[ここに掲げている写真は、2021.5.21に再編集したものと入れ替えました]
こちらは、1983.8.21に撮影した飯田線旧型国電さよなら運転の写真です。飯田線の旧型国電は、1983年6月に引退しましたが、ファンのためのさよなら運転が、8.20-21の二日間にわたって行われました。旧型国電が留置されていた中部天竜から機関区のあった伊那松島まで、往復で運転された記憶しています。この写真には人気のあった「合いの子」クモハ53008が写っていますが、確か、さよなら運転のため、一旦解体のため浜松工場に入場していたものを、わざわざ呼び戻したというような話があったように思います。しかもこの写真後追いなのですが、ファンサービスのため、後ろ側の前照灯も点灯してくれていたのが分かります。国民のための国鉄ならではの心憎いサービスでした。
さてこの写真も例にもれず、不均等黄変していました。下がオリジナルの黄変した画像です。
ここから、Bチャンネル再建法に掛けるために、ImageJによる素材ファイルを作りましたが、当時の気象条件は全般的に小糠雨が降る、霞がかかったような状態ですので、画像全体が白っぽくなっています。そのため、オリジナルからですと遠景と近景を切り分けるマスクがうまく作れません。ですので、マスクを作るためにオリジナルを暗くした画像を一旦作り、再度ImageJでスクリプトを走らせて、マスク画像を得ました。大体近景と遠景の切り分けがRGB値で50%程度 (8bit相当で128) 程度の明るさになるように、暗くしました。なおImageJ用のプラグイン・スクリプトのアップデート前でしたのでこのようにしましたが、現在のバージョンでは遠景の閾値を上げて走らせることで直ちに対応可能ですので、このような場合でも、わざわざ暗くした画像を作る必要はありません。
さらに、遠景補正レイヤーも、デフォルトの設定で使わず、より明るくして補正Bチャンネル画像を作りました。図5が補正前、図6が補正後のBチャンネルです。Bチャンネル周辺部分の情報抜けの補正も行っています。
このように再建したBチャンネルを使ってサイドRGB合成を行ったものが図7です。
[2021.5補足]
図7の画像を汎用色チャンネルマスク作成ツールに掛け、植物の緑部分を補正するマスクを作り補正しました。マスクをつけたレイヤーに対し、G, R値をハイライト~ミッドトーンを中心に上昇させ、B値をシャドウ~ミッドトーンを中心に下げました。それが図8です。
図8のファイルをRawTherapeeに掛け、霞除去や色温度の調整などを行って仕上げたのが上の最終補正結果です。当時霞がかっていたのは間違いないので、霞は取りすぎないよう調整しました。なかなか良い感じに仕上がったかと思います。
同じ列車の反対側(クハ47069)も、同様に補正したものを掲示します。
オリジナルは次のようでした。
以下のページも参考にご覧ください。新しい、黄変写真補正過程を紹介しています。