省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

ART / RawTherapee

色の冴えない四半世紀以上たったカラーネガフィルムスキャン画像を補正する (ART 実践編 2)

先日、ART と拙作 CTL スクリプトを組み合わせた、経年褪色したネガスキャン画像の色の補正事例をアップしました。今回は、ART の内蔵機能のみを使った補正について事例紹介します。 サンプルは前回と同じ下記の画像です。 オリジナル カラー / トーン補正を…

色の冴えない四半世紀以上たったカラーネガフィルムスキャン画像を補正する (ART 実践編 1)

先日下記のような記事を投稿しました。 yasuo-ssi.hatenablog.com 上の記事の中で、色が冴えないのは、不均等黄変を発生させるほどネガの褪色が進んでいるわけではないにせよ、やはり、ネガの色素の褪色によりブルーチャンネルの相対的なダイナミックレンジ…

Mac OS版 ART 1.22.1 バイナリーがようやく安定

Richard E Barber 氏がコンパイル & 配布している Mac OS 用の ART バイナリーですが、 Ver. 1.22.1 が公開されています。 今までは、走ったり走らなかったり、あるいは走っても変なエラーメッセージが出たりという状態でしたが、今回のバージョン、とりあえ…

FOSS の Raw 現像ソフトにおいて複数のレンズで同じレンズ ID が利用される問題について

以前、ART においてタムロンのレンズがちゃんと認識されないという問題について報告したことがありました。 yasuo-ssi.hatenablog.com この問題は、基本的には exif データにおいて複数のメーカーのレンズで同じレンズ ID 番号が共用されていることにありま…

ART 1.22.1 は日本語 Windows上でトラブルあり [→解決]

先日バージョンアップされた ART 1.22.1 ですが、日本語 Windows で使われる方は、OM System カメラユーザ以外の方はバージョンアップをお勧めできません。 理由は、ART 1.22.1 が参照している、exif2 0.28.x が現状 Windows 版において UTF-8 サポートを欠…

ART Ver. 1.22.1 が出ています

2024.6.18 に ART Ver. 1.22.1 がリリースされました。主な内容は、Olympus, OM system カメラサポートの改善、ならびにパラメータ設定でダブルクリックしたときにパラメータをリセットする設定の導入です。 Windows 版バイナリーでも OM System カメラのレ…

ARTの Raw 埋め込み レンズ補正データ対応状況について

ちょっと前に、ART が Olympus / OM system の Raw 埋め込みレンズ補正データに対応したという記事を書きましたが、現在 (Ver. 1.22) ART は下記のメーカーのカメラに関する Raw 埋め込みレンズ補正データに対応しています。ただ、一部の機種に関して対応し…

ART が近く次期アップデート (Ver. 1.22としてリリースされました 5/28)

ART が、近く次期アップデートされる予定です。バージョン番号は、1.22 になるか、1.21.4 になるか分かりませんが... → 5/28 に Ver. 1.22 としてリリースされました。 とりあえず主要な機能追加としては、スムージングにハレーション効果が追加されます。 …

Nikon 不可逆高効率圧縮 Raw ファイルは FOSS 現像ソフトで直接読込不可

Nikon Z9 (2021年12月発売) 以降、Nikon の Raw ファイルに、ベルギーの intoPIX社のTicoRAW技術を採用した*1不可逆 (ロスあり) 圧縮の高効率圧縮というフォーマットが登場しています。しかし、同じ NEF という拡張子であっても、このファイルに関してはフリ…

ART におけるカメラの標準的プロファイル データについて

ART のカメラプロファイルは、デフォルトでは、一部のカメラについてはカメラ固有の DCP プロファイルがあり、Raw ファイルを読み込んだときにそれが自動的に適用されます。これはボランティアによって作成された DCP プロファイルです。 しかし、ボランティ…

ART 1.21.3 がリリース

ART Ver. 1.21.3 が昨日リリースされました。アップデート内容としては、Libraw のアップデートに対応して、最新カメラに対応、および一部カメラでクロップ設定が正しく解釈されないものに対するバグフィックスです。ダウンロードは下記より。 bitbucket.org

ART がオリンパス (OM System) レンズのメタデータ読込補正に対応

ART が1.21.2 にバージョンアップとなってオリンパスレンズの Raw ファイル埋め込みメタデータによるレンズ補正に対応しました。これは darktable で対応になったオリンパスレンズのメタデータ読込機能を ART に移植したものです。以下画像キャプチャを... …

ART が 1.21.2 にバージョンアップ

3/20 に ART のバージョンが 1.21.2 にアップされました。主なアップデート内容としては、 ・Nikon Z シリーズ等いくつかの新しいカメラに関して DCP プロファイルを追加 ・レンズファン関連のバグフィックス ・オリンパスカメラレンズ補正データのRawファイ…

ART 対数トーンマッピングの動作の基本原理

今回は対数トーンマッピングを使った、写真の露出、コントラスト調整の基礎に関する議論です。本ブログではすでに概略については機能紹介を行っておりますが、オンラインディスカッションでも良く分からないという声が出ています。 discuss.pixls.us そこで…

ART Mac OS版の現状について (2024.3 現在)

[2024.7 追記] 以下のリンクに、2024.7 現在の Mac OS 用ビルドの情報を掲載しておきました。 yasuo-ssi.hatenablog.com ----------------- ART の Mac OS版ですが、すでに公式ページにあるように、正式リリースはなく (開発者の A. Griggio 氏は Mac ユーザ…

ART / RawTherapee 機能紹介: ロック式カラーピッカー

ART (および RawTherapee) には、ロック式カラーピッカーが装備されており、複数箇所のピクセルの RGB 値を計測できるので便利です。編集画面の上部からロック式カラーピッカーのアイコンをクリックし、プレビュー画面上でクリックするだけで複数の計測点を…

ART 編集 Tips: 対数トーンマッピング vs. シグモイド・トーンマッパー

ART Ver. 1.21 より darktable から移植されたシグモイド・トーンマッパーが追加されました。これは、フィルム・シミュレーションから選択して使うことができます。既に機能紹介を行っていますが、対数トーンマッピングと比較しながら違いを探っていきます。…

ART でタムロンのレンズが認識されない

ART のオンラインディスカッションで Canon EFマウントのタムロン 18-200mm f/3.5-6.3 Di II VC が認識されない (Canon の90mm レンズとして認識されてしまう) という問題が指摘されています。 discuss.pixls.us これは Exif データにおいて同じ レンズID 番…

ART対応 相対色領域補正 CTL スクリプト アップデート版

昨年末にリリースしました ART用相対色領域補正 CTL スクリプトを今回アップデートします。 今回のアップデート内容ですが、 1) ダイアログ上のパラメータ調整項目の配置の見直し 2) 補正量に対するガンマ調整の新設 ([ガンマ補正] メニュー、従来はガンマ 2…

CTL プログラミング Tips: 行列を扱う組み込み関数

CTL は C / C++ のサブセットになっていますが、仕様が拡張されている部分もあります。C / C++ の標準ではない組み込み関数が用意されています。今回は行列を計算する組み込み関数を紹介します。 https://ampasctl.sourceforge.net/CtlManual.pdf ■行列を計…

CTLスクリプトでツールチップをサポート

ART の新バージョン、1.21.1 から CTL スクリプトでツールチップがサポートされます。 discuss.pixls.us 基本的には今までのスライダーやチェックボックス等のアイテムの定義の最後の引数として、ツールチップの文章を入れるとツールチップとして表示できま…

CTL プログラミング Tips: モジュールに配置する UI 要素の順番指定

ART の CTL プログラミングでは UI 要素として、 // @ART-param: [... コントロール文で、モジュールのコントロール要素を配置することができます。このコントロール要素を配置する順番ですが、プログラム上の // @ART-param: [... コントロール文 の順番で…

CTL プログラミング Tips: CTL の仕様の制約

CTL は基本的に C / C++ 言語のサブセットになっているようです。当然ながら C 言語で使える仕様がすべて使えるわけではなく、かなり限定されたものになっています。既に文字型変数は使えないという指摘はしておきましたが、詳しい説明は以下の説明書にあり…

ART Ver. 1.21.1 が近くリリース (→ されました)

12月に Ver. 1.21 がリリースされたばかりですが、近いうちに、ART の次バージョン、1.21.1 がリリースされる予定です。 主な内容としては、 ・富士フィルム、xtrans センサーの Raw ファイルへの対応の改善 ・テクスチャ増幅のスライダーの範囲を拡大 ・CTL…

相対RGB色マスク画像作成ツール ART 移植版 ("相対色領域補正" CTL スクリプト)

さて、本年も余すところあとわずかとなりましたが、皆さまにとって今年はどんな年だったでしょうか。 ところで、ImageJ プラグインとして相対RGB色マスク画像作成ツールを本サイトで公開していますが、今回、ART Ver. 1.21 で新たにサポートされた CTL を使…

ARTの機能紹介: シグモイド・トーンマッパー

2023.12.7 に公開された ART Ver. 1.21 からシグモイド・トーンマッパーが導入されました。基本的には darktable で採用されているものを若干簡略化して移植したものです。 シグモイドは既に darktable に filmicRGB とは別のトーンマッパーとして導入されて…

ART 機能紹介: Tetrahedral Color Warping (RGB) - 変褪色したフィルムスキャン画像補正に使えるか

今回 ART のバージョンアップと前後して、作者の A. Griggio 氏が ART で使えるようアレンジした CTL (カラー変換言語) スクリプトを何点か公開しました。ダウンロード先はこちらです。 この中に、Tetrahedral Color Warping (RGB) (三角錐 (四面体) 色変換)…

ART Ver. 1.21 新機能: CTL スクリプトサポート

ART Ver. 1.21 から搭載された CTL に関して、公式サイトの以下に説明があります。 bitbucket.org 本記事では、上記記事の日本語訳を掲載します。 ----------- CTL スクリプト CTL(the Color Transformation Language)は、カスタムピクセルレベルの画像変…

12/10 朝、ARTのダウンロードができなくなる予定です

ART のダウンロードサイトである、Bitbucket は UTC で 12/9 土曜日 18:00 から 5時間程度メンテナンスのためサービスを停止します。このため、ART のダウンロードもこの間できません。日本時間では 12/10 午前 3 時から午前 8 時ごろまでです。ご注意くださ…

近く、ART Ver. 1.21 がリリース (→ されました)

近いうちに、ART の Ver. 1.21 がリリースされます。今回の ART のバージョンアップの大きな目玉は、映画芸術科学アカデミーから提供されている CTL 言語のサポートです。CTL (カラー変換言語) とは、C や C++ に似たスクリプト言語で、この言語を使って書い…