省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

弁天橋電車区公開イベント時の鶴見線 クモハ12052 (蔵出し画像)

 以前、鶴見線クモハ12の写真は、現役最後の写真を掲載しましたが、こちらは国鉄末期、弁天橋電車区公開日の クモハ12052 の写真です。なお、クモハ12052は現在も車籍があり、書類上は、鶴見線車輛を管理する鎌倉総合車両センター中原支所所属となっていますが、実質的には東京総合車両センターで静態保存をされており、時々有料写真撮影会も開かれているようです。

 

クモハ12052 (南テシ) 弁天橋電車区

 101系配備後に導入された黄色い前サボです。

クモハ12052 (南テシ) 弁天橋電車区

 回送サボを掲示しています。

クモハ12052 + 12053

 南テシ (東京南鉄道管理局・弁天橋電車区) の所属区表記が懐かしいです。

クモハ12052 (南テシ) 弁天橋電車区

クモハ12052 (南テシ) 弁天橋電車区

 73系時代に使われた、弁天橋行きの前サボです。

 本車の車歴に関しては以下の記事をご参照ください。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 なお、これらの写真、いずれも今回新しく黄変したネガフィルムから救済したものです。一番上の写真を例に補正過程を例示します。

 まず、オリジナルです。空を中心に不均等に黄変しています。また右手に、スポット状に黄変していない部分が見られ、これまたちょっと困りものです。

オリジナル

 さらに、全体的に青紫の色被りが見られます。スキャナの過剰補正の結果と思われます。

 これを Bチャンネル再建法補正ツールをデフォルト設定で走らせます。緑保護オプションはなし、また画像は[荒れている]を指定しました。そして作成された素材ファイルを GIMP で読み込みます。

 そして、Bチャンネルを再構成するときには、暗部補正レイヤー、近景補正レイヤー、およびオリジナルBチャンネルのみを使いました。暗部補正レイヤーは不透明度を25%程度に下げました。

 また、近景レイヤーに関しては、本来黄色い部分がかなりあるので、近景補正レイヤーの編集を行いました。まず、相対RGB色マスク作成ツールで、黄色い部分を保護するマスク画像を作ります。

イエロー保護マスク画像

 これをGIMPに一旦レイヤーとして読み込み、黄変している空の部分を白く編集します。

上の画像を編集

 それを既存の近景補正レイヤーマスク画像に比較(暗)で重ねて(下図)、その画像をレイヤーに転換します。その画像を近景補正レイヤーにマスクとして貼り付けます。

新しく編集した近景補正レイヤーマスク

 こうすると、101系やサボなどの黄色い部分が補正されずに残ります。これを基にBチャンネルを再構成し、RGB合成を行います。

再構成されたBチャンネル

 比較対象としてオリジナルBチャンネル画像も掲示します。オリジナルでは空のスポット状の部分が明確ですが、再構成した像ではだいぶ改善されました。

オリジナル B チャンネル画像

 RGB合成結果はこちらです。

Bチャンネル再建法適用後 (補正1)

 まだかなりマゼンタ被りが激しいので、マゼンタ補正を行っていきます。相対RGB色マスク画像作成ツールで、マゼンタマスクを作成します。

マゼンタ透過マスク

 これを補正1を読み込んだレイヤーをコピーし、コピーしたマゼンタ補正用レイヤーにこのマゼンタ透過マスクを貼り付けます。

 そして、トーンカーブを使ってマゼンタ補正レイヤーに対し、マゼンタ補正を実行します。

マゼンタ被り補正中

 ここで、一旦TIFFファイルとして出力し、GIMPでの編集を終了します。

マゼンタ補正終了後

 だいぶいい感じになりました。マゼンタを除去すると、ペイントの艶がはっきりして、画像が急にリアルになってきます。このファイルを ART に読み込み、ホワイトバランス調整、トーンイコライザーを使ったトーン調整、回転、周辺光量の調整などを行って出力した結果が、下記の補正結果です。

最終補正結果

 黄変していた痕跡を感じさせない補正結果が得られました。