[補正量を測定して補正値をマニュアル調整する 事例2]
補正量を測定して補正値をマニュアル調整するもう1例を掲げます。以下のサンプルは以前にも補正事例として取り上げましたが、追加補正で若干手こずりました。黄変、マゼンタ変を空から取るのにちょっと苦闘しました。
結局、黄変を取るのに苦労する画像は、B-G間の相関係数が低いことが原因ということが分かりましたので、この画像に関しても、筆者が作成した画像のチャンネル間相関計算ツールを使って、マニュアル補正値を測定します。測定範囲は、空の部分を含む上から1/3の範囲としました。その結果マニュアル補正の目安値は 14.15 となりましたので、マニュアル補正で 15 を指定してBチャンネル補正法ツールを走らせます。
近景マスクのタイプは Type4とします。
素材ファイルができたらGIMPに読み込ませます。Bチャンネル画像の再構成には結果的にすべての補正レイヤーを、マスク編集なしに使うことにしました。
この画像の場合周辺の青紫化が進んでないので、当初周辺補正レイヤーを使わないつもりでしたが、どうもオオシラビソと空が接触する部分でBチャンネルの褪色が進んでいるらしく、使ったほうが良好な結果が得られたので、使うことにしました。
このあたり、どのように画像を使って編集していくかは、本当に画像を見てケースバイケースで判断して下さい。
これで、RGB合成した結果が下記です。
本年7月以前の編集にあった、黄色が取り切れていない感は完全に消えています。マニュアル補正量が適切であったことが分かります。しかし、黄変していた部分はもちろん、黄変していない部分もマゼンタに寄っています。これは元々フィルムスキャナの癖としてマゼンタに寄るためです。Bチャンネル再建法ツール自体は、黄変以外補正効果がないので、マゼンタが残って当然です。したがってあとは追加補正で修正していきます。まずマゼンタマスクを掛けて編集します。
補正1をコピーしたレイヤーにマゼンタマスクをかけマゼンタ補正レイヤーとし、それに対するトーンカーブ編集を下記のように行いました。
全般的にGを引き上げるとともに、シャドウのみRを引き上げる一方、Bを引き下げます。ハイライト域はBのみを引き上げ、Rは、わずかに引き下げます。
ここで、結果を一旦TIFFに出力します(補正2)。これを使って、今度はグリーン補正マスクを作ります。
グリーン補正マスクは、空を含めません。可視部分をレイヤー化し、それに対してこのマスクを掛けグリーン補正レイヤーとします。それに対するトーンカーブ編集は下記です。
G, R をシャドウ部を中心に引き上げるとともに、Bを引き下げます。これにGIMP上でホワイトバランスの自動補正を掛け、TIFFファイルに出力します(補正3)。
全般的に色被りしていますが、これを一旦ARTに読み込ませます。
ARTに読み込んでホワイトバランスの自動補正を掛けると、大幅に色被りが改善しました。さらにRGBカーブでごく僅かBのシャドウ域を下げ、ハイライト域を上げます。
これで最終結果を出力しました。
因みに補正前と補正後のBチャンネルを見てみます。
補正前は、空が黒々としていたのが、きれいに消えました。ただ、補正後のBチャンネルは若干ハイキー気味かもしれません。もう少しBチャンネルの値の引き下げを控えめでも良かったかもしれません。