省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

GIMP 補正テクニック / 選択範囲<>レイヤーマスク 相互変換の方法について

 GIMPにおいて選択範囲とレイヤーマスクを相互に変換する方法について説明します。サンプルは以下の画像で、点線で囲まれた部分が範囲選択されています。

選択範囲

 なお、選択範囲とレイヤーの関係に関する模式図を下に掲げます。

選択範囲とレイヤーの関連 模式図

 上の模式図で赤線で結んでいるのは、その変換を直接サポートするコマンドがあるもの、黒線は、比較的シンプルな手順で変換可能な関係、そして点線は変換に手間がかかる関係です。

 なお、レイヤー系とチャンネル系の関係については、以下をご参照下さい。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 

■選択範囲をクイックマスクに転換

 一番簡単なのは、クイックマスクを使うことです。

クイックマスク

クイックマスクのオン/オフボタン

 ただ、GIMPの場合は、調整レイヤーという概念がないので、クイックマスクを使って色やトーンの編集を行うと、オリジナルレイヤーのピクセルを直接変更することになってしまいます。ですので、簡便ではありますが、率直に言ってあまりお勧めできません。個人的には、GIMPにおいては編集作業はなるべくレイヤー系の操作で統一したほうがスッキリすると思います。そのため、クイックマスクを使うよりは、下記の選択範囲をレイヤーに転換して編集する方法を強く推奨します。

 ただし、クイックマスクをオンにしているときは、レイヤーマスクと同様、クイックマスク自体をペイントツールで編集できますので、選択範囲の編集目的で活用するのは良いかもしれません。クイックマスク自体を編集後クイックマスクをオフにすると、クイックマスクが選択範囲に転換されます。その後、下記の方法で選択範囲をレイヤーに転換し、色やトーンなどの編集を行うのが良いと思います。

■選択範囲をレイヤーに転換

 クイックマスクの代わりに使った方が良いと筆者が思うのは、選択範囲をレイヤーに転換し、そのレイヤーに対して編集を行うことです。これによってオリジナルレイヤーに手をつけずに編集することができます。その手順については、以下の記事の、第3ステップ以下をご覧下さい。

yasuo-ssi.hatenablog.com

 なお、選択範囲のレイヤー転換をより手軽に使うためにも、以下のプラグイン(のどちらか)の導入を強くお勧めします。

yasuo-ssi.hatenablog.com

yasuo-ssi.hatenablog.com

 なお、下の図は、プラグインを導入して[レイヤー]メニューより起動できるようにした状態です。

プラグインを導入したところ

■選択範囲→レイヤーマスクへの転換

 おそらく、選択範囲をマスクに転換するよりは、クイックマスクを使ったり、選択範囲をレイヤーに転換した方が楽なので、選択範囲をレイヤーマスクに転換する簡単な機能はサポートされていません。ただ、レイヤーマスクとして保存しておきたいという場合もあると思いますので、手順を記しておきます。

選択範囲

 まず、塗りつぶしレイヤーにレイヤーマスクを追加します。右クリック (Mac OS の場合は Ctrl + クリック) しコンテキストメニューを表示します。そしてレイヤーマスクの追加を選択します。

コンテキストメニュー表示

 次のダイアログで、デフォルト(初期化の方法: 完全不透明) のまま[追加]ボタンを押します。

レイヤーマスクの追加

 追加した、レイヤーマスクを、やはりコンテキストメニューを表示し、[レイヤーマスクを表示]を選択します。

レイヤーマスクの編集 & 表示

 表示すると、下記のように白い状態の上に選択範囲が表示されます。

レイヤーマスクの表示

 ここで、選択範囲の反転を行います。

選択範囲の反転

 反転したら、塗り潰し色が描画色になっており、描画色が黒になっているのを確認し、塗り潰しを行います。

塗り潰し

 塗り潰しを完了すると、選択範囲以外が黒塗りになります。

塗り潰し終了

 レイヤーマスクの表示を、コンテキストメニューを使ってオフにすると、黒塗りの部分が透明になって下記のようになります。

完了

 ただ、これでできるレイヤーの内容は、上の方法で作ったレイヤーと同じです。

 

■レイヤーマスクを選択範囲に転換する

 逆に、レイヤーマスクを選択範囲に転換するのには、GIMPにコマンドが用意されています。メニューの[レイヤー] → [レイヤーマスク] → [マスクを選択範囲に]で簡単に転換できます。

レイヤーマスクを選択範囲に転換

■レイヤー画像をマスクに / マスクをレイヤー画像に

 こちらは単純にレイヤー画像を他の画像にコピーするのと同じです。まず、コピー元のレイヤーを選択し、Ctrl + C でコピーし、次にコピー先のレイヤーを選択して、Ctrl + V を押します。ただしコピー先 or コピー元がマスクの場合は、マスクの編集をオンにした状態で当該レイヤーを選択し、Ctrl + V (貼り付け) または Ctrl + C (コピー) を押せばよいだけです。

■その他: 選択範囲を保存・復元する方法について

 選択範囲を保存するには、上で紹介した選択範囲をマスクに保存する方法もありますが、簡単なのはチャンネルに保存することです。メニューの[選択]→[チャンネルに保存]で保存されます。

選択範囲をチャンネルに保存

 逆に、保存したチャンネルを選択範囲に復元するには、チャンネルダイアログ上で、保存した選択マスクを選択し、コンテキストメニューを表示し[チャンネルを選択範囲に]を選ぶと、選択範囲として復元されます。

選択範囲の復元

 また、保存していたチャンネルをレイヤーマスクに変換するには、レイヤーマスクを追加する際に、レイヤーマスクの初期化方法にチャンネルを選びます。

 

チャンネル→マスクの転換