省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ImageJ対応 相対RGB色マスク画像作成ツール Ver. 0.5 を使ったマゼンタ補正事例(2)

 先日、苦労して空の補正を行った事例を掲載した画像です。これを今回バージョンアップしたImageJ対応 相対RGB色マスク画像作成ツール Ver. 0.5 を使ってマゼンタ補正を行ってみます。

 まずオリジナルから...

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図1. オリジナル

 そして一旦、Bチャンネル再建法で黄変を除去した結果が下記です。前回のケースもここから補正事例をお見せしました。黄変のあとにまだマゼンタ汚れが残っているのと、そもそも画像全体がマゼンタかぶりを起こしています。

図2. Bチャンネル再建法適用後

 新しい相対RGB色マスク画像作成ツールを使って以下のような、透過度の高いコントラストの弱いマスクを作成します。マスクのパラメータは下記のとおりです。

図 3. マゼンタマスク
閾値 30 透過度 2.0 コントラスト 40%

 このマスクを、補正レイヤーにかけ、下記の様に GIMP 上でトーンカーブ補正を行います。

図 4. トーンカーブ補正

 その結果がこちらです。

図 5. 上記結果

 前回は、苦労してマスク編集を行った上で補正をかけましたが、空の色がかなり冴えませんでした。今回はまずまずです。このままでもいいのですが、空の青みを増やすため、一旦可視部分をレイヤー転換し、さらに前回と同じ空だけのマスクをそれに掛けます

図 6. 空以外を黒塗りにしたマスク

 そのレイヤーに対し、下記のように青みを増やす補正を行います。

図 7. トーンカーブ補正2

 結構空が青っぽくなりました。

図 8. 結果

 この結果ファイルを TIFF に出力して ART で調整します。若干派手目のような気もしますので、ARRI Film A の LUT を弱く掛け、さらにトーンカーブ補正を掛けたのが下記の画像です。

図 9.ART 最終調整
ARRI Film A 適用 + トーンカーブ調整

 かなり妥当な結果になりました。前回より手間も減っています。しかし、これなら図6 〜 8 の過程は飛ばしていきなり LUT を掛けても良さそうです。そこで飛ばして、ART で調整したのが下記です。

図 10. ARRI Film A 適用 + トーンカーブ調整他

 こちらでは、同じ LUT を掛け (但しかけるパラメータは若干変えています)、トーンカーブでミッド域を上と同様にやや明るくした上で、トーンイコライザーのホワイト領域の値を若干下げ、空の色を濃くしてみました。ほぼ図 9 と 10 は同じ結果ですが、手間は図 10 の方が減っています。

 いずれにせよ、新しいバージョンを使って明るめのマゼンタ補正マスクを作ったほうが、明らかにマゼンタ補正の手間が減ります。また、マゼンタ補正のポイントとしては前にも述べましたが、高めのマゼンタ閾値を設定する (30前後)、そして、コントラストの弱い、透過度の高いマゼンタマスクを作成する、という点になると思います。