省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

黄変ネガ写真補正 Bチャンネル再建法ツール Ver. 5.7 リリース

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[お知らせ]

 本ツールには、以下の最新バージョンがあります。

yasuo-ssi.hatenablog.com---------------

 本日は鉄道記念日です。という訳で (...? まぁ、このツールを使おうとする方の大半は鉄道写真を編集しようとして使っておられると思いますので)、9/1 に Ver. 5.6 を公開した本ツールですが、本日 Ver. 5.7 を公開します。前回のバージョンの主要改訂内容は、内部処理の 32bit 化とリニアワークフローの導入、そして、緑、褐色補正レイヤーマスクの新しい計算方法の導入でした。

 今回の主要改訂内容は、以下の通りです。

1) 処理のデフォルトを非リニアワークフローに戻す

2) 褐色補正レイヤーマスクのアルゴリズムの修正

3) 内部コード整理

4) その他バグフィクス

 

1) 処理のデフォルトを非リニアワークフローに戻す

 前回 32bit 化と共にリニアワークフローを導入しましたが、デフォルトを非リニアに戻します。この理由ですが、どうも非リニア画像をベースにマスクを作ったほうが適切な結果が得られるためです。

 リニア画像を基に処理を行うと、数字的にはシャドウ領域が圧縮されることになります。これを基にマスク画像を作ると、非リニア画像に比べ、シャドウ領域では、見た目的にコントラストが高くなるとともに、諧調範囲的にきめの粗いマスクになる一方、ハイライト領域ではきめが細かくなる一方コントラストが低くなります。これは、マスク作成の際、チャンネル間の値の差分に基づいて作成しているためです (厳密に言えば、差分を求める時に値を調整して計算しているので、その調整値の色空間における知覚上の影響の与え方の違いが原因と思います。単純な差分なら結果はほとんど変わらないはずですので)。非リニア空間を基準に考えると、リニア空間では、数値的には同じ差分でも、シャドウ域においては人間の知覚上の差が大きく、ハイライト域では小さくなることになります。

 結果的にできたマスクを比較すると、どうも非リニアで作成したほうが適切なケースが多いようです。とはいえこれもどのようなマスクを作りたいかによってケースバイケースですが。

 おそらく、マスク作成時は非リニア画像を基準に作成する一方、補正レイヤーの計算はリニア空間で行うのがベストではないかと思われますが、コードが複雑化しますので、一旦ここはデフォルト処理を非リニアに戻し、マスクと補正レイヤーとで計算のベースとなる画像を変えることについては次バージョンの宿題とさせていただきます。

2) 褐色補正レイヤーマスクのアルゴリズムの修正

 前回緑補正レイヤーマスクと褐色補正レイヤーマスクの計算方法を変更しましたが、褐色補正レイヤーに関して意図通りの計算結果が出ていないことに気づきました。理由は、32bit 処理に変更した際に変更すべきコードの見落としと、アルゴリズムを書いた際に錯覚があり間違っていました。これを修正しました。今回は本来の意図通りの結果が得られていると思います。

 なお、併せて緑色補正レイヤーマスクも若干修正し、相対的に赤に振れる領域は、補正を適用しないよう、黒塗りにするよう修正しました。

3) 内部コード整理

 複雑化した内部コードの整理を前回に引き続き進めています。今コードがパンク状態ですので、コード整理しないと新しいアイディアが盛り込めませんので...

4) その他バグフィクス

 32bit処理化によるコード変更に伴うバグを修正しています。

 

なお、32bit 化に従い使用メモリー量が増えています。元のファイルサイズによっては ImageJ のオプションでメモリー量を設定する必要があります。あるいは、物理メモリが足りない場合は OS のシステム上で仮想メモリの設定を行う必要があるかもしれません。

ImageJ のオプション>メモリー設定

メモリ設定ダイアログ



 本プログラムのダウンロードはこちらからお願いします。

 次回のアップデートは、特段のバグがなければ、年末あたりを考えています。

 マニュアルは、引き続き以下の Ver. 5.5 以降対応のマニュアルをご参照ください。

5-1. 具体的な補正実施手順 - 準備

5-2. 具体的な補正実施手順 - ImageJによる作業

5-3. 具体的な補正実施手順 - GIMPによる作業

 

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 なお、本記事で紹介した写真補正技法やソフトウェア (Plug-in) は個人的用途および非営利目的であれば自由に使っていただいて構いませんが、本技法を使って何らかの成果 (編集した写真等) を公表する場合は、本記事で紹介した技法を使った旨クレジットをつけて公表していただくことをお願いします。

 また、本ソフトウェアは現状のまま提供されるものし、作者はこれを使ったことによるいかなる損害補償等にも応じられないことを了解の上使っていただくものとします。
 但し、もしソフトウェアのバグがありましたら、ご連絡いただければなるべく改善するよう努めたいと思います。

 営利・営業目的で使用される方は別途ご相談下さい。

 また、私の作成したPlug-inも自由に改変して使用していただいて構いませんが、その成果を公表する場合はご一報下さい (公表しない場合は特に連絡は必要ありません)。またその改良した結果を私の方で自由に利用させていただくこともご了承下さい。

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