こちらは元京浜東北線用進駐軍専用車のクロハだったクハ55806です。旧2等室と、3等室の間にあった仕切りの部分でベンチレータが欠けているのが特徴です。また関西の国電としては非常に珍しく、運転台右側窓がなぜか原形のまま残っていました。通常は、右側の窓を H ゴム化したのち、左側の窓を H ゴム化するのが普通ですがなぜでしょうか。左側の2段窓の建付けが悪く、その隙間風ふさぎが優先されたのかもしれません。
本車の車歴です。
1938.10.18 川崎車輛製造 (クハ55053) 東鉄配備 → 1947.3 現在 東カノ → 1953.6.1 改番 (クロハ55806) → 1953.9.30 更新修繕 I 大井工 → 1954.9.1 現在 東カマ → 1955.12.27 改造 大宮工 (クハ55806) → 1956.10 東ミツ → 1959.2 東カマ → 1965.1.27 東ヒナ → 1965.12.11 天オト → 1977.6.14 廃車 (天オト)
本車は1938年に東鉄向けクハ55として川崎車輌で製造されました。当初配置区は不明ですが、1947年には中央線緩行線で使われていたようです。その後連合軍専用車に指定されたようですが、連合軍指定解除後、それを移行しての 1952.3の通勤線区の2等車併結開始に伴い、そのまま2, 3等併合車として使われ、1953.6の改番で正式にクロハとなります。さらに、1953年の更新修繕で2等車部分をセミクロス化したようです。そのため、1954年の時点で蒲田区にいた唯一の元クハ55となりました。しかし 1955年に仕切り撤去と前面ロングシート化で一足早くクハに戻され、その後中央線、再度京浜東北線と移った後、1965年に横浜線に移りますが、まもなく、社形淘汰用として阪和線に転出、その後阪和線の新性能化まで使われました。