省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

黄変ネガ写真 Bチャンネル再建法 (ハイブリッドアルゴリズム) 補正過程事例 (7)【Ver. 4.7対応】

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[補正量を測定して補正値をマニュアル調整する 事例2]

 補正量を測定して補正値をマニュアル調整するもう1例を掲げます。以下のサンプルは以前にも補正事例として取り上げましたが、追加補正で若干手こずりました。黄変、マゼンタ変を空から取るのにちょっと苦闘しました。

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オリジナル

 結局、黄変を取るのに苦労する画像は、B-G間の相関係数が低いことが原因ということが分かりましたので、この画像に関しても、筆者が作成した画像のチャンネル間相関計算ツールを使って、マニュアル補正値を測定します。測定範囲は、空の部分を含む上から1/3の範囲としました。その結果マニュアル補正の目安値は 14.15 となりましたので、マニュアル補正で 15 を指定してBチャンネル補正法ツールを走らせます。

パラメータ設定値

 近景マスクのタイプは Type4とします。

 素材ファイルができたらGIMPに読み込ませます。Bチャンネル画像の再構成には結果的にすべての補正レイヤーを、マスク編集なしに使うことにしました。

使用した補正レイヤー

 

 この画像の場合周辺の青紫化が進んでないので、当初周辺補正レイヤーを使わないつもりでしたが、どうもオオシラビソと空が接触する部分でBチャンネルの褪色が進んでいるらしく、使ったほうが良好な結果が得られたので、使うことにしました。

周辺補正レイヤー不使用

周辺補正レイヤー使用
オシラビソの葉の印影がより明確になる

 このあたり、どのように画像を使って編集していくかは、本当に画像を見てケースバイケースで判断して下さい。

 これで、RGB合成した結果が下記です。

補正1 (Bチャンネル再建法 [ハイブリッドアルゴリズム] のみ適用)

 本年7月以前の編集にあった、黄色が取り切れていない感は完全に消えています。マニュアル補正量が適切であったことが分かります。しかし、黄変していた部分はもちろん、黄変していない部分もマゼンタに寄っています。これは元々フィルムスキャナの癖としてマゼンタに寄るためです。Bチャンネル再建法ツール自体は、黄変以外補正効果がないので、マゼンタが残って当然です。したがってあとは追加補正で修正していきます。まずマゼンタマスクを掛けて編集します。

マゼンタマスク
閾値: 15.0  透過率: 1.8  明度範囲: 全域

 補正1をコピーしたレイヤーにマゼンタマスクをかけマゼンタ補正レイヤーとし、それに対するトーンカーブ編集を下記のように行いました。

マゼンタ補正レイヤーに対するトーンカーブ調整

 全般的にGを引き上げるとともに、シャドウのみRを引き上げる一方、Bを引き下げます。ハイライト域はBのみを引き上げ、Rは、わずかに引き下げます。

 ここで、結果を一旦TIFFに出力します(補正2)。これを使って、今度はグリーン補正マスクを作ります。

グリーン補正マスク
閾値: 10.0  透過率: 1.8  明度範囲: 0-128

 グリーン補正マスクは、空を含めません。可視部分をレイヤー化し、それに対してこのマスクを掛けグリーン補正レイヤーとします。それに対するトーンカーブ編集は下記です。

グリーン補正レイヤー トーンカーブ編集

 G, R をシャドウ部を中心に引き上げるとともに、Bを引き下げます。これにGIMP上でホワイトバランスの自動補正を掛け、TIFFファイルに出力します(補正3)。

GIMP追加補正終了 (補正3)

 全般的に色被りしていますが、これを一旦ARTに読み込ませます。

 ARTに読み込んでホワイトバランスの自動補正を掛けると、大幅に色被りが改善しました。さらにRGBカーブでごく僅かBのシャドウ域を下げ、ハイライト域を上げます。

ARTでの編集

 これで最終結果を出力しました。

ARTによる最終編集結果

 因みに補正前と補正後のBチャンネルを見てみます。

オリジナルBチャンネル

補正後 B チャンネル

 補正前は、空が黒々としていたのが、きれいに消えました。ただ、補正後のBチャンネルは若干ハイキー気味かもしれません。もう少しBチャンネルの値の引き下げを控えめでも良かったかもしれません。