省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Canon EOS R50 DPRreview評 - AFは非常に強力で、画質も悪くないがレンズがない

 DPReview で EOS R50 の最終レビューが出ています。

https://www.dpreview.com/reviews/canon-eos-r50-review-compact-capable-but-lacking-for-lenses

Silver Award になっています。

 コンパクトで、有能だけれどレンズがない、とキャプションがついています。

 本機は、APS-C の RFマウントシリーズ中、R100に次ぐ下から2番目で、その上が R10 です。いずれもセンサーは共通で、ボディ内手ぶれ補正がないというのも共通、画像処理エンジン、AFは R100 のみ一世代前のDIGIC 8 で、R50, 10は最新 DIGIC Xです。またR100 は背面液晶は固定ですが、他はバリアングルとなっています。またR10はメカニカルシャッターがついている点、動画性能がより優れているというところが異なります。カメラの画像のクオリティ自体はCanon a6100, Nikon Z50に比べると若干落ちるが、その差はあまりなく、また Canon特有の高い彩度傾向は多くの人に好まれ、全般的に画像クオリティは良好と指摘されています。ただし、Jpeg 撮影の場合、デフォルト設定で強目にシャープニングがかかっていてノイズが出やすい点と、キットレンズの性能が今ひとつなため、本来カメラが持つ画像クオリティが活かされず、割り引かれてしまっていると指摘されています。 

 DPReview評では、本機の最大のポイントは、AFだと論じられており、AF性能の高さ、特に動体追従AFの能力の高さが指摘されています。また連写性能の高さも特筆されており、フル電子シャッターモードで15コマ/秒です。またボディの驚異的な小ささも指摘されています。

 難点として挙げられているのは、RFマウントのASP-C用レンズの少なさ。現行3種類程度で、今後新しいレンズの発売予定も発表されていませんし、サードパーティによるレンズもありません。もちろんフルフレーム用のRFレンズも使えますが、非常に価格が高いのが難点です。またアダプターを使ってEFレンズを使うこともできますが、小型という利点を帳消しにします。さらに、キットレンズの性能が今ひとつという点も難点として指摘されています。筐体の安っぽさも指摘されていますが、それは価格相応でしょう。

 さらに、ビデオでは、カメラを動かした時にローリングシャッター現象が目だつという難点も指摘されています。

 

 バッテリーの持ちは、バッテリー自体が比較的小型ということもあり今ひとつのようです。ただしUSB-Cによる給電が可能な点がその難点を補っています。

 

 同価格帯 (希望小売価格 $700前後)のライバルとの比較ポイントですが...

 Nikon Z50とは、Z50の最大の弱点はAFが弱い点で、それに対しR50のAFの強さは大きなセールスポイントです。一方、Z50は作りが堅牢であること、またレンズの選択範囲で、NikonSigmaにZシリーズレンズの生産を許諾したため、より選択範囲が広いという点がR50を凌ぐ点として挙げられています。

 Sony a6100 とは、AFが優れている長所と、ローリングシャッターの影響が出やすいという短所は、両者共通です。一方バッテリーの持ちは a6100が良く、Eレンズの選択肢の多さもa6100が優れる点ですが、液晶の解像度の低さが難点となっています。

 OM E-M10 IV は、このクラスではボディ内手ぶれを備えている点と(但しレンズ側には手振れ防止がない点に注意)、レンズの選択肢の広さが強みです。センサーサイズの小ささは、クオリティがAPS-Cに及ばない反面、レンズシステムが小さくなるという利点があります。AFはやや信頼性に欠けます。

 

 カメラメーカーは値段の高い高級機ほど AF や 手振れ防止の機能を高め、入門機は安いのだから、それらはおざなりで良いと考える傾向にあると思いますが、私は逆に高級機を使うようなベテラン程、フォーカシングやぶれなく撮る技術に優れ、入門者ほどそういった技術に欠けるのですから、AFや手振れ防止は入門機ほど充実させる必要があるのではないかと思います。ハードウェアを充実させなくてもソフトウェアの改良だけで向上できるなら、入門機種に採用を惜しむ理由はありません。その意味で Canon の戦略は正しいと思います。

 スマホがかなりソフトウェア的に利用者の技術がない部分をカバーしてそれなりに撮れる技術を発達させて来るのですから、スマホでは限界を感じて入門機に移ってきた利用者が一眼レフだと却ってうまく撮れないと感じると、再びスマホに戻ってしまいます。

 手ぶれ防止がないのは残念とはいえ、Canon の場合 Nikon の Z シリーズとは異なりレンズの手ぶれ防止省略が原則となっていないと思われますので、影響は少ないでしょう。

 やはり、APS-CのRFシリーズの泣き所は、レンズの戦略ということになりそうです。RFフォーマットのレンズも自社で抱え込みサードパーティに発売させていません。

 またEF-Mマウントのカメラもかなり売れているのに、ディスコンの方向性を出しているのもどうなのかと。アナログ時代にもマウント廃止をやっています。そういう企業姿勢があるので、個人的には今まで Canon のカメラに食指が動かなかったのですが...