省型旧形国電の残影を求めて

戦前型旧形国電および鉄道と変褪色フィルム写真を中心とした写真補正編集の話題を扱います。他のサイトでは得られない、筆者独自開発の写真補正ツールや補正技法についても情報提供しています。写真補正技法への質問はコメント欄へどうぞ

darktableでのダイナミックレンジの高い写真の編集方法

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 すでに本ブログのいくつかの記事で指摘したように、ダイナミックレンジの画像を表示させようとしても、通常私たちの見る画像出力装置のダイナミックレンジ (ディスプレイや印画紙) が低いために、物理的にダイナミックレンジの広いデータであればあるほど、ダイナミックレンジが広いように見えない、というのが現実です。つまり現状では、HDR画像であることが重要なのではなく、HDR風に見える演出が重要ということです。HDR画像があれば、HDR風画像を作る素材としてはより有利でしょうが、HDR風画像を作る必要条件ではないように思われます。その意味では、デジタルカメラのセンサーのダイナミックレンジも当面現状以上に拡大させる必要性はあまりないのではないでしょうか。もちろん、画像を見る出力装置として、HDR対応ディスプレイが一般化すれば事態は変わるかもしれません。とはいえそれらが現状のカメラのセンサーのダイナミックレンジを大きく超えることはないようにも思われます。

 ところで、darktableのオンラインディスカッションの中に、明暗差の激しいダイナミックレンジの高い画像を、darktableをつかって、どうディスプレイの狭いダイナミックレンジにマッピングするのかという、Boris Hajdukovic氏による、テクニックの解説がありました。それが以下です。

discuss.pixls.us この記事に対する日本語の解説を以下に記します。

1. まずハイライトクリッピングを避けるために、ややアンダー気味の露出で撮影する。[1枚目の写真]

2. フィルミックRGBを使って、全体のダイナミックレンジを圧縮する。[3枚目の写真]

3. すると画像が平板になるので、中間グレー点を下げ(全体が暗くなる)、中間グレー点から、ハイライトまでのダイナミックレンジを拡張することで、コントラストを回復させる。[4枚目の写真]

4. さらに、ホワイトバランスを調整したあと、2番目のカラー・キャリブレーション・モジュールを使って雲と空のコントラストを上げる。[5枚目の写真]

5. さらにカラーバランスモジュールも動員し、さらにコントラストを上げる。[6枚目の写真]

6. ここでトーンイコライザーを使ってハイライトのみ、他の部分とは別にコントラスト調整を行う。そのために、トーンイコライザー・モジュールを2枚に複製し、まず、1番目のモジュールで、ハイライト部分を暗くする。[7枚目の写真]

7. さらに、トーンイコライザーの2番目のモジュールを使って、この部分のハイライトを回復させる。[8枚目の写真]

8. 最後に、 拡散/シャープ化 (diffuse and sharpen) モジュールで、ローカルコントラストを上昇させる。[9枚目の写真]

 

 どの編集モジュールであっても、編集モジュールを増やして多重に掛けることができるという darktable の柔軟性を活かして、ローカルトーンマッピングを行って、HDR風画像を作るという好サンプルかと思いますので紹介してみました。

 

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