[スキャナによる過剰補正で青紫に寄った画像を修正する]
今回は、以前にもサンプルとして取り上げたことのある下記の画像です。おそらくは黄変に対するスキャナの過剰補正のため、もともと、かなり青紫がかっています。このファイル、なかなか自然な感じで補正ができず不満が残っていました。どうしても人工的になってしまいます。
この画像、ホワイトバランスの自動補正に掛けると以下のように非常に黄色くなります。
つまり、この画像で青紫の色被りがあるのは、逆にこの黄色を補正しようとして、スキャナドライバがかなり青紫方向に補正してしまった結果と考えられます。
以前の補正結果です。上のオリジナルの状態からからここまで良くもってこられたとは思いますが、明るいけれども、人工的で色塗り感が残ります。
新しいハイブリッドアルゴリズムのデフォルト設定で、Bチャンネル再建法の素材ファイルを作成し、GIMPで読み込みます。
まず、暗部補正レイヤーを編集します。車両の車体部分は適用しないよう切り抜きました。
次は周辺補正レイヤーのマスクです。これもどうしようかと思いましたが、全般的に青紫がかっているので、広い範囲で B 値を落としたほうが良いと思い、その意味で、広く周辺補正レイヤーを適用させることにしました。但し、車体の青みは落としたくないので、車体部分だけカバーするようにマスクを編集します。
このマスクにより周辺部補正レイヤーの適用範囲は以下のようになります。さらに不透明度も40%程度に落とします。
遠景補正レイヤーは、車体を塗りつぶし、空・遠景のみ適用するようにマスクを編集します。
更に、空が暗くなりすぎるので、不透明度を64%程度まで落とします。
他のレイヤーは編集を行いません。以上のレイヤーを合わせると以下のようにBチャンネルが再建されます。
このBチャンネルを使ってRGB合成を行うと下の画像になります。
ちなみに以前のアルゴリズムで行った編集では下記のようになりました。下の方がやや黄色味が残っているか、という感じですが、大きな差ではないように見えます。
ここから相対RGB色マスク画像作成ツールを使って追加補正に入ります。いろいろ考えて今回の画像はマゼンタマスクとグリーンマスクを使って補正することにしました。
マゼンタマスクは全明度範囲に適用することにして、プレビューを確認しながら上のパラメータで作成しました。これを使い紫味を落とすことを主眼とします。
グリーンマスクは、植物の緑において、B値を落として青緑を緑に寄せることを主目的とします。B値を落とすので空は含めたくありません。ですので明度範囲を 0-128 としました。
Bチャンネル再建法を掛けた画像を2つのレイヤーに複写し、一方にマゼンタマスク、一方にグリーンマスクを掛けます。
マゼンタマスクを掛けたレイヤーは、G値をトーンカーブで引き上げます。画像を見て、B 値も引き下げたほうが良さそうなので、引下げ、若干 R値を引き上げました。
グリーン補正レイヤーは、B値を大幅に引き下げます。あと若干 G 値を引き上げました。
さらに見直して、R値も多少引き上げたほうが良さそうだと判断し、引き上げました。
以上で、GIMP上での追加補正は終了し、TIFFファイルに出力します。出力したファイルを ART に読み込んでトーンカーブ等でコントラスト等を補正します。
ただ、やはり緑が依然青に寄っているようです。そこで結局 ART のカラー/トーン補正で大きく緑のニュアンスを変えることにしました。
マスクはこちらです。
地味目の画像になりましたが、今まで色々修正した中では、相対的には、あまり色の強調がなく、ナチュラルに近いのではないかと思います。6月の今にも雨が降りだしそうな天候の再現としてはまずまずなのではないかと思います。
今回はBチャンネル補正法のアルゴリズム変更の効果よりは、追加補正に使った、相対RGB色マスク画像作成ツールのプレビュー画面を充実した効果 & ARTのローカル補正の方が大きかったように思います。
--------------------