省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

darktable マスク編集方法 (2) - パラメータ指定マスク (パラメトリックマスク)

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■パラメータ指定マスク

 パラメータ指定マスク(parametric mask)とは、描画マスク(drawn mask)のように、画面上にマスクの形状を描くのではなく、マスクの適用範囲を、明度や色相、彩度の値によって決定して作成するマスクです。

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パラメータ指定マスクダイアログ

※2021.7追記
 バージョン3.6ではマスク効果のオン/オフおよびマスクの表示/非表示アイコンがrefinement の右横に移動しています。

 まず、知っておくべきなのはスライダーの意味です。スライダーの上側に塗潰した▼計2つと、下側に塗潰されていない△2つがあります。この意味は下図の通りです。

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パラメータ指定スライダーの意味 下半分は反転したマスク
(darktable 3.4マニュアル p. 50より引用)

 つまり各チャンネルのどの範囲を透過度を100にして、どの範囲を0にするのかを決定します。各スライダーの上側の下向きの三角▽は100%透過の範囲、下側の上向きの▲は透過度 0% (完全不透過) の範囲を示します。下のスライダーは上のスライダーで指定されるマスクを反転した場合です。

 マスクを反転した場合、三角形の意味が変わるので紛らわしいですが、スライダーの下の三角形は完全不透過の起点/終点を上の三角形は完全透過の起点/終点を表すと覚えておくとよいと思います。

 

 そして、透過度を決めるチャンネルはL*a*b*のL* (明度), a* (緑~赤), b* (青~オレンジ) 各チャンネルと、LChの、Ch (彩度), および h (色相) チャンネルです。これらの設定は重ねて併用することができます。

 チャンネル選択の横にスポイトマークが二つあります。左側のスポイトは、画面をこのスポイト(ピックアップ)ツールでクリックすると、選択したスポットがこのスライダーのどこに位置するかを、スライダー内に縦線を入れて表示します。右側のスポイトは画面で指定した範囲内の最大値、最小値が、このスライダーのどの範囲に位置するかを示してくれます。

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Lチャンネルにおいて、この画像中分布するピクセルの範囲を示す

 これらの各チャンネルのマスク設定をどのように重ね合わせるかが、その下にある、combine masks で、exclusiveかinclusiveのどちらかを選びます。exclusiveは「且つ ∩」の意味で、どのチャンネルのマスクもすべて100%透過の範囲だけ100%透過とし、一つでも0%だったら0%にします。つまり最低の透過度を持つマスクに全体のマスクの透過度を合わせます。inclusiveはその逆、つまり「または ∪」で、最も透過度の高いマスクに全体の透過度を合わせます。

 mask refinement は、描画マスクと共通です。

 以下サンプルです。

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Lチャンネル中間領域のみ100%透過としたマスク

 上は、L(明度) の中間領域のみ透過させ、両端は不透過とした事例です。

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hチャンネルで黄色部分のみ100%透過としたマスク

 こちらはh (色相) で黄色部分のみ透過させるように指定したマスクです。GIMPPhotoshopの色域選択に似ています。

 

■描画マスクとパラメータ指定マスクの併用

 描画マスクとパラメータ指定マスクを併用すると、かなり細かく補正範囲を絞り込めます。併用するには、マスクパネルの描画マスクとパラメータ指定マスク併用アイコンをクリックしてください。

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マスク編集パネル説明

■ラスタマスク

 要は、既にどこかのモジュールでマスクを設定している場合に、そのモジュールからマスクを流用する機能です。これをクリックすると、既にどこかのモジュールでマスクを設定し保存されていれば、そのモジュール名が出てくるので、それをクリックして流用できます。保存されていないと no masks used になってしまいます。

 

以上で darktable マスク編集の説明を終わります。