現在、次期 B チャンネル再建法ツールのバージョンアップ(Ver. 5.5)に向けて、色々なアルゴリズムの試験を行なっています。
以下は、植物の緑の黄色味を戻すアルゴリズムの検討ですが... オリジナルのデータではなく、一旦補正をかけ黄色味を減らした B チャンネル画像の明るさを暗くした画像をもとに、どこまで黄色味を戻せるか実験してみました。つまり、元の「正しい」B チャンネルデータを使わずに、一旦黄色味を減らしたデータからどこまでオリジナルを復元できるかという実験です。
すでに褐色部分の黄色味を戻すアルゴリズムについては Ver. 5.4 で実装してある程度うまくいっています。ここでの実験の要点は、緑部分の黄色を戻すツールの検討過程で、黄変の影響で、本来ないはずの緑味が「復元」されるのを避けるアルゴリズムがうまくいっているか検証しようという趣旨です。現状の植物の緑保護オプションだと、黄変の悪影響で、本来ないはずの疑似的な「復元」がされてしまうのを避けきれませんので。
実験としては、正常なBチャンネル画像から黄色味を除去し、黄色味を除去したデータを暗くして再度緑部分の黄色味を復元できるか、ということをやってみます。その際、過剰に黄色が「復元」されないよう、新しいアルゴリズムに基づくマスクを作成して掛けました。
まずオリジナルデータです。
オリジナルに、Bチャンネル再建法を適用し、黄色味をかなり除去してみた画像です。使用した補正レイヤーは、暗部補正レイヤー、近景補正レイヤー、オリジナルBチャンネルのみです。黄色を除去したため、当然ですが黄色味がかなり消え、青っぽく脱色した印象になります。
次は、上の結果に、Ver. 5.5 試作バージョンで追加した、緑および褐色調整レイヤーを追加適用し、黄色戻しを試みた結果です。試作版の緑調整レイヤーは、黄色味を消した B チャンネル画像を暗くしたものに、緑部分を透過させるマスクをかけて作成しました。マスクは一切編集していません。黄色味は戻りましたが、紫の部分が赤褐色に寄りました。黄色の花の黄色味もあまり戻っていません。
そこで、まず紫色部分の黄色戻しを除外して本来の紫色に戻すマスク編集を行います。
上のオリジナルから黄色を戻したくない、紫の部分を下記のように黒塗りにします。さらに、逆に黄色い花は黄色を強めたいので、黒塗りになっている部分を白く抜きます。
上のように編集しました。
次に黄色い花の黄色味を強める編集を行います。まず緑調整レイヤーのマスクですが...
黄色い花の中心部が黒くなっており、黄色味が十分戻らないので、そこを消しゴムツールを使って白くします。
白抜きにしてみました。さらに、褐色調整レイヤーも...
同様に白い花の中心部が黒くなって黄色が戻りにくくなっているので、これを白抜きにします。
黄色い花の中心部を白抜きにしました。
最後は近景補正レイヤーです。
当然ながら黄色い部分を補正しようとしていますので、補正除外のため、黄色い花の部分を下記のように黒塗りにします。
以上のレイヤーマスク編集を行ったうえで、Bチャンネルの再構成 & RGB合成を掛けます。
かなりオリジナルに近い線で、黄色味が戻せました。以上の実験により、Ver. 5.4 から追加した褐色調整レイヤー、Ver. 5.5 試作版から追加した緑色調整レイヤー、並びに黄色部分及び紫色部分のマスクの個別マニュアル編集により、一旦黄色味を除去したとしても、かなりオリジナルの黄色味を推定復元できそうなことが分かりました。
なお、上では黄色い花を編集するのに3つのレイヤーを編集しましたが、実際には近景補正レイヤー用マスクのみ編集すればよいです。考えてみれば褐色、緑調整レイヤーのマスクを編集しなくても (そのレイヤーで黄色味を増やさなくても) 近景補正レイヤーで十分に黄色が戻りますから。