8月にVuescanを購入して、Vuescan + フィルムスキャナ (Konia-MinoltaのDimage Scan 5400 II) を使ったフィルムの取り込みを行っていますが、これまで使ってみた印象です(あくまでデータ的に検証したものではありません)。
カラーネガフィルムスキャン:
Vuescanの方が、純正ドライバに比べて、色彩の透明度や自然さ、そして解像感は圧倒的に良い (コニカ-ミノルタのドライバがネガスキャンに関してはいまいちだから、ということかもしれないが...)。そもそも、ポジ (リバーサル) フィルムよりもネガフィルムの方がもともとはるかに画質が良いのではないかと思わされるほど。もちろん、ネガフィルムの方がリバーサルフィルムよりラティチュードが広いので原理的には情報量が多いはずだが... そういう意味ではネガフィルムの情報量をかなり拾えている。
カラーポジフィルムスキャン:
Vuescanと純正ドライバの比較では、若干色あいの違いはあり、純正はやや彩度高め、Vuescanは若干サイド控えめで取り込めるものの調整可能な範囲でイメージ的にはそんなに差があるとは思えない。解像感に関してはほぼ同一で差は感じられない。ラッシュフィルムに関しては、やはりラッシュにプリントするということ自体が大きく色彩に影響を与えていると言える。
※2021.7追記
なお、Vuescanの特徴として、Digital ICEでは、Kodachromeの埃除去ができませんが、Vuescanの埃取り機能では、銀残し現像をしていないならば、Kodachromeの埃除去も可能です。但しモノクロフィルムの埃取りができないのは純正ドライバと同じです。
褪色補正:
明らかに、Photoshopの自動カラー補正より強力。これはデジタル一眼カメラでデュープしたネガフィルムやリバーサルフィルムのファイルでも確認しているので、単にフィルムスキャナーを通したスキャンに限定されない。
Rawファイル保存:
純正スキャナドライバーは通常Rawファイルでの保存をサポートしていないが、Vuescanはサポート。Rawファイルで保存し、Raw現像ソフトで処理すると、色合いなどかなり大幅に変えることができる (Raw現像ソフトにもよるが、基本的な補正カーブや色空間を変更できるため)。なお、VuescanにはRawファイルをDNG (Adobeが提唱する標準的なRawフォーマット) ではなく、TIFFで保存することも可能だが、これはPhotoshopで Camera Raw を通さずに直接Rawデータを扱うため (DNG形式で保存すると Photoshopで開こうとすると強制的に Camera Rawを通すことになり、自動的に一定の補正がかかるので、それを避けたい場合に使う)。
今まで、Vuescanの購入をためらっていたのは、国内、海外問わずネット上の口コミで、Vuescanを激賞するものから、さほどでもないとするものまで色々だったため、迷っていました。ですが、よく考えれば当たり前の話ですが、結局どのメディアをどう取り込むかで評価がまちまちだったということかと思います。また、比較対象となる純正ドライバの出来も評価を左右することになったかと思います。
Vuescan購入前の、私のVuescanに対する認識としては、最新OSでスキャナドライバが使えないときの救済策、程度でした。現在の認識では、フィルムスキャナを通したカラーフィルムスキャンに関しては、ネガフィルムスキャンに関しては圧倒的に良い、但しポジフィルムスキャンに関しては、純正ドライバとさほど変わらない、但し、Rawファイルとして保存できるメリットは大きい、というあたりです。これはコニカ・ミノルタの純正ドライバがネガの取り込みに関しては今一つ、という点もあるかもしれません。またモノクロフィルムに関してはまだ試していないので何とも言えません。
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他のVuescanをフィルムスキャナで使った口コミとしてはこんなものがありました。
oichinote.com NikonのCoolscanを使ってネガフィルムを取り込んで比較しています。純正、Vuescan、Silverfast (ドイツのソフトメーカーが開発している有償フィルムスキャニングソフト) を比較し、Vuescanをベストとしています。
www.l-camera-forum.com こちらは、質問を発した人が、ハイキーな写真をフラットで軟調に取り込みたいのに、Vuescanではうまく軟調に取り込めないので、VuescanからSilverfastに乗り換えるべきかという議論です。Silverfastのデモ版を使ったところうまくいくようだが、ユーザーインターフェースが直感的に分かりにくいうえに、会社自体がユーザフレンドリーでないので、乗り換えを迷っている、というあたりです。議論参加者はフィルムスキャナーを前提にしていますが、機種は様々です。
diary.cyclekikou.net こちらのサイトは、ソフトの比較はしていませんが Vuescan を評価する口コミです。Nikonのフィルムスキャナーによるネガの取り込みです。
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なお、同じフィルムスキャンに関してもEPSONのGT-X980のようなフラットヘッドスキャナを通したスキャンでは大きく結果が変わる可能性があります。
フラットヘッドスキャナを使ったフィルムスキャンに関する口コミについては次のようなものがありました。
こちらの口コミではフラットヘッドのEPSON GT-X970を使って、モノクロネガフィルムを取り込んでいますが、Vuescan より Silverfastの方が、ずっと良い、と評価をしています。
blog.livedoor.jp やや古いですが GT-X970で純正ドライバと比較したVuescanの評価です。Vuescanを評価しています。メディアはカラーネガです。
www.35one20.com こちらはEPSONのV700 (日本モデル名 GT-X900)でVuescan, Epson Scan, Silverfastの比較です。ただ評価者はVuescanを使い続けると言っています。Silverfastのインターフェースが良いと評価している点は意外です。おそらくカラーネガポジ、モノクロいろいろスキャンした結果のようです。
expertphotography.com こちらは、EPSONのフラットヘッドスキャナを使ったレビューですが、得られるイメージクオリティ自体は、Vuescan, Epson Scan, Silverfastとも変わらないと結論付けています。ソフトよりもハードウェアが重要と論じています。但し、Vuescanのインターフェースは悪く、機能が多すぎて分かりにくく、その点ではEpson ScanやSilverfastを推薦すると述べています。サンプルにある写真を見ると、主にモノクロネガを取り込んでいるようです。
19671007.at.webry.info Epson Scanと比較する議論があるので、Epsonのフラットヘッドスキャナによるフィルムの取り込みのようです。こちらのサイトのご意見は、カラーネガは Silverfast はあまり設定をいじらなくても一発で良い結果が得られるが、Vuescan も追い込んでいけば遜色ない、というあたりのようです。
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また、印画プリント写真のフラットヘッドスキャナを通した取り込みについても当然評価が変わるでしょう。
www.scanbasics.com こちらのサイトは褪色したプリントをフラットヘッドスキャナで読み込んでどのソフトの褪色補正が一番有効かを比較しています。Photoshop Elementsがベストと結論付けていますが、なぜかVuescanの褪色補正オプションは使われていません。Paint Shop Proは評価対象に入っていません。