省型旧型国電の残影を求めて

戦前型旧型国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

身延線電車運用図表 (1977現在)

  こちらの電車運用図は、1977年春に沼津機関区から頂いた青焼きの運用図を、見づらいため書き直したものです。おそらく飯田線と同様1975年3月に改正されたものではないかと思います。

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身延線・中央線(塩山-韮崎区間運転) 車両運用図 (1977年3月)

 この運用図は基本的には、1980年3月改正で、塩山-韮崎間ローカルが115系により置き換えられるまで使われたのではないかと思います (78年10月の白紙改正で一部変化があった可能性もあります)。1 - 33の運用番号が入っているものが、沼津区所属の旧型国電による運用で、静岡所の165系や松本所の165系の運用は、濃緑色で表記し、運用番号を入れていません。

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NikonのRawファイルをRawTherapeeで読み込んで、Capture NX-Dの現像結果により近づける

 現在メインのデジタル一眼カメラとして、Nikon D5500を使っています。Nikon D5500での撮影は、空の色などが若干薄めに見える傾向にありますが、色に関してはかなり肉眼で見る結果に近いように思います*1

 しかし、サードパーティー製のRaw現像ソフトで読み込むと、とくに空の色などは結構変わってしまいます。だったら純正ソフトを使えばいいではないか、と言われるかもしれませんが、RawTherapeeは純正ソフトより優秀な点も多いので、現像補正の出発点として、やはり純正現像ソフトで処理した色に近づけたいところです。

 

 という訳でなるべくRawTherapeeで純正現像ソフトに近づけてみた記録です。まずCapture NX-Dで現像した結果です。

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Capture NX-D現像結果

 空の色は、かなり実際に見た色に近いように思われます。草の色はちょっと地味目でもうちょっと彩度があっても良いかもしれません。ヒストグラムは下記です。

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Capture NX-D現像結果 ヒストグラム

 ところで、この現像前のRawファイルをRawTherapeeに読み込んでトーンカーブの自動調整を掛けると、以下のようになります。

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RawTherapeeでRawファイルを読み込んだ状態

 枯草等植物が写っている部分はやや明るいような印象ですが、まずまずです。ただ青空のニュアンスがかなり異なります。青みが強く、R成分が少ないです。またヒストグラムの形も純正処理とは全く異なり、とくにRの形が全く違っています。空のRの低さもここからきていると思います。トーンカーブの自動調整はRawファイルに含まれるプレビュー画像を基にエミュレートしているはずですが、なぜこんなにヒストグラムの形が違うものか...

 

*1:なお、人間の水晶体は他の細胞とは異なり一生入れ替わることがないそうです。そのため加齢とともに水晶体は褐色になり、それを私たちの脳で補正して色を見ているそうです[以上、中井久夫, 2013,『「昭和」を送る』, みすず書房, p. 147より]。ということはどのカメラの色が肉眼に近いか、ということも人や年齢によって異なってくる可能性があります。

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モハ40を中間電動車化したモハ30001 (1975.10)

 さて、本日ご紹介するのは、クモハ40を中間電動車化したモハ30です。但しトップナンバーは30000だったので、本車は2番目に若い番号となります。浅原信彦さんが書かれた国鉄電車ガイドブック 旧性能電車編(上) によりますと、1953年に桜木町事件対策として中間電動車化されることとなった、とあります。かつて関東の国電は、関西とは異なり、貫通路はあっても幌がなく(但し横須賀線を除く)、乗客が貫通路を通って車両を移動することが想定されていませんでした。関東の国電は関西の国電に比べ、乗客に対するアコモデーションがおろそかで数さえ収容できれば良いという発想だったことは、現在のJRでも変わりません。それもあって、桜木町事件で安普請のモハ63は、ドアコックもなく、窓も全開できない構造でしたので (窓が開かず、側板もベコベコの安普請というのもJR時代になって209系がその衣鉢を継いでいます)、多くの乗客が車両から逃げることができず、蒸し焼きになる惨状となりました。そのため中間電動車化して幌をつけ、車両になにか事故があったら貫通路を通して乗客が隣の車両に逃げられるようにする、という趣旨だったのではないかと思います。

