Bチャンネル再建法による不均等黄変フィルムの補正では、近景補正レイヤーに対し、Rチャンネルを明るくしたイメージをマスクとして貼り付けています。これはこの補正法を考えた時に、Bチャンネルに対しGチャンネルの情報をミキシングしていきますので、色の多様性が減ります。その多様性をなるべく回復するためにこのような対策を行ったわけです。ただし、何らかのデータに基づいて決めたわけではありません。ですので、これが本当に適切なのか迷いがありました。例えばRチャンネルを反転した画像を明るくしたイメージを貼り付けたほうが良いのかもしれません。そこで何枚か試してみました。
まず、オリジナルです。
例えば、劣化したBチャンネルの代わりにGチャンネルのイメージを使って、再度3原色合成を行ってみると...
全体的に緑っぽくなります。BとGの差がなくなり、青の特徴が出なくなるのですから当然ですね。そして、以下は現行のBチャンネル再建法を適用した結果です。BチャンネルにGチャンネルの情報を70%ミキシングし、さらに近景補正レイヤーに対しR画像を明るくしたマスクを掛けています。
マスクの黒っぽい部分ほど、オリジナルイメージ(補正前のイメージ)の情報が生かされます。
一方、近景補正レイヤーに対し、かけるマスクを変更してみました。上とは逆に、R画像を反転したイメージを明るくしたマスクを掛けてみました。下の上側がマスクとして新たにかける画像、その下が結果です。
結果的に、下の画像よりも上の画像のほうが、青みのある場所での青みが強くなりました。つまり反転した画像でマスクをかけるよりも、元の方法でマスクを掛けたほうがベターということです。まぁ反転して、明るさを明るくすると空以外は逆に白っぽくなるので、マスクを掛けていない状態に近くなるというのがその大きな原因のようです。つまりRポジ画像を加工したマスクを掛けることで色の多様性を確保するという作戦は間違っていなかったということかと思います。
黄変したフィルムの状態は千差万別なので、これが常に成立するとは限らないとは思いますが、黄変濃度がさほど高くない場合は、現行の方法が妥当であるとある程度言えるようです。特に黄変が空の部分中心で他にあまり広がっていないようなケースでは、現行の方法がベターと言えると思います。逆に全体的に黄変がひどく、かつ濃度もそこそこ濃い場合は、マスクを掛けない方がベターな場合があるかもしれません。この場合は、現状、近景補正レイヤーのマスクを無効にすることで対応可能です。とりあえずプログラムの改定は行わなくて良さそうです。という訳で以上個人的メモでした。