ほぼ1年ぶりに、GIMP用の新しい Python script プラグインをリリースします。今回リリースするのは、レイヤー・マスクの透明度やコントラストを調整するプラグインです。例によって GIMP Ver. 2.10.x でしか使えません。
GIMP でマスクの透明度やコントラストを調整するには、レベル補正が使えます。しかし、これだとガンマ補正をかけるのが主になりますので、全体的なマスクの透明度(明るさ)を上げたり下げたりはできますが、マスクの最高透明度や最低透明度を調整するのはちょっとわかりにくいです。
例えばオリジナルのマスクの透明度の最低値 (ブラックポイント) が 0、最低値(ホワイトポイント)が、100とします。以下の図は縦軸が出力、横軸が入力ですが、何の調整も行っていない段階なので横軸の値 = 縦軸の値となっており、マスクの値分布は対角線になります。
このマスクの透明度最低値を引き上げ、全般的に透明度の高い、低コントラストのマスクに変えたい場合があるとおもいます。
逆に、同じコントラストを下げるのでも、全体的に透明度を下げたい場合もあると思います。
このような調整が、レベル補正では、できないことはないのですが、ちょっとやりにくいです。特に明確な値で指定することができません。それでもうちょっとこのような調整を簡単にできるプラグインを考えました。
このプラグインを導入すると、[レイヤー]メニューの下に[マスクの透明度調整]という項目ができます(導入の仕方は最後の方をご覧ください)。
起動すると以下のようなダイアログが出ます。
最初にこのツールを起動したときのデフォルトは、最高が100% 最低が 0% ですが、もし、最初のマスクの明度が 0 ~ 100 の間に分布すると、そのままだと何も変わりません。例えば上の上の図のように、最高値は変更せず、最低値を引き上げたい場合は、最低値のスライダーを引き上げます。
これで OK ボタンを押すと、最低値が引きあがった低コントラストの透明度の高いマスクになります。なお、指定したレイヤーにマスクがない場合はなにも動作しません。
実際の画像でどうなるか見てみましょう。まずオリジナルのマスクです。
これを最高値は 100% のまま、最低値を 50%に設定すると...
なお、特定の部分を範囲指定すると、範囲指定した部分のみこの調整が適用になります。下はバラスト部分のみ範囲指定したケースです。
逆に、最高値を 50% 最低値を 0% にすると...
全般的に透明度の低いマスクになりました。
今度は逆転し、最高値を 0% 最低値を 100% にしてみます。
マスクが反転しました。
また、ガンマ値を調整すると以下のような凸状のマスクになります。
ガンマ値を 0 から 1.0 未満に設定すると逆に凹状になります。
これも実例でご覧いただきましょう。最高値 100%、最低値 50% でガンマ値を 2.2 に設定した事例です。
ガンマをいじらなかったマスクに比べ、全般的にさらに明るく(透明度が高く)なっています。ガンマの値を 0 ~ 1.0 に設定すると逆に暗く(透明度が低く)なりますが、例は省略します。
これらを設定することにより、より補正レイヤーの効果を細かく制御することができます。
このプラグインですが、こちらからダウンロードして下さい。そして、ダウンロードし解凍したファイルを、以下のページの 5.1.2 以下の説明に従ってインストールしてください。