 ただ、地方転出の際は短編成化する必要があるため、中間電動車化してしまうとかえって不便です。そのため改造は6両にとどまったようです。首都圏で使われた後、高崎地区と大阪の片町線に別れて使われました。本車は、高崎地区の客車列車を電車化するために高シマに転属しました。当時の鉄道雑誌を見ますと、転属当初はクロスシートだった客車に対し、ロングシートのためあまり乗客からは好評を得られなかったようです。本車は、高崎ー横川間のローカルに限定して使われ、Tgc+M+Mc の中間に挟まれて使われましたが、この写真を撮った後、1975年末ごろに高崎-横川ローカルは一足先に115系化され(おそらく手荷物扱い量の減少が原因?)、他の高崎地区の旧型国電より一足早く姿を消してしまいました。滑り込みセーフで何とかその姿を記録することができました。旧型国電を置き換えたその高崎地区の115系も今はありません。因みに3扉ロングシートというコンセプトは、のちの107系に受け継がれました。なお、片町線に移った車両は1972~3年に掛けて廃車になったようです。

 以下の写真の撮影日は1975.10.10です。両サイドの写真をお見せします。

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モハ30001 (高シマ)

 

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モハ30001 (高シマ)

 ところでこの写真以前以下のサイトに掲載しました。

blog.goo.ne.jp

  こちらのサイトに掲載しているサイトの写真と比べると、同じ写真ですが、カラーが大幅に補正されていると思います。前の写真は暗部が完全につぶれていたり、全般にマゼンタがかっていたりしました。今回新しい写真補正ツールを作成して、写真を補正してみました。近くその補正ツールも公開したいと思います。

 

 さて、最後は例によって本車の車歴です。

1934.3.17 汽車会社東京支店製造 東鉄配属 (モハ40101)→ 1936.4.1改番 (モハ40021) → ... 1953.6.8 大井工場改造 (モハ30001) → 1955.6 東チタ (←東ヒナより) → 1956.12 東マト → → 1963.9.22 高シマ → 1976.1.5 廃車 (高シマ)

 モハ40は最初に関西に配属され、その後関東にも配置されましたが、関東配属グループは引き通し線の違いから100番台を名乗っていました。本車もその関東グループの1両です。のちに連番に改められます。1954年の電車配置表を見ると、30000 と共に東ヒナ所属になっていますので、中間電動車改造時に東ヒナに配属されたのではないかと思います。1954年の配置表を見る限り、おそらく、モハ30は、改造後、横浜線常磐線(東マト)、総武線(千ツヌ)に2両ずつ配置されたようです。1955年に東チタに移動しますが、横須賀線の一時的電動車不足を補うため、配置されたようです*1。モハ70の増備により、すぐ常磐線に移動しますが、新前橋に移る前は鉄道雑誌の情報によると、東ナハにいたとあります。ただいつ常磐線から南武線に移ったのかは、鉄道雑誌には載っていませんでした。当時の東ナハは17m車で揃っていたのではないかと思いますので、誤記の可能性が大です。手書きにするとマトをナハに読み間違える可能性はあると思いますので雑誌編集の際に誤ったのではないでしょうか。少なくとも1961年にはモハ30は東マトに全車集結していました。その後高崎地区と片町線に東西泣き別れで転出していきました。

*1:以下のページに、東チタ時代のモハ30001の写真が掲載されています。

金子元昭氏 「旧形国電40系車両写真選集」

http://tetosa1970.g1.xrea.com/kyuugata40gata.pdf

なお、この写真を見るとPS-11ではなく、PS-2を載せていたのが分かります。

GIMP 写真補正テクニック / レイヤーモード: ハードライト, ソフトライト - 平板で軟調な画像のコントラストを上げる

 これもAkkana Peck氏のBiginning GIMPからの情報です。眠い軟調の写真をメリハリのある写真に仕上げる方法ですが、レイヤーモードをハードライトで重ねると良いとあります。画像の荒れも少ないと指摘されています。

 因みにハードライトの式は以下のように定義されます。なお、Mは上のレイヤーのピクセル値、Iは下のレイヤーのピクセル値、Eは最終結果のピクセル値です。

式8.13 レイヤーモード「ハードライト」の等式、 M > 128 の場合

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式8.14  M < 128の場合

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 要は、上に重ねるレイヤーの明度(M)が50%(8bit相当で128)を境に、50%以上なら明るく、以下なら暗くしてコントラストを上げるという式のようです。50%以下は単純に乗算モードとほぼ同じ(それを2倍している)になっています。2倍しているのは、最大値が128になるので、それを補償するためだと思います。50%以上は基本はスクリーンモードと同じです。ただ分子で 2 x (M -128) となっているのは、Mから128を引いているので、やはりその分を補償するため2倍しているようです。

 また、明度を、50%を境に処理を変えているので、おそらくリニア画像ではダメで、知覚的ガンマ補正(sRGB式ガンマ補正)がかかった色空間で処理しないとうまく動作しない可能性があります。

 

 という訳で試してみました。オリジナルはKodakのPanatomix FilmをMicrodole-Xで軟調気味に仕上げたのですが、ちょっと軟調過ぎたようです。

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オリジナル

 そこでGIMPで読み込んでオリジナルレイヤーをコピーしてレイヤーモードをハードライトで重ねます。

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ハードライトで重ねているところ
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自然色のリファレンス: 紺碧の空

 コロナ感染も第5波に突入し、気分の塞ぐ日常が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。東京五輪メダルラッシュだそうですが、感染の方もラッシュで... ここですっきりした青空でも見て、爽快になっていただくこともかねて、真っ青な青空のRGB値を紹介します。

 真っ青な青空を撮りたいとなると、やはり標高2000~3000m近いところまで登らないとなかなか撮れません。以下4枚の写真はフジのRealaで撮ったネガフィルム写真です。いずれもVuescanでスキャンしたTIFFファイルに対し、Raw現像ソフトで露出、コントラスト調整 (明度のトーンカーブ調整等)を行っていますが、色 (色相) は一切いじっていません。

 RGB値はRawTherapeeで測ります。なおRawTherapeeのデフォルトの作業空間はProPhotoで、かつ内部ではリニアで処理しているはずですが、出力値はsRGB式知覚的ガンマ補正を掛けたデータになっているはずです。

 このため色空間がsRGBである画像のRGB値と比べると、ミッドトーン以上では、RGB値が低めに出ている可能性があります(逆にシャドウ端では高めに出るはず)*1。ただ、色相にはRGBの比が重要かと思います。

 但しRawTherapee上の画面出力は、モニタ出力(=sRGB色空間)に合わせて調整されていますので、画面キャプチャ画像自体はsRGB準拠の画像となっています。

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写真1 南アルプス農鳥岳大門沢

 

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写真1のRGB値

 B値は8割前後、G値はB値の約半分、そしてR値が意外に高く、G値の3/4前後です。B値、R値が高めなせいか、かなり明るめの印象です。

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写真2 北アルプス白馬岳小雪渓上部

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写真2のRGB値

 こちらは空の青さが濃い群青色に撮れた写真です。B値が3割前後とかなり暗くなっています。G値はB値の6割前後、R値はB値の半分強前後です。日食でもあったかと思うぐらい暗めですが、彩度自体は意外に写真3とあまり変わらないと思います。

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写真3 富士山5合目大沢付近

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写真3のRGB値

 B値は6割台、G値はB値の6割前後、R値はG値の6割前後という関係性になっています。比較的RGB間の差は少なめです。

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写真4 白馬鑓が岳付近

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写真4のRGB値

 B値は6割前後、G値の値は低めで、B値の4割前後、R値はG値の半分弱といった傾向です。RGB間の差が大きく、彩度が最も高く、空が鮮やかです。

 最後は、近所の高尾山、最近の写真でNikon D5500で撮って、Capture NX-Dで現像したものです。よく見られる冬の青空のパターンかと思います。

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写真5 高尾山紅葉台


 

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写真5のRGB値

 B値は8割前後、G値はB値の6割前後、R値はG値の半分強です。B対G対Rが10: 6: 3強という比は、富士山の写真3に似ています。但し、写真3に比べ、明るさがより明るく青みがやや薄くなっています。私たちが普段見る中で「空が青い」と感じるのはこの辺り止まりの場合が多いように思います。

 

 以上を元に「紺碧の空」の色系列をパターン化してみました。こちらはGIMPで色を作っています(sRGB色空間)。

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紺碧の空色パターン

 縦の系列は、B: G: R比が同じ系列で、さらにBの明るさによって上~下の3パターンを作ってみました。写真2, 3, 5は一番左の系列、写真1は真ん中、写真4は一番右の系列に該当します。Rの比は切りの良いところで3にしましたが、実際は3~3.5の間ぐらいでもうちょっとRが高くても良いかもしれません。たぶん一番左の系列が濃度はいろいろあれ、比較的目にしやすい紺碧の空のパターンではないかと思います。彩度が一番高いのは一番右の系列です。なお、写真1~4のソースは同じフィルムですので、フィルム特性の差ではないはずです。

 また、空の色が白っぽくなると、B: G: Rの差が狭まってきますが、それはここでは扱いません。やはり「紺碧」と感じるにはBに対してGが6割前後以下である必要があると思います。普通の空はもっとGの割合が高いでしょう。

 写真補正の際に、紺碧の空を再現するための目安にしていただければと思います。

 

*1:広い色空間と狭い色空間の関係は次の図の様です。

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ある色の1チャンネルの明度における
広い色空間と狭い色空間での物理的色の対応関係


 同じRGB値でも色空間が変わればそれが対応する物理的色は変わります。同時に、同じ色でも、色空間が異なればRGB値は変わるということです。

GIMP 写真補正テクニック / GIMPで1レイヤーに対し、実質的に2枚のマスクを掛ける

 拙作の相対RGB色マスク画像作成ツールを使ったマスクをGIMPで使用する場合、1つのレイヤーに2枚のマスクを掛けたい場合があります。相対RGB色マスク画像作成ツールで作れるマスクは、グレースケールを除くと、R, G, B, Cy, Mg, Y の6色の透過マスクしか作れません。しかし色域選択だと、例えば黄緑色を選択することができます。これを相対RGB色マスクで実現しようとすると、GマスクとYマスクを2重に掛けると、色域選択で黄緑を選択したのと似たようなことができます。

 そのための方法としては次の3つが考えられます。

1) ImageJ上でImage Calculator を使って、Gマスク画像と、Rマスク画像を混合して黄緑マスク画像を作る。

2) GIMP上でまず補正したいレイヤーにGマスクを掛け、次にGマスクとレイヤー画像を融合した後に、そのレイヤーにYマスクを掛ける。

3) GIMP上にGマスク画像とYマスク画像を一旦それぞれレイヤーとして読み込み、Gマスク画像とYマスク画像レイヤーを重ねた画像を、補正を掛けたいレイヤーにマスクとして貼り付ける。

1) に関しては、相対RGB色マスク画像作成ツール紹介ページですでに言及しています。ここでは2), 3) について記述します。

 

2) GIMP上でまず補正したいレイヤーにGマスクを掛け、次にGマスクとレイヤー画像を融合した後に、そのレイヤーにYマスクを掛ける方法

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Y透過マスク

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G透過マスク
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GIMP 写真補正テクニック / レイヤーモード: 乗算 - 露出オーバーの画像を暗くする

 先日、レイヤーモードでスクリーンを使うと暗い画像を明るくでき、しかもトーンカーブ等で明るくするよりも効果が大きく、また荒れも少ないというようなことを指摘しました。では逆に明るすぎる画像を暗くするにはどうしたら良いでしょうか。これには乗算を使うようです。

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乗算の式

 重ねる2つのレイヤーの同じ位置のピクセル値を掛けて255で割るという式です。スクリーンモードの場合は明るくなりますが、これは反転した画像を乗算していました。ということは反転しない画像を乗算すれば暗くなる、スクリーンモードの反対になる、ということは理解できます。

 

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オリジナル

 これを乗算を繰り返すと以下のようになりました。

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乗算したレイヤーを複数枚重ねる

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結果

 やはり、トーンカーブ等で明るさを落とすより効果は大きいようです。

なお、このケースでは効果を高めるためにレイヤーを複数重ねていますが、逆に弱める場合は、不透明度を下げます。

 

 以下に公式マニュアルのリンクを張っておきました。公式マニュアルでは異なる画像をレイヤーで重ねることが紹介されており、同じ画像を重ねるとどうなるかが紹介されていないので、このような効果について分かりにくくなっています。

 なお、乗算で異なる画像や色を重ねる場合は次のように理解すると分かりやすいです。

 通常透過色(光)を合成すると、だんだん白くなります。一方、反射色(例えば絵具)を合成すると、だんだん黒くなります。コンピュータで扱うRGBは透過色ですが、乗算で合成すると、色が合成されるとともに、合成した結果は反射色のようにだんだん明度が暗くなっていきます。つまり反射色のように色を混合するモードである、ということです。

docs.gimp.org