省型旧型国電の残影を求めて

戦前型旧型国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

フィルム青色部分マスク作成ツール

2021年1月にこのツールを改訂しました。改訂したツールのダウンロードページはこちらになります。


 以前、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が開発したフリーの画像処理ソフト、ImageJ用の、フィルム黄変部分画像マスク作成用のスクリプトを公開しましたが、それに引き続きフィルムの青部分を指定する画像マスク作成用のスクリプトを公開します。ダウンロード先はこちらです。

 このツールを走らせると、例えば次のような画像が作られます。

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図0. オリジナル (ツール適用対象)

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図1-1. 閾値 +10

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図1-2. 閾値 0

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図1-3. 閾値 -10

 

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図1-4. 閾値 -20

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図1-5. 閾値 -30

 このツールを走らせて作ったマスク画像を使うとどのようなことができるかというと、例えば...

1) フィルムの不均等黄変画像を補正するBチャンネル補正法で、補正Bチャンネル画像を作るときに使う、周辺の青紫化した部分の補正レイヤーを作る

 

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図2-1. 青紫部分補正マスク (閾値0の画像を加工)

 この画像をGIMP, Photoshop等レイヤーをサポートする画像編集ソフトに取り込み、上の閾値0の画像の真ん中を塗りつぶし、周辺のBチャンネル情報抜け部分を範囲指定するマスクを作成します。Bチャンネル補正法のこちらの解説ページで周辺部の青紫化の補正量が不十分な場合、四角形のマスクを作ってR+Gチャンネルを混合したレイヤーに掛け、周辺部分の情報抜けを補正するレイヤーを作る方法を指南しましたが、マスクの形が人工的ですので、境界部分のつながりが不自然になる可能性があります。こちらの方法のマスクを使って作ると、再建Bチャンネルを作ったときにつながりが自然になる可能性が高い思います。

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図2-2. R+Gレイヤー

 こちらのR+Gチャンネルを混合したレイヤーに作成したマスク画像をレイヤーマスクとして貼り付けます。

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図2-3. 青紫部分補正レイヤー

 マスクの白抜きの部分のみが残った、青紫部分補正レイヤーができます。

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図2-4. 補正して再建したBチャンネル

 この青紫部分補正レイヤーと他の補正レイヤーやオリジナルBチャンネルを合成して上記のような補正した再建Bレイヤーを作成します(図2-4)。下(図2-5)のオリジナルの毀損したBレイヤーと見比べてみると、周辺部の白抜きが修復されています。

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図2-5. オリジナル未補正Bチャンネル

2) 青色部分黄変補正マスク

 以前、フィルム黄変部分画像マスク作成ツールを公開しました。このツールの特徴は、広い多様な色域の黄色がかった部分を一挙に指定できることですが、一つ弱点があります。BチャンネルとR+Gチャンネルの明るさの差を範囲指定の目安にしているため、もともと青い部分の黄変については、補正量が少なくなってしまう点です。例えば一番上のオリジナル画像では、もともと灰色の部分も青色の部分も黄変量はさほど違いがありません。しかし、黄変マスク作成ツールを使った作ったマスクでは、青い部分の補正量が少なくなってしまいます。

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図3-1. 単純な黄変部選択マスク
(もともと青い部分の白味が足りない)

 これに対処するために、青色部分の黄変をさらに補正するためのマスクを、閾値0の画像(図1-1)を反転・加工して作ってみました。それが下の図です。

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図3-2. 青部分補正マスク (閾値0の画像を加工)

 このマスクを使ってBチャンネルのトーンカーブ補正を掛ければ、本来青であるべきところが、黄変して緑(~黄)になってしまった部分を指定して、補正を掛けることができます。

 以下、補正例です。

 

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図3-3. Bチャンネル再建法による補正後

 上の図はBチャンネル再建法を使って、一旦補正した画像です。上の、再建Bチャンネル画像(図2-4)を使って、RGB合成したところです。まだ青い部分に微妙に相対的に黄色い部分が残っていますので、青部分補正マスクを掛けトーンカーブで補正を掛けていきます。

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図3-4. 青色部補正マスクを掛けトーンカーブ補正後

 上が、黄色味を下げた補正結果です。完全に黄色味を消すと、艶も全くなくなった感じになるので、微妙に残します。やりすぎは禁物です。このあとRawTherapeeに読み込み、明るさに対し全般的にトーンカーブを掛け、さらにフィルムシミュレーション(Fuji Sensia)を掛けて、全体的な調子を整えます。

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図3-5. 完成

 色艶も良く、まずまずな結果に仕上がりました。最後にRawTherapeeがいい仕事をしてくれています。

 

 なお、本連載記事で紹介した写真補正技法やソフトウェア (Plug-in) は、個人的もしくは非営利用途であれば、自由に使っていただいて構いませんが、本技法を使って何らかの成果 (編集した写真等) を公表する場合は、本記事で紹介した技法を使った旨クレジットをつけて公表していただくことをお願いします。

 また、本ソフトウェアは現状のまま提供されるものし、作者はこれを使ったことによるいかなる損害補償等にも応じられないことを了解の上使っていただくものとします。
 但し、もしソフトウェアのバグがありましたら、ご連絡いただければなるべく改善するよう努めたいと思います。