先日、相対RGB色マスク画像作成ツールのバージョンアップを公開しました。またこれを使ったカビの痕跡取りや、現像失敗ネガフィルム画像の補正についても公開してきました。このツールで作成したマスクを使って画像補正する際に気づいたいくつかのポイントについて説明します。
まず、第1ポイント、マスク画像作成ですが...
・マスク作成は、知覚的TRCが掛かった画像を元に行ったほうが良い。
通常の画像は知覚的トーン再現カーブ(いわゆる知覚的ガンマ補正)がかかっていますので、特に考えなくてもよいはずです。通常中間グレー点は濃度18〜19%とされます。この濃度のグレーが視覚的には50%の明るさに見えるとされています。これは人間の視覚がシャドウ域で敏感なためです。従ってリニア画像でマスクを作成すると敏感なシャドウ域で、パラメータが大きく作用しすぎる、つまり明るさの範囲が大雑把になりすぎる可能性があります。人間の視覚に合わせるためには知覚的TRCがかかった画像を元にマスクを作成したほうが良いようです。
第2のポイントですが...
・マスクを掛けた画像の補正は、リニア画像に直したほうが良い。
知覚的TRCがかかった画像でマスクを元に補正(明るさの値を上げたり下げたりする)をかけると、リニアではないためマスクの境界線が目立ちがちです。リニア画像で補正をかけると、知覚的TRCがかかった画像で補正をかけるよりも境界線が目立ちにくい傾向にあります(ただし全く目立たないわけではありません)。従って補正をかける画像は知覚的TRCを外し、リニアに直したほうが良いようです。このあたりは実際に補正を掛けてみて様子を見てください。GIMPの場合リニア画像に直すには、GIMPのメニューの[画像]→[精度]からリニア画像への変換しますが、16bit以上の精度と、リニアライトにチェックを入れてください。8bitだと調整したときにトーンジャンプが起きやすくなります。
出力する時は、再度知覚的TRCがかかった画像に直して出力したほうが良いと思います。
GIMP上で知覚的TRCがかかった画像とリニア画像の関連については、以下のページもご参照ください。