省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Bチャンネル再建法ツール ハイブリッド・アルゴリズム実装版 Ver. 4.53《8月アップデート》

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[お知らせ (2022.8.20)]

 以下に、当プログラムのバグフィクス・プログラムを公開しています。お使いの方は入れ換えをお願いします。また、新たにダウンロードする方は、当ページではなく、以下のページからダウンロードして下さい。

yasuo-ssi.hatenablog.com--------

 本日は、原爆記念日ですね。コロナ感染の急拡大で旅行や帰省の予定を立てたものの、急遽中止とされた方も多いかと思います。急遽予定が中止になってお暇になった方への暇つぶしになれば...という訳でもないのですが、再度、黄変ネガカラー写真 Bチャンネル再建法補正ツールをアップデートします。先月末に、ハイブリッドアルゴリズムを実装してアップデートしたばかりで申し訳ありませんが、今回のアップデートは微調整です。前回、前々回のような大きなアルゴリズムの変更はありません。なお、ここのところ頻繁なアップデートをさせていただきましたが、今回のアップデートを以て、しばらくはアップデートは行わなくても済むのではないかと思っています。

 また、2年前に本ツールの最初のバージョンをリリースしたときに、「決定版! 不均等黄変・褪色ネガ写真のデジタル補正術」と銘打ちましたが、その時点では若干おこがましいかなとも思っていました。現在のバージョンでは看板に偽りなしの段階に入ったと思います。黄変が軽微でない限り、へたにPhotoshopなどでパラメータをこねくり回すよりも、当ツールが最も効率的かつ迅速に黄変を削減できると言えると思います。導入のハードルが高いように思われる方もいらっしゃるかと思いますが、マニュアル通り導入していただければ問題ないと思います。またGIMPをいじったことのない方も、極力プラグインで、面倒なレイヤーやマスクの読込・貼付け操作やRGB合成操作を自動化していますので、最小限のことを学んでいただければ、すぐ補正に取り掛かって頂けると思います。

 ここで、今回の修正内容の説明に入ります。

 元々のGチャンネルミキシングアルゴリズムでは、遠景補正レイヤー (中間グレー域より明るい部分を補正するレイヤー) にて、BチャンネルへGチャンネルを混入する際に、Gチャンネルにガンマ1.45を掛けて明るくして混入していました。これはハイライト域ではおおむねBチャンネルの値がGチャンネルより高めになる (例えば空や、遠景など) はずなのを、GチャンネルをBチャンネルに大量に混入することで低めになってしまうのを調整する意味がありました。しかしこれは同時にBチャンネルがかなり黄変している(つまり本来の値よりBチャンネルが暗くなっている)ことをも前提としたガンマ補正値でした。

 しかしハイブリッド化したことで、基本的に、Bチャンネルの黄変量は、拡張疑似フラットフィールドアルゴリズムによってかなり削減されているはずなので、そこまでGチャンネルを明るくしてから混入する必要はないはずです。しかしハイブリット化後もガンマ補正値を変えていませんでした。

 そこで、今回ハイブリッドアルゴリズムにおけるデフォルトの遠景Bチャンネル混入用Gチャンネルのガンマ補正値を1.15に減らす(そこまでBチャンネルを明るくしなくても良いため)とともに、ガンマ補正値を1.0~1.45 (ダイアログ上はそれを100倍した、100~145の値で調整) の間で調整できるスライドバーをメニューにつけました。この値を上げるとBチャンネルの明るさが上がり、下げると、暗くなります。

 また、画像のTRC(トーン再現カーブ)タイプを知覚的からリニアに変えた時、デフォルトの補正値をメニュー上で変化させるようにしました。これは後から修正することができます。また、ハイブリッド補正をOffにしたとき(つまり従来アルゴリズム適用時)は、メニュー上でGチャンネルのガンマ補正値を1.45に戻すようにもなっています。これもやはり固定値ではなく、後から修正できます。

 これ以外に暗部補正レイヤーのデフォルトの閾値が 50 であるのはやや高すぎるようですので、今回25に下げました。

 今回の変更で、デフォルト設定での補正値が、多くの場合でより適切になるとともに、ユーザインターフェース上も使い勝手が多少良くなったと思います。

 以下ノービスメニューのダイアログ画面です。

ノービスメニュー

 背景補正レイヤーに混入するGチャンネルのガンマ値 を設定するスライダーが新たに設置されました。デフォルト値は、ハイブリッド補正がオンになっていますので、1.15 になりました。この値は上記のようにユーザがスライダーを使って任意に変更できます。なお、スライダーでは小数が使えないので、ガンマ値 x 100の値で入力します。ガンマが1.15なら115と表記されます。またハイブリッド補正をオフにすると(つまり従来アルゴリズムを適用)、一旦、ガンマ値が、1.45 (表記上は145) の従来値になります。これも一旦変更された後、ユーザによる任意な変更が可能です。

 次はエキスパートメニューです。

エキスパートメニュー

 背景補正レイヤーに混入するGチャンネルのガンマ値 を設定するスライダーが新たに設置されのはノービスメニューと同じです。またハイブリッド補正やTRCタイプを変更すると、一旦推奨パラメータに変わるのも同じです(その後手動での変更は可能)。

 また、その下の、疑似フラットフィールド補正のみ適用(Apply psedo flat-field correction [no Hybrid])をチェックすると、当然ながら、上のハイブリッド補正はオフになります。このチェックを外さない限り、ハイブリッド補正オンには戻せません。また、疑似フラットフィールド補正のみ適用にすると、背景補正レイヤーに対するGチャンネルのミキシングは行わず、ガンマ補正値は無効になりますので、値は1.0 (100) (→ガンマ補正なし) になります。スライダーをいじっても画像への変化はありません。

 なお、エキスパートメニューのパラメータの詳しい説明は7/17付の記事(7月1回目のバージョンアップ記事)をご覧ください。

 今回のバージョンは 4.53とします。ダウンロードはこちらから。また既存のダウンロードリンクも追々修正していきます。

 なお、本記事で紹介した写真補正技法やソフトウェア (Plug-in) は個人的用途および非営利目的であれば自由に使っていただいて構いませんが、本技法を使って何らかの成果 (編集した写真等) を公表する場合は、本記事で紹介した技法を使った旨クレジットをつけて公表していただくことをお願いします。

 また、このソフトウェアを利用される方は、このソフトウェアに起因する損害に対して作者は一切の責任を負わないという点を了承したものとみなします。同意できない方はご利用をお断りします。

 営利・営業目的で使用される方は別途ご相談下さい。

 また、私の作成したPlug-inも自由に改変して使用していただいて構いませんが、その成果を公表する場合はご一報下さい (公表しない場合は特に連絡は必要ありません)。またその改良した結果を私の方で自由に利用させていただくこともご了承下さい。