省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

黄変ネガ写真 Bチャンネル再建法補正 Tips (3) - 補正量の調整

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 Bチャンネル再建法を適用して、黄変ネガカラー写真の画像を補正する場合、補正量を調整したい場合があると思います。そのような場合どうしたらよいでしょうか?

■レイヤーの不透明度の調整

 例えば、周辺褪色補正レイヤーを使おうと思ったときに、補正を適用しない部分と画像の濃度が合わない、あるいは、Bチャンネル再建法を適用すると、黄色味が削減されすぎてしまう、ということはないでしょうか。特に2022年7月のアルゴリズム改定によって、それ以前より黄変の削減量が大幅に強化されました。以降、画像によってはそれまでなかった、黄色味が脱色されすぎてしまう、というケースも散見されるようになりました。

 この際、考えられる一つの方法はレイヤーの不透明度の調整です。補正量を減らしたい塗潰しレイヤーを指定して、不透明度を下げることで、補正量を引き下げることができます。

不透明度の調整

 この際、塗潰しレイヤーの方を編集モードにしているかどうか (マスクが指定されていないか) ご確認ください。編集モードになっていると、枠が上のように白くなります。マスクの方を編集モードにしていると、マスクの効果の方が動いてしまいます。

 もちろん、マスクの補正抑制効果を弱めたいという場合 (例えば、緑保護効果を弱めたいなど) は、マスクの方を編集モードにして、不透明度スライダーを動かしてください。

 例えば、近景補正レイヤーの不透明度を下げると、黄色の削減量が減ります。

■レイヤーのガンマ値の調整

 もう一つの調整方法は、レイヤーにガンマ補正を掛けることです。ガンマ補正とはピクセル値に乗数を掛けることで、画像の明暗のトーンを調整する補正方法です(厳密に言うとガンマ値は乗数の逆数です)。単純にピクセル値を上昇させたり下降させることとの違いは、値の両端 (ブラックポイントとホワイトポイント) は変化することなく、中域であるほど、下図のように値が変化することです。従って値のクリッピングが発生しません。

ガンマ補正の例
(ガンマが 1.3 の場合と 0.7 の場合)

 例えば、近景補正レイヤーによって黄色が削減されすぎると感じられる場合は、近景補正レイヤーに対し、1未満の値のガンマを掛けることによって、補正レイヤーを暗く (→ 即ち黄色く) することができますので、削減され過ぎ感を緩和することができます。また、不透明度を調整する方法では、黄色の削減量を減らす方向にしか調整できませんが、この方法だと、黄色の削減量を増やす方向にも調整できます(ガンマ値を1以上に設定し、レイヤーを明るくする)。

 GIMP上でガンマ補正を掛けるには、上と同じように、補正したい塗潰しレイヤーを編集モードに選択した上で、メニューの[色] → [レベル] からガンマ補正を掛けます。

メニュー上の レベル調整の位置

 すると、下記のような色レベル調整ダイアログが表示されます。

色レベル調整ダイアログ (左側) と ヒストグラム (右側)

 このダイアログでは、どれがガンマ補正値を調整する項目なのか分かりにくいので、上の図に説明の吹き出しをつけておきました。このガンマ調整用の数値指定ボックス、もしくはスライダーを動かしてガンマ補正値を調整します (どちらでもOK)。スライダーは右に動かすと画像が暗く (ガンマ値は1未満)、左に動かすと明るく (ガンマ値は 1 以上) になります。

 この時同時にヒストグラムも表示させてください(上の図の右側のグラフ)。するとヒストグラムに明るさの平均値が表示されますので、どれぐらい暗く or 明るくなったかが数値的に確認できます。なおこの表示は、0.0 ~ 1.0 で表示されますので、0 ~ 255 の値に直すにはこの値に、255 を掛けてください。0.1変わると、25.5、0.05変わると、約13変化したことになります。

 近景補正レイヤーを暗くして、RGB合成を行うと、最終結果はより黄色味が残る形になります。

 因みに実際に近景補正レイヤーにガンマ補正を掛けた例と掛けない例を比較して見ます。まず、掛けていない例から...

ガンマ補正なし

 次に 0.80 で近景補正レイヤーにガンマ補正を掛けた例...

ガンマ補正 (0.80) あり

 下の方が全般に黄色味が増しています。