省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

Sigma 山木社長の見るカメラ市場の展望は...

 DP Review に Sigma 山木社長のインタビュー記事が載っています(5/28付)。

www.dpreview.com

山木氏によると、昨年のカメラ市場は底を打ったように見えるが、今後の展望は必ずしも明るくないとしています。結局それは、一眼レフをミラーレスに買い替える需要のためで、それが一巡してしまえば、成長が止まってしまう可能性があると指摘しています。また昨今のカメラ業界の高級化、高価格化一本鎗路線に対しても心配しており、カメラにこれだけのお金を投資できる層は限られており、これも早晩行き詰まる可能性があると指摘しています。

 しかも若い世代はますますスマホで写真やビデオを撮る傾向になっており、彼らをカメラに誘導しようとしても、カメラの高価格化により、価格ギャップが大きくなりすぎて、誘導できなくなる可能性を指摘しています。

 さらに、昨今のカメラは技術的に非常に高くなっているけれども、それが必ずしもユーザのニーズにマッチしておらず、もっとユーザフレンドリーなスペックを追求すべきとして、例えば、ユーザフレンドリーな UI の開発、より軽く可搬性の高いカメラの開発などを挙げています。

 

 なお、Sigma のレンズの開発方向については、カメラメーカーは現在回析光学素子を使ったレンズの開発に力を入れているが、Sigma では、特殊低分散 (Special Low Dispersion) ガラスを使ったレンズの開発に力を入れており低分散ガラスを複数組み合わせて、コンパクトで軽量なレンズの開発を目指していると述べています。

 そしてレンズの生産には研磨技術が非常に重要で、一般にカメラメーカーが新しい素材の導入に慎重になるのはそのためであると指摘した上で、Sigma では新しい素材の導入に積極的にチャレンジしていくとともに、ニッチな需要の開拓にも積極的に取り組んでいくとしています。

 また、今日市場で出回っているレンズの大半は、一般的なユーザの期待をずっと上回る精度を持っているが、しかし天体撮影を行う人々だけは異なり、かれらの要求スペックは非常に高く、Sigma はこのような天体写真需要家のニーズにもこたえることで、Sigma の技術力の高さを示したいと述べています。

 また、ニッチへの取り組みとして、APS-C に向けた DC DNプライムシリーズのラインナップの充実の方向を目指すとしており、富士の X マウントや Nikon の Zfc 用のレンズはすぐには出せないかもしれないけれども、全焦点領域のカバーを目指すとしています。

 NikonAPS-C の Z シリーズレンズは手を抜いていますので、Sigma がしっかり取り組んでくれば、APS-C の Z シリーズカメラは、今後浮上してくるかもしれません。

 

 山木社長のカメラ市場への展望は、ユーザの立場から見て極めて妥当だと思います。問題はこのような展望がどうして他のカメラメーカーの間でも共有されないのか、ということかと思いますが...