G'MIC に Iain Fergusson 氏が開発した Iain Noise Reduction というノイズ低減ツールがあります。基本は、細かい (Fine)、中間 (Mid)、粗い (Large) の三段階のウェーブレットと、どの明るさを中心にノイズを低減するかのコントロールを併せたノイズ低減ツールのようです。
まず、ダイアログを見てみます。
Gamma: ノイズ低減の明るい領域と暗い領域のバランスを決定します。値を上げると暗い領域を中心にノイズ低減を行い、下げると明るい領域を中心にノイズ低減を行います。
Shadows: 暗い領域のみ、追加的なノイズ低減を行います。値を上げるほどスムーズに。
Light: 明るい領域のみ、追加的ノイズ低減を行います。値を上げるほどスムーズに。
Mid Offset: 中間オフセット。Gammma で決定する暗い領域と明るい領域の境界線を調整します。
Desaturate: 色ノイズを低減します。
Guide Mix: ガイド ミックスは主に、ノイズ除去のガイドとして別のレイヤーを使用している場合に役立ちます。ノイズの多い画像とガイド レイヤーを混合して、ガイドがノイズ リダクションにどの程度影響するかを制御できます。これを活用するには、予め画像をオリジナルレイヤーとコピーしたレイヤーの2つを用意し、上側のレイヤーに対してノイズ低減を掛け、下のレイヤーをガイドレイヤーとして使用します。
Soften Guide: インパルスノイズを低減します。
Fine, Mid, Large: ウェーブレットを使って抽出した、ノイズ低減の対象となるノイズの大きさのレベルです。各レベルのノイズは、Preview Shows で除去対象となるノイズの各レベルを選んで見ることができます。Fine は最も細かく、Mid は中規模、Large は最も粗いノイズレベルです。スライダーの値を動かすことでノイズ低減の対象になるノイズの大きさを変更できます。
プレビューにおいて各ノイズを選んだ時、画面がフラットになると、その分ノイズが削減されないことを意味します。
なお、そもそもウェーブレットとは何かというお話については以下の拙稿をご覧ください。
Lookup: アルゴリズムが、当該ピクセルの周囲をどの範囲まで参照してノイズ低減を行うかです。通常、値が大きいほど品質は向上しますが、速度は遅くなります。アルゴリズム的には奇数が最適です。ルックアップを上げた場合、過剰なスムージングを避けるために、Fine, Mid, Large の値をきちんと調整する必要がある場合があります。
Recovery: ディテールの復元を行うか、どのような方法で行うかを決定します。
Recover: ティテールの復元量の指定。
入力レイヤー: 補正に使う入力レイヤー。ガイド付き補正を行うにはレイヤーを複製して上のレイヤーをアクティブにし、その上で、ここを [アクティブなレイヤーとその下のレイヤー] に選択します。
https://www.cloudynights.com/topic/861492-free-software-for-noise-removal/
では、例によって以下のフィルムをスキャンした画像をこのノイズ低減ツールに掛けてみましょう。
ダイアログ上は以下の設定でノイズ低減を掛けます。
入力する画像は結構明るいので、Gamma は下げて、明るいところを重点的にノイズ低減するようにします。
この時、ノイズ低減の対象となる、各レベルのノイズは以下のようになります。Large は使いません。
ノイズ低減を掛けた結果はこちらです。
比較のため AI ノイズ低減を掛けた結果を以下に提示します。
草むらのあたり、AI ノイズ低減の方がインパルスノイズ的なものは少ない感じですが、本ツールもまずまず健闘しています。川の水面は本ツールの方が変なアーティファクトが少ないようです。粒状のサイズ自体も本ツールを使った結果の方がやや細かくなっているようですが、全体的に目立たないのは AI ノイズ低減のようにも思えます。
結果は結構異なりますが、一長一短なような気が... なかなか難しいですね。
ART のスムージングの結果は本ツールの粒状をもうちょっと細かくしたような感じです。ART のスムージングは結構健闘しているかもしれません。
なお、Lookup がデフォルトだとまずまずのスピードですが、この値を増やすとかなり時間がかかります。