省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Ubuntu 上でフランス語入力環境を設定する

 Ubuntu上でフランス語入力環境を設定してみましたが、非常に便利だということが分かりました。WindowsMac OS を上回る快適さです。そこで、Ubuntu 上でのフランス語入力環境のセットアップについて記しておきたいと思います。

 

[Ubuntu 上でのカナダ・インターナショナルキーボードによるフランス語入力]

 フランス語のキーボード配置には大きく分けて Azerty 配置と Qwerty 配置があるのは、フランス語使いの方はご存知かと思います。フランス語の専門家の中には Azerty 配置に慣れている方もいるかもしれませんが、そうでなければ、アルファベットの配置が全く異なる Azerty キーボードは打ちにくいので、日本でフランス語入力を必要とするユーザの大半は、カナダ・インターナショナル配置のキーボードで日本語や英語と併せて使っていると思います。

 そして第2の問題としてヨーロッパ言語の場合、102キーのキーボードを使っていますが、日本語、あるいは英語配置のキーボードでは Z の左横のキーがありません。これをどう代替するのかが問題となります。カナダ・インターナショナル配置のキーボードでは、Uにアクサン・グラーブがついたの文字のキーです。Windows上では、これに対し、ユニコードのコード番号入力で対応することになると思います。この文字はあまり多用しないので、まあそれでも我慢できます。

 ところがセットアップしてみて Ubuntu 上のカナダ・インターナショナルキーボードはそんなことをしなくてもこのキーの入力が可能なことが分かりました。

 

カナダ・インターナショナルキーボード配置

 このキーボード配置のうち、各キーに3つ表示があるものがあります。

キートップに表示された文字の入力

 上にあるものは、Shift キーを押しながら押す文字ですが、右下にある文字があります。これは。右Alt キー(=代替文字キー)を押しながら入力する文字です。

 そして、フランス語のアクサン関連ですが...

アクサン関連キー

 黄色のキーがアクサン関連のキーです。

 上にあるキーは、アクサン・シルコンフレックス、トレマ、アクサン・グラーブを入力するキーで、トレマは Shift を押しながら入力、アクサン・グラーブは右Alt を押しながら入力することになります。これを入力するときはアクサンを入力した直後に、アクサンをつける母音を入力することになります。

 下のキーは、右Alt キーを押しながら入力するときのみアクサンテギュ入力となります。それ以外はアクサンテギュ付き E として機能します。

 なお、日本語106/109キーにない 102キーにあるキーは Z の左隣りのキーですが、アクサン・グラーブ付きの U です。しかし、これはアクサン・グラーブを単独で入力できますのでそれに引き続き U を入力すれば入力可能となります。従って、102キーで打てるが、106/109キーでは打てないというキーがほぼなくなります。

 因みに日本語Windows上のカナダ・インターナショナルキーボードですが、なぜか右Altキーを使ったアクサン入力ができません。スクリーンキーボードからだと入力できるのですが。その点で、Ubuntu を使う大きな利点があります。

 

[セットアップ方法]

 Ubuntu の設定から、まず[地域と言語]を選択し、[インストールされている言語の管理]をクリックします。

設定 → 地域と言語

 すると以下の言語サポートのダイアログに移ります。ここで、[言語のインストールと削除]をクリックすると右下のダイアログが開きます。

インストールされている言語の管理 →
言語のインストールと削除

 ここで、フランス語をチェックするとフランス語関連プログラムがインストールされます。

 次に、[設定] の [キーボード] に移ります。[入力ソース]の一番下の+マークをクリックすると以下のように[入力ソースを追加]ダイアログが開きます。

キーボード → 入力ソース

 ここでフランス語(カナダ)を選択します。

入力ソースを追加

 さらに、Canadian(intl.) を選ぶとカナダ・インターナショナルキーボードが追加されます。

 

[言語の切替]

 言語の切替ですが、スーパーキー(=Windowsキー) + スペースキーで切り替えます。すると以下のようなダイアログが出ます。

言語切替ダイアログ

スーパーキー(=Windowsキー) + スペースキーを押すたびに一つづつ右に移動していき、目的の言語が選択できます。

 

[日本語IME Mozc 使用時の日本語Offモードの動作について]

 日本語IMEをオフにして英数モードに変えたときに、日本語106/109キーのキートップ通りに入力できなくて困ったという経験をお持ちの方はいませんか? これは英語キーボードが有効になっていたりすると、そうなってしまうことがあるので、日本語以外のキーボードをオフにすることでそのようなトラブルはなくなります。

 ところで、一見これは困った仕様に思えますが実はマルチリング環境ではむしろ便利な仕様なのです!!

 では、なぜ日本語入力をオフにしたときに、キーボード表示通り入力できたり、出来なかったりするのか説明しましょう。

 実は、日本語オフ時のキーボード動作は、その直前にどのキーボードを使っていたかによります。ですので、一旦英語キーボードを使っていて、次に日本語に切り替えると、日本語オフ時の動作は英語キーボード相当になるので、キーボードのキートップ通りの表示で文字が打てなくなります。これを避けるためには、一旦、ja (OADG 106キー) に変えた後、次に日本語 (Mozc) に変えるとうまく行きます。あるいは、そもそも英語キーボードを有効にしなければ、106キーの英数モードと日本語の間しか切り替わりません。

 これを逆に使うと、日本語をオフにしたときにすぐフランス語モードに移れるのです。つまり、一旦、fr (Canadian intl.) 入力モードにして、次に日本語 (Mozc) を選ぶと日本語上でIMEをオフにすると、すぐにフランス語キーボード入力モードに入れます。これは日本におけるフランス語 (あるいは他のヨーロッパ言語ユーザ) にとって非常に便利な仕様です。もちろん、カナダ・インターナショナルのキー配置を暗記しているということが前提にはなりますが。

 

[Ubuntu における柔軟なキー割付]

 私は個人的には、ノートパソコンに関しては Panasonic のLet's Note シリーズがお気に入りです。ただ Let's Note シリーズは小型化のためにいくつかキーが省略されています。ところがマルチラング環境ではそれが重要だったりするんですね。特に右Altキーが省略されているのが痛いです。フランス語の場合、アクサンを入力するのに右Altキー(=だいたいキー)が必要ですし、韓国語ではハングルと英語のオンオフに右Alt キーを使います。これは非常に痛いです。

 そこで Windows ではキーボードのスキャンコードを変更して使っていますが、これは一般ユーザにはちょっとハードルが高いと思います。

 しかし、Ubuntu ではそれを簡単に別のキーに割り付けられるようになっています。先程の右Alt キーの割付の変更は以下の設定で出来ます。

 Ubuntuの[設定] の [キーボード] に [特殊文字の入力]の下に代替文字キーというのがあります。

設定 → キーボード

 これがフランス語の右Altキーの役割です。ここの > をクリックすると...

代替文字キーの設定

 上の、各キーボードにその機能を割り付けることが出来ます。これなら Let's Note でも困りません。[デフォルトのレイアウトを使用する]にすると右Alt のままです。このキーバインドの柔軟性は韓国語でも同じです。

 

[Composeキーを使った、アクサン付き文字入力]

 さて、今の代替文字キー設定の下に、Composeキーの設定があります。これは何かというと、例えば著作権マーク © などを入力する機能です。ただし、代替キーと異なるのは、すべてのソフトで有効なわけではありません。しかし、LibreOffice などでは使えます。このキーを有効にしてアクサンを入力するという方法もあります。これですと、日本語のキーボード配置のままアクサン付き文字が入力できます

 どこかのキーにComposeキー機能を割り当てたら次のように入力します。

アクサン・テギュ: Composeキー押し下げ、次に ' 入力、そしてアクサンをつける母音入力

アクサン・グラーブ: Composeキー押し下げ、次に ` 入力、そしてアクサンをつける母音入力

アクサン・シルコンフレックス: Composeキー押し下げ、次に ^ 入力、そしてアクサンをつける母音入力

トレマ: Composeキー押し下げ、次に " 入力、そしてアクサンをつける母音入力

ほかにも、チルダ付きやウムラウトなど欧州言語の特殊文字が色々打てます。

 

 というわけで、Ubuntu (Linux) のマルチリング環境に向けた設定項目は至れり尽くせりですWindowsMac より遥かに強力です。これはぜひ全国の大学で、非英語外国語を学ぶ学生さんに Ubuntu の採用を強力に勧めたいですね。とはいえ、大学の外国語の先生は、Ubuntu って何? 状態でしょうから、なかなか難しいところではありますが。それと、やはり Microsoft Office とバイバイする覚悟が必要です

 ただ、最近パソコンショップChrome Book が売られるようになり、Microsoft Office がなくても、Google のオンラインオフィスソフトサービスでいいんじゃない、という傾向も出てきていますので、Linux (Ubuntu) でも困らなくなる環境は徐々に整っているように思います。個人的には、Chrome Book 買うよりか Linux でしょう、と思ってしまいますが。