office のようにオフライン・アクティベーションに対応してほしい、という口コミが見られます。なおこの件については、Kingsoft の公式ページに以下のアナウンスがあります。

support.kingsoft.jp 公式にもこの問題は確認されているようです。しかしオンラインでしか使えないなら Google Documents と同じです。だったら Google Document でいいやになるか、やっぱり Microsoft Office を買おうになるかのどちらかと思います。しかし、後述しますが、現在の WPS Office では、一部オンラインダウンロード型フォントというのを採用しているので、これは単なるバグではなく、当初、意図的にこのような仕様にした可能性があると思います。意外に日本ではオフラインでPCを使っている人が多く、苦情の嵐になって対応に追われているというあたりではないでしょうか。

 Mac OS 版でもそうなのかどうかはわかりませんが、これでは外に持ち出してオフラインで使う可能性のある ノートPC では有償版を使う気になりません。

 Document では、Ubuntu とは異なり、インラインでしっかり入力できます。スペルチェックは、どうも英語のスペルチェックのみのようです。文法チェックには対応していません。中国語で使いたい場合は、

brew install --cask wpsoffice-cn

になるようです。

 Word文書の互換性ですが、前回検証したものと同じ文書を読んでみます。

まず静岡県公安委員会への申請書。

互換性

 1ページ目は良いのですが、2ページ目以下がずれます。フォントはMS 明朝になっていますが、何か代替フォントに置き換わったものではないようです。KingSoft には WPS Office専用の特別テーマフォントというものがありますが、これはオンラインからダウンロードしてくるフォントのようで、他アプリケーションで使う場合 (およびオフラインで閲覧する場合)、フォントの埋め込みが必要になり、かつ他アプリでは読み取り専用になるフォントがあります。どうもこれと同じ仕組みでMS明朝やMSゴシックを表示しているのではないかと思われます。しかしそれは本来のMS明朝やMSゴシックとはフォントと高さや幅が異なっているようです (以前はMS明朝はSimsunフォントに置き換えられていたようです)。そのためズレが発生してしまうのではないかと思います。

 そこで、Mac OS にインストールされている他の明朝体に変えてみましたが、うまくいきません。そこで、無料で配布されているIPA明朝をダウンロードしてきて、フォントをこれに入れ替えると、とりあえず以下のようにうまくいったようです。

IPA明朝に置き換え

 次は、和歌山県労働委員会の申請書です。

和歌山県労働委員会申請書

 やはり、MS明朝の文章の間隔が開いてしまい、全般的にかなり盛大にずれます。こちらは、IPA明朝も使ってみましたが、うまくいきません。間隔は同じのままです。フォント高さが微妙に違うようです。ただGoogle Fonts から、UD BIZ明朝をダウンロードし使ってみたら、元の間隔になりました。UD BIZ明朝はMS明朝とフォント高さや幅が同じようです。

 次は履歴書のテンプレートです。

履歴書

 システムにないフォントは入れ替わりますが (ヒラギノに代わっているようです) ズレはほぼないような感じです。

 以上の結果から、とりあえずGoogle Fonts からUD BIZ明朝をダウンロードして、MS 明朝を置き換えるのが良さそうです。

 結局ワープロファイルの再現性は、ワープロソフトの出来が 50 % ですが、残りの 50% はフォントの互換性ということです。ただ、フォントの問題を除いた、WPS Office Document 自体の MS Wordとの互換性に関する出来は非常に完成度が高いことは間違いありません。

 なお、有償版を買えば、Microsoft Office に入っているオプションフォントは使えるようになるとは思います。しかし上の結果から、Windowsで標準的に使われているMS 明朝 / ゴシックがずれてしまうという問題は出てくる可能性はあると思われます。ちなみに、MS 明朝 / ゴシックはリコーのHG明朝/ゴシックLと同じ書体ですが、こちらはオプションフォントに含まれているとは書かれていません。あるいは、裏でインストールされて、MS 明朝/ゴシックと名前を振り替えて動作するようになっている可能性はありますが。

 また、文書の互換性以外では、本家にあっても対応していない機能もありますのでご確認ください。