省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

広告にストックフォトを使ってミソのついた Panasonic Lumix S9 の海外レビューは?

 Panasonic Lumix S9 が、宣伝材料に、ストックフォトを使っていたとして炎上しています。理由は分かりませんが、おそらく開発が遅れて、このカメラで宣伝素材写真を撮る時間がなかったのと、また、広告もどこか代理店に任せてしまったためではないでしょうか。ストックフォトを使ってしまう、というのはいかにも広告代理店にありがちの発想です。開発チームが直接手掛けているなら、ストックフォトを使うなんて致命的にまずいと分かるはずですが... 逆に開発チームが関与してこの結果だとすると、本当に考えものです。いくらイメージとはいえ写真が NikonCanon で撮られているというのは、いくらなんでもという気がします。

 

 広告がまずいとしても、中身はどうなのでしょうか。

 PetaPixel にイニシャルレビューが出ていました。但し日本に取材に来てカメラを試していますが、日本までの旅行費用と機材の貸し出しはパナソニックが提供したようなので、評は割り引いて考えるべきかもしれません。

petapixel.com

 ポイントとしてはフルフレームにも関わらずコンパクトカメラのような使い方を想定しており、しかも403g と非常に軽いとあります。センサーは S5 II と同じ、24Mピクセルのものを採用し、優れた手ぶれ防止を装備している一方、メカニカルシャッターは省略されています。センサーのスキャン速度はさほど速くないため、ローリングシャッター現象が問題になると指摘されています。またそのためか、外部ストロボ等との連動もできず、ホットシューには電気接点が省略されています。

 また夜間などにおける人工的な光源では、速いシャッタースピードを使うと縞模様のノイズが発生すると指摘されています。

 スマホとの連携は充実しており、Wi-Fi で簡単に繋ぐことができ、ユーザーが作ったプリセットなどを他者と簡単に共有できます。

 Lut 機能は充実しており、ユーザがカスタマイズした Lut を作成し、それをシェアする仕組みが備わっています。またビデオにも適用できます。但し、ビデオ用のlutをスチル写真に適用すると iso が 640 にあがります。

 また、ビデオ機能は、SNS用に最適化されており、スマホを経由してインスタグラムや TikTok に簡単にアップロードすることができ、フレームレートもSNS用に変更することができます。但しヘッドフォン用のジャックは省略されており、ビデオ撮影を重視するユーザーやビギナーからは敬遠されるかもしれないとしています。

 コンパクトカメラを使うような手軽さで使える楽しみがあり、また、手軽にビデオを撮ってすぐアップできる点では、SNSインフルエンサー向きとしている一方、もうちょっと予算を足すと S5 II が買えるので、評者が個人的に買うかどうかはちょっと迷うと言っています。

 

 また、DPReview のプレビュー評では...

www.dpreview.com

 やはり、SNSにワークフローが最適化されたカメラで、Panasonic は撮って共有まで 30秒というのをキャッチフレーズとしていると紹介しています。また Lut が重視されている点についても指摘されています。

 また、主たるターゲットは、スマホで撮っているクリエーターで、より高画質の画像を撮れるという点でアピールを図っている、としています。ただ、写真中心に撮る人には電子ファインダーが省略されているなど物足りない側面もあると指摘されています。

 ライバルとしては、Sony ZV-E1、Panasonic S5II、Sigma fp が挙げられています。

 基本的には S5II からスチル写真向きの機能を一部省略する一方、V-logger や SNS 発信者向けの機能を充実させた、という感じでしょうか。

 

 なお、日本では、サンプルファイルがストックフォトだったということが主に問題になっていますが、以下のような記事もありました。

petapixel.com

 Panasonic のカメラに批判的な批評をしてきたカメラ批評家をパナソニックは自社のカメラのお披露目イベントに招待しなかったということを、当の批評家が批判しているという記事です。