フィルムをスキャンした画像を見てみると、フィルムの粒状性が目立つ場合があります。もちろん、特にネガカラーの場合フィルムの粒状は結構大きかったと思います。確か、1983年にフジカラーHR が発売された以降、粒状性は顕著に改善されはしましたが、それでも高感度フィルムに関しては従来並みの粒状性でした。さらにフィルムの劣化によりフィルムの粒状も荒くなるように思われます。
画像処理ソフトでもノイズ低減やスムージングコマンドが搭載されていますが、その主たるターゲットは、高 ISO 感度で撮影したデジタルカメラ画像であり、必ずしもフィルムがターゲットになっているわけではありません。
ここでは、フリーソフトで初めて AI (機械学習) によるノイズ低減コマンドを搭載した GIMP のプラグインソフトである G'MIC を GIMP 上で使ってその効果を検証します。
なお、以前、G'MIC に AI ノイズ低減機能が搭載されてすぐに検証してみましたが、その時は Windows 上でエラーメッセージが出て実行できませんでした。今回もちょっとトラブルが出ましたが、その原因は、古い設定ファイルにあったようで、一旦ユーザ設定ファイルを全部消して、GIMP をインストールしなおし、さらに最新版 G'MIC をインストールしてみたところ、稼働するようになりました。
なお、元々 GIMP のプラグインソフトとして出発した G'MIC は、現在では GIMP のプラグインとして稼働するだけではなく、複数の画像処理ソフトのプラグインとしても稼働します。また単独でも動きます。
因みに G'MIC の公式サイトは以下です。
G'MIC をインストールすると GIMP の以下のメニューから G'MIC を起動できます。
G'MIC-Qt というのが G'MIC ブラグインです。
ノイズ低減関係のコマンドは、その中の Repair (修復) というコマンド群の下にありますが、ノイズ低減やスムージング関連のコマンドは非常に多く、その機能の確認だけでも膨大な時間がかかります。
但し、AI を採用したものは、現在のところ、そのもっとも単純なコマンド名のコマンド、Denoise コマンドのみです。
上にあるように、Denoise には5つの方法が選べます。Soft, Heavy, Heavy (Faster), Poisson + Gaussian, Poisson + Gaussian (v. 2) です。ここでは、適用前と、Soft, Poisson + Gaussian (v. 2) の 3 つを比較します。
まず、オリジナルです。
まず、一番弱い Soft を掛けてみます。
若干粒状がソフトになっていますが、まだ粒が目立ちます。
次は heavy です。
ちょっと粒が減っています。
今度は最も強力と思われるポワソン+ガウスぼかし (Ver. 2) を掛けてみます。
草の部分はよりソフトになっていますが、川の部分はあまり変わっていないような... 粒状がより粗いせいでしょうか? ただ土手の草の部分はかなり良い感じです。また、変なアーティファクトは出にくいです。
なお、実行には結構時間がかかります。
さらに上の反復を 1 から 2 に増やすと...
粒状は減っているのは間違いありませんが、改善と言えるのかどうか微妙です。
参考までに、ART でスムージングをかけた結果をお示しします。
ソフトにする形状のサイズを決定します。ここでは半径 3 と 4 の 2 つインスタンスを設定しています。
草の部分は、G'MIC の Denoise の方が良いように思いますが、粒状自体はこちらの方が圧倒的に細かくなります。うぅーむこれをどう考えるべきでしょうか。
やはり、学習に使われているデータのノイズの大きさがフィルムより一段細かくなっているようで、うまく処理されている部分もありますが、きめが荒いと感じられる部分もあるというところです。フィルムレベルの粒状に特化したデータで学習した AI ノイズ低減ツールがあると良いのですが...
G'MIC には他にいろいろなノイズ低減、スムージングツールがありますので、めぼしいものがあれば試してみたいと思います。
--------------------
[参考サイト]