省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術 (5-3a): 黄色を残す部分の編集方法

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 本記事では、B チャンネル再建法ツール Ver. 5.5 から追加した、近景補正レイヤー用マスクにおいて、黄色い部分に補正を適用せずに生かすための編集を行うために追加した、黄色保全編集用イメージを用いた、マスク編集の方法について解説します。

 まず今回の例示に使うサンプルファイルをお見せします。

オリジナルファイル

 上のサンプルイメージの内、左の黄色い手摺と踏切の遮断機に対して、補正を除外するよう近景補正レイヤー用マスクを編集することを考えます。このイメージには、空を中心に黄変があるとともに周辺も青変褪色が発生しています。

 まず ImageJ 用 B チャンネル再建法ツール Ver. 5.5 を適用します。これにより得られた近景補正レイヤー用マスク画像 (Fg_Mask レイヤーの画像) のデフォルトの状態は下記の状態です。

オリジナル近景補正レイヤー用マスク

 手すりや警報機の黄色い部分は白くなっており、このままでは黄色を削除する補正が掛かってしまいます。これをマスク編集用素材イメージを使って編集します。

 マスク編集用素材イメージは Fg_Mask_Yrsv というレイヤーに読み込まれています。それが下記です。

マスク編集用素材画像

 この素材イメージを Fg_Mask レイヤーの上に別レイヤーとしてコピーします。

レイヤーをコピー

 コピーしたレイヤーイメージに対して、オリジナルファイルを見ながら、黄色を保護したい部分以外を、自由選択ツール + Delete で消す編集を行います。

オリジナルを見ながら要らない部分を削除編集

 下が黄色を保全したい部分のみ残したイメージです。わかりやすいように背景を白にしています。

残した部分

 さらに、黄色味をよりはっきり残したい場合は、この編集したイメージの黒の濃度を上げる (暗くする) 編集を行います。これによりオリジナルの (補正前の) B 値がより反映されるようになります。具体的にはトーンカーブを使って、下記のように明るさを暗くしてください。

濃度を調整

 この画像をその下のオリジナルの近景補正レイヤーマスクと合わせて表示します。

近景補正レイヤーと合わせた結果

 このように作成したイメージを、右コンテキストメニューから [可視部分をレイヤーに] を選びレイヤーに変換します。

編集が終了したら可視部分をレイヤーに転換

 このようにしてできたレイヤーに対し、周辺の青変部分の、補正からの保護を削除する編集を行います。

可視レイヤーをさらに編集

 上の編集が終わった結果が下記です。黄色い部分が黒っぽくなっています。

可視レイヤーをさらに編集し
新規の近景補正レイヤーのマスクとして貼り付ける

 次に、編集が終わった画像を、近景補正レイヤーの新規のマスクとして貼り付けます。それを基に、RGB 合成を行った結果が下記画像です。

RGB合成結果

 この画像の場合この後さらにマゼンタを除去する編集が必要です。

 なお、褐色調整レイヤーを有効にしている場合、わざわざ黄色を残すための編集を行わなくてもある程度黄色部分が復元されます。それでは不十分な場合 (特に黄色の彩度が高い場合)、この編集を行なってください。この辺りはオリジナル画像によって変わります。

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