省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

OM system 150-600mm f/5-6.3 IS に関する PetaPixel レビュー

 写真機材のレビューサイト PetaPixel に OM System の 150-600mm f/5-6.3IS (フルサイズ換算 300-1200mm 相当) のレビューが出ています。レビューアーは、DP Review にいたクリス・ニコルズです。

petapixel.com

 このレンズは SigmaOEM のようで、Sigma の他社フルフレーム用 150-600mm f/5-6.3 レンズをベースに作っているようです。形態もほぼ同じと指摘しています。性能的には申し分なく、フルフレームでは問題となっていた周辺光量低下も、m 4/3 のセンサーの小ささが幸いしてほとんど見られないようです。但し 600mm 端では、絞りを F 7~ 8 に絞ったほうがより良い結果が得られると指摘しています。

 とは言え、フルフレーム用レンズの転用ですので、m 4/3 専用に設計されていればもっと小さくできたはずだと指摘しています。それでも、1日持ち運んでもさほど苦にならない大きさとは言われていますが (おそらくアメリカ人の体格基準で)。

 もう一つの問題は価格の高さです。Sigma のフルフレーム用のアメリカでの希望価格は、$1500 ドルであるのに対し、OM System のレンズの希望価格は $2700 と2倍近くになっています。この「プロ」価格と、もっと小さく作れたはずだと考えると、OM System 150-400mm f/4.5 (フルサイズ換算 300 - 800mm 相当) の方がはるかにリーズナブルであり、あまり売れないのではないかと指摘しています。

 因みに本レンズの重さは、2065g それに対し、OM System ED100-400mm F5.0-6.3 IS の方は、1120g、本レンズの国内価格は、大手量販店価格で 44万円程度ですが、100-400mm は、16~17万円前後となっています。もちろん、m 4/3 でどうしてもテレコンバーターを使わずに、フルサイズ換算 1200mm までの望遠が欲しいとなるとこれ一択になるのですが... 因みにテレコンバーターですが、ヨドバシカメラの価格だと、1.4倍の MC-14 は 27000円強で重さ 105g、2.0倍の MC-20 は42000円強という価格で、重さ 150g。一段暗くはなりますが、重量、価格面でも有利です。あとは写りの問題ですが...

 ちなみに本レンズのベースとなった Sigma の 150-600mm はキャノンEF用、ニコン F用でも、12~14万円程度です。これを APS-C で使えば、225 - 900mm 相当で使えます。また、TAMROM もほぼ同重量、同価格帯で SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 を出しています。さらに Canon の F200-800mm F6.3-9 IS USM (重量 2Kg強) ならやはり APS-C で使えば、300-1200mm 相当で使え、お値段は 30万円程度、また単焦点ですと Canon の RF 800mm が、13-4 万程度であり (重量は 1260g)、これを APS-C で使えば、1200mm 相当で使えます。特に最近キャノンは、手振れ補正を強化してきており、OM system に迫ってきていますので... しかしこう考えると望遠域を手軽に使うというコンセプトなら、 センサーサイズの小さい、APS-C カメラこそ手振れ補正を強化することは必要ですね。

 以上のことを考えると、価格的にはもうちょっと何とかならないものかと思います。150-400mm f/4.5 よりちょっと高いぐらいだったら、かなりキラーレンズになったでしょうに。あるいはこの値段で出すなら、m 4/3 に最適化した設計にして、1.5 Kg ぐらいの重量で出してほしいところです。m 4/3 でどうしても 1200mm まで欲しい人がしかたなく買う (買わされる) レンズというあたりかと。

 要は m 4/3 だから軽く使える、にも m 4/3 だから安く買える、にもなっていないということです。

 いま、円安で、しかも工場がことごとく海外に出てしまったこともあり、カメラの価格も上げざるを得なくなっています。その中で、Nikon などは重くて高級感のある路線を追求してそれなりに成功しているようです。ただ私などは、軽く作れるのがミラーレスの真骨頂なのに重厚長大路線を追求してどうすると思ってしまうのですが。

 しかし、m 4/3 の特性を生かすには、被写界深度の深さを活かしたマクロ域の充実か、もしくは、フルフレームよりも軽く、安く、手持ちで望遠域が使えるという方向性を強化していくしかないと思います。この点では、今までオリンパス - OM が追及してきた手振れ補正を強化する路線は正しいのですが (しかし Canon がかなり追い上げてきています)、足りないのは、鳥や動物、飛行機などに追従できる、C-AF 機能の強化です。この点では Canon に負けているようです。

 さらに、他メーカーに追随して、重厚長大高価格路線を追求するような傾向が見られるように思われますが (それなら m 4/3 を買う意味がない!) 、それだと失敗するだけだと思うのですが...