ART の Mac OS版ですが、すでに公式ページにあるように、正式リリースはなく (開発者の A. Griggio 氏は Mac ユーザではないので、今後とも Mac OS 公式版が出る可能性は少なく、ボランティアによるリリースになると思われます)、Richard Barber 氏による実験的バイナリーファイルが配布されているだけです。ダウンロード URL は下記です。
なお、個人的に試してみたところ、昨年までは Macbook Air ARM版 (M1) + Mac OS 14.x 環境でこのバイナリーでも起動しませんでしたが、今年、1/3 に公開されたバイナリーから走るようになっています。
ただまだバグっぽく、エラーコードとともに、ART は予期しない理由で終了しましたというエラーメッセージを発しますが、ちゃんと動いている、ということがよくあります。とは言え OS の自動更新のおかげかエラーメッセージを発する頻度が少なくなってきました。またコンテキストメニューから ART を開けるのも Mac 版バイナリーのメリットです。
また、日本語表示もWindows, Linux 版ですとシステムの言語設定を自動的に引き継いで最初から日本語表示になりますが、Mac OS では、環境設定で明示的に日本語に変更する必要があります。因みに、Linux で開発された FOSS では、Mac OS の言語設定を自動的に取得できないケースが多いようで、digiKam なども同様です。
Wine 上の ART ですが、おそらく OS の細かなアップデートと Wine の不整合で、一部フォルダや外部ストレージへのアクセスにトラブルが生じる場合があるようです。Wine をアップデートすれば解消するかもしれませんが、断言できません。
どうも Mac OS 上ではアプリと OS の微妙なバージョンアップで不具合が起こることが Windows よりも頻繁に起こる印象があります。あるいは Apple 推奨のコンパイラではなく、gcc などを使ってコンパイルされているせいかもしれませんが...
なお阪和線のクモハ60は、当時快速運用は基本的には70系が就いていて、快速運用に就くことはほとんどなかったものと思われますが、区間快速運用でも天王寺ー鳳間で、時速 95km/h 前後のかなり高速な走行が求められていました。そのためか、おそらく冬場の隙間風対策で運転台の両方の窓が H ゴム化されている率が高かったのですが、本車は珍しく助手席側の窓が2段窓のまま残されていました。Hゴム化の比率も低く、趣味的には好ましいものでしたが。
B チャンネル再建法は、B チャンネルにダメージがあるけれども、他のチャンネルにはダメージがないか、あっても軽微であることを前提としています。その補正可能な前提条件が崩れていますので B チャンネル再建法で補正できるかどうか分かりません。とりあえず、どこまで補正できるか試行錯誤しながら試してみました。以下、補正過程を紹介します。
これをフリーの Raw 現像ソフト ART のネガフィルムモジュールを使ってネガポジ反転を行います。使用したパラメータは以下の画面キャプチャをご覧ください。
ART のネガフィルムモジュールは非常に使いやすく、オレンジベースをキャンセルするためのパラメータも、プレビュー内のレベルの異なる無彩色点を2カ所、スポイトツールで突くだけで自動設定してくれ、またホワイトバランスも簡単に取れるのですが、それは正常なネガでの話。ここまで褪色が進んでいると一筋縄ではいかず、自動設定ツールで値を設定しようとすると却っておかしくなったりします。色々考えた後、結局 B チャンネル再建法で黄色味を削除することを前提にすると、むしろ黄色っぽい方が好ましいと考えて、結局ほぼデフォルト状態の黄色いままにすることにしました。これは、最近の B チャンネル再建法ツールの改良により、黄色除去能力が非常に上がったためこのような判断が可能になったこともあります。昨年秋のアルゴリズム修正で黄色削減能力の向上はほぼ頂点に達し、むしろ削りすぎた黄色味をどう戻すかの方が課題になっています。なお、実際にネガフィルム・モジュールのパラメータをどうするかは画像によって判断が変わってくるかと思います。このファイルを、16 bit TIFF 形式で出力します。
なお、ART とはどのような Raw 現像ソフトなのかという紹介については以下の記事をご覧ください。
Novice Menu のダイアログ上で、おおむねデフォルトのままで行きますが、Image Condition だけ Coarse にして走らせます。
すると、英語で B チャンネルのレベルが低いので自動調整するかどうか聞いてきますが、そのダイアログは Cancel を押してください。一度自動レベル調整を掛けたファイルを作成しましたが、後で補正作業を進めていくとどんどんモノクロ画像に近づいてしまいました。つまりヘタに自動レベル調整を掛けたらかえって色情報が減ってしまったということです。これは現在このレベル調整のアルゴリズムがかなりアバウトなので、そのせいである可能性があります。
一方、オンラインディスカッションでは、次のようなことが話題になっています。RED は非可逆圧縮のビデオ用 RAW コーデックに関する特許を持っていますが、それが非常にアバウトな内容で、その内容を基にあらゆるカメラ、あるいはビデオカメラメーカーを特許侵害で訴えまくっていることで悪名高く、Canon などはそれで RED とクロスライセンス契約の締結を余儀なくされているようです。それが今後どうなるか、というようなことが話題になっています。