今回黄変補正ツールの Ver. 4.7 へのバージョンアップに伴い、青色部分に黄変がかかっている場合の黄変補正量の改善を図りました。青色部分の黄変対策として、マニュアルによる補正値の調整および、ユーザ作成マスクの読み込みの2機能を用意しましたが、どちらを優先して使うべきでしょうか。
それを確認するために、拡張疑似フラットフィールドアルゴリズムにおいて、どの方法を使うとどの程度黄変推計量を計算するのか、図示してみました。
まず、サンプルファイルです。ここのところよくお見せしているものです。
またオリジナルBチャンネルの画像は以下です。
ここで、この青い塗装部分の黄変を補正するための、ユーザ作成マスクを用意します。
このユーザ作成マスクを使って青色部の黄変の検出を試みます。ユーザ作成マスクを読み込ませるときに、補正量の調整が可能ですが、まず、弱めに係数を33にした結果を見てみます。なお、Sigma は 5 に設定しています。
上の黄変ファイルと比較してみると、黄変の検出量が不十分のようです。そこで係数を100にしてみます。
これだと、ほぼ青色部の黄変に対応するようです。
次に、全体の黄変検出についてみてみます。まず無調整 (GチャンネルとBチャンネルの輝度差無調整) のばあいどの程度検出できるかをみてみます。
通常は、自動調整 (GチャンネルとBチャンネルの輝度の平均値を揃える) を行なっていますが、無調整より若干多い程度であまり変わりません。
この自動調整量に先ほどの、青色部のユーザ作成マスクを加えると、検出量は下記のようになります。まず青色部のユーザ作成マスクの調整係数33から。
これだとあまり検出できません。次に係数を100に上げてみます。
検出量が増えました。しかし、すでに以前見ましたが、この画像の場合、拡張擬似フラットフィールドアルゴリズムを単独で自動調整で適用するとあまり黄変量を検出することができませんでした。そこで、先日公開した画像チャンネル間相関統計計算ツールを使い、マニュアル補正目安量を計算します。そこで、この目安量に近い、調整量26を使ってマニュアル調整を行います。
これだけでも、青色マスクを使わなくても、青色部分の黄変が結構検出できています。上のオリジナル画像と比較してみると、かなり黄変量をうまく推計できているように見えます。これに、ユーザ作成マスクによる検出を加えるとどの程度検出量が増えるかみます。まず係数33から...
この程度だと、全く変化がありません。係数33程度だとユーザ作成マスクを使う意味はありません。
係数を100に上げた場合は、青色塗装部分の推定黄変量の検出がより増えています。見た目上の判断ですが、このあたりがもっともよく黄変を検出できているように思われます。
以上の結果から考えてみると、青色部の黄変の検出は、まず、画像チャンネル間相関統計計算ツールを使って目安量を計算し、マニュアルで補正量を調整し走らせてみて、それで不足する場合は、ユーザ作成マスクを併用して補正するのが良いと思います。