コロナ禍が収まらない中、ウクライナ戦争の勃発とそれに伴う物価高、円の急落と、踏んだり蹴ったりだった2022年も暮れようとしています。皆さまのこの一年はいかがだったでしょうか。
ところで、現在黄変ネガフィルム画像を補正するBチャンネル補正法ツールの次期バージョンの開発作業を行っています。来年への課題として、次のバージョンアップでは以下のような内容を考えています。
1) 緑保護マスクの強化
現在のバージョンの黄変ネガカラーフィルム画像の補正ツールでは、主として、黄変量を推計して、その分をBチャンネルから差し引く (厳密に言えばBチャンネルの値を引き上げる) ことで、補正を行っています。しかし、この推計はGチャンネルの値を参照しながら行っているので、植物の緑など、相対的にGチャンネル値が高い部分もBチャンネルの値を引き上げる(青っぽくする)ことになります。同じ緑でも元々B値の高い青緑系はあまり影響がありませんが、B値の低い黄緑系は影響が大きくなります。またもともと黄色味のある部分と、あまりない部分では、黄変した時も、前者の黄変量は相対的に少ない傾向のようです。そのためもあり、B値の低い緑系(要はやや黄緑の傾向にある緑)の部分はあまり補正を掛けない方がより良い結果が得られるようです。
そのためそのため、[preserve plant green] という緑の部分で補正を弱めるオプションをつけているのですが、どうもこのオプションの効果が弱い、つまり補正抑制効果が弱いようです。
今回この効果を強化するために、このオプションのアルゴリズムを全面的に見直して書き直しています。
とりあえず今テスト中の結果ですが下にサンプルを掲げます。なおサンプル画像は黄変画像ではなくデジタルカメラの画像ですが、緑色がどのように評価されるか分かりやすいので使っています。
元画像は春先の新緑が写っています。黄緑の新緑が鮮やかです。これに対し、緑保護マスクを掛けた結果が以下です。
上の画像で黒っぽい画像ほど、補正効果を弱めたりキャンセルする効果が強い部分です。既存アルゴリズムだと緑色の濃い部分は評価されますが、明るい黄緑色では、補正キャンセル効果がほぼ出ていないことが分かります。しかし通常、明るい黄緑色こそ補正を弱めたい部分なので、これでは困ります。
現在テスト中の新アルゴリズムでは、明るい黄緑色がより高く評価され、補正キャンセル効果が高くなる一方、B値の高い深緑はキャンセル効果が低くなっています。こちらの方がより適切と思われます。
現在複数の画像を読み込ませてみて、適切なパラメータの値を探っている状況です。
その他、次期バージョンアップで考えていることとして...
2) 周辺補正レイヤーの閾値のパラメータ入力をノービスモードで省略
3) 遠景補正レイヤーの閾値推薦値の表示
を考えています。