省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

GIMP3 プラグイン版 チャンネル再構成ツール補正事例 3: 全体的に黄色くなった画像の補正

 以前にも何度かお見せしている、経年褪色によって黄色くなった富士急7032 (元 国鉄クモハ14009) の写真ですが、これを例にチャンネル再構成ツールによって補正する過程をお見せします。

オリジナル

 この画像の各チャンネルの統計データをチャンネル再構成ツールを使って取ってみると、下記のようになりました。

R: 平均: 0.5 標準偏差: 0.26 中央値: 0.52

G: 平均: 0.57 標準偏差: 0.33 中央値: 0.55

B: 平均: 0.29 標準偏差: 0.16 中央値: 0.31

 B だけが値が低く、そのため黄変していることがわかります。そこで、補正対象チャンネルを Blue に設定し、その中で Blue チャンネルのシグモイド調整で、編曲点を下げ、コントラストを上げることで Blue チャンネルを上昇させます。なお、編曲点を 0 に設定していないのは、シャドウ部は Blue チャンネルの値を上昇させなくても良さそうだとの判断からです。これで一旦編集結果を確定させます。

B チャンネルのレベルを上げる

 しかし、これでもまだ空がやや黄色いです。空だけ若干不均等黄変が入っているようです。そこで空の黄色みを取ることを考えます。この時点で、最高性ツールを使って、補正対象チャンネルを変え、各チャンネルのイメージがどうなっているかを確認します。

R 画像

G 画像

B 画像

 最も明るいのは G 画像ですが、気になるのは左端がちょっと暗くなっている点です。変色に伴うものと思われます。そこで、R チャンネルの明るさを上げて、B チャンネルとミックスすることで、空の青のレベルを上げることを考えます。

 補正対象チャンネルに Blue を選択します。そしてミックスする R チャンネルのホワイトポイントを下げて R 画像を明るくします。そのうえで、B と R のミックス比を 50 対 50 としてミックスします。確定させる際に、新たにつけたオプション、チャンネル合成モードを比較 (明) にします。編集前に比べて、明るくする方向のみに調整するためです。これである程度不均等黄変を除去します。

B 画像に ホワイトポイントを下げた R 画像をミックス○

 この結果、空の青みが増しました。他の部分も青っぽくなっていますが、これは後で、空以外の部分を覆ったマスクをかけて対応します。

編集結果

 ただ、空の青さは増しましたが、若干不自然です。青い空は普通若干マゼンタに傾いた青であることが普通です。そこで一旦編集を確定したあと、再度ツールを起動し、補正対象チャンネルに G を選択し、そのうち G のホワイトポイントを上昇させることで、多少 G チャンネルのレベルを下げ、空のマゼンタ味を若干増します。

G 画像のホワイトポイントを上昇

 これで補正されたレイヤーに、拙作の別プラグイン、パラメータ指定輝度マスクを使って、空だけを透過させたマスクを掛けます。

パラメータ指定輝度マスク

 ここで、今マスクを掛けた一番上のレイヤーと、最初の補正結果のみを可視状態に設定すると、下記のようになります。だいぶ改善しました。

空などマスクを掛けた部分のみ補正を有効化

 ただ、部分的にマゼンタ汚れが残っていたりします。これをまた拙作のツール、相対 RGB 色マスク作成プラグインを使って、いくつかのマスクを掛けて、部分的に気になる部分を補正していきます。この過程の詳細は省略しますが、結果は以下にお見せします。

終結

 左端のマゼンタの汚れなども除去し、線路、バラストの茶色部分もマゼンタ気味だったのを適正な色調に変更してみました。

 

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 なお、上の編集で、空の黄色みを取るために、R チャンネルの明るさを上げて、B チャンネルとミックスすることで、空の青のレベルを上げてみましたが、場合によっては、B チャンネルデータを完全に R チャンネルデータに置き換えて、明るさを上げるとともに、コントラストを下げるという編集でも良かったかもしれません。

 

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