Photoshop を使っていて、GIMP に移行したときにちょっとまごつくことの一つに、描画キャンバスのサイズの変更があります。Photoshop だと、[イメージ] → [カンバスサイズの変更] でキャンバスサイズを広げると描画キャンバスのサイズ変更とともに、広がった部分に直ちに書き込みができますが、GIMP ではキャンバスサイズを広げても、広がった部分に直ちに書き込みができなかったりします。これはいったいどういうことでしょうか?
■GIMPにおける基本的なコンセプト
Photoshop の場合はそもそもキャンバスサイズのオプションは、[イメージ] メニューの下のしかありません。ところが GIMP の場合キャンバスサイズ変更相当のオプションは、[画像] (英語では image) と [レイヤー] のメニューの下の両方にあります。
これはどういうことかというと、GIMP では、イメージオブジェクト (ほぼ画像ファイルと考えて下さい)とレイヤーのサイズがばらばらでありうるということを想定しているのに対し、Photoshop では原則として1つの画像ファイルの中のレイヤーのサイズが揃っていることを前提としている、ということです。
この図で例えていうと、GIMP の [画像]メニュー下の[キャンバスサイズの変更]とは一番下の基本的な紙の大きさを変更することになりますが、GIMP では各レイヤーのサイズがまちまちなのが前提とされているので、これは特に指定しない限り、直ちにその上に載っている各レイヤーのサイズを変更することはない、ということです。それに対し、Photoshop では各レイヤーサイズは同じであることが前提とされていますので、キャンバスサイズを変更すると、各レイヤーサイズにも直ちにそれが反映されます。さらに言うと、GIMP では各レイヤーのサイズはキャンバスのサイズを超える可能性もあります。もっともキャンバスサイズを超えた部分は不可視化されるのですが。
これはコンセプトの違いであり、どちらが優れているとは言い難いです。GIMP のように各レイヤーサイズがまちまちなのを前提としたほうが便利な場合もあります。しかし Photoshop での編集になれていると、なぜ意図通りに動作しない、ということになるかと思います。
なお、同じ画像のピクセルサイズの変更でも、[画像]メニューの[画像の拡大・縮小]に関しては、ほぼ Photoshop の [画像解像度] の変更と同様に動作します。
■基本的な手順
GIMP における描画キャンバスのサイズ変更動作を Photoshop の動作に合わせるには、まず 1) キャンバスサイズの変更、次に 2) レイヤーサイズをキャンバスに合わせる、という2ステップを踏む必要があります。
1) キャンバスサイズの変更
メニューの [画像] → [キャンバスサイズの変更] を選択します。
以下のダイアログで、キャンバスサイズの変更値や位置を指定します。なお、レイヤーのサイズも変更したい場合は、[サイズを変更するレイヤー] で明示的に変更するレイヤーを指定する必要があります。
なおオフセットを 0, 0 のままにすると一番左上を基準点にしてサイズを変更します。サイズ変更したキャンバスの中心に画像を置きたいときは [中央] ボタンを押します。
Photoshop から移ってくると、いちいちサイズ変更をするレイヤーを指定する必要があるのは面倒だと感じられると思います。しかし、既に述べたように、レイヤーサイズがまちまちなのにも利点があります。
なお、上と逆に先にレイヤーサイズから変更する手順もあります。
1) レイヤーサイズを変更する
以下のダイアログが出るので、変更したいサイズの値を入力して [リサイズ] ボタンを押します。なおオフセットを 0, 0 のままにすると一番左上を基準点にしてサイズを変更します。
2) キャンバスをレイヤーに合わせる
メニューの [画像] → [キャンバスをレイヤーに合わせる] を選んでクリックします